堀田茜さん&阿川佐和子さんモヤモヤ対談「仕事で関わらなければいけないときにどう距離を詰めてコミュニケーションすればいいのか迷う」
堀田茜が「30歳になってなんだか気になる…」と感じるモヤモヤを、今会いたい識者に直接聞きに行く連載4回目!この話、ほったらかしにしなくて良かったと思える日が必ず来るはず!
どんな方とでも“昔から友達なのかな?”と思わせる空気感を作る秘訣は何ですか?
今回のゲストは...阿川佐和子さん
【今月の茜のモヤモヤ案件】
著名な年上の人やちょっと苦手な人など、仕事で関わらなければいけないときにどう距離を詰めてコミュニケーションすればいいのか迷うことがあります。怖い、怒られたくない…と思ってしまうと、仕事も滞ってしまうので悩みます。阿川さんのように、どんな相手にも心を開いてもらうにはどうすればいいですか?
阿川さんの本に書かれていた「楽しそうに聞く」という心がけで随分助けられました(茜)
茜:私の母が阿川さんの大ファンで、その影響で私も土曜の朝は『サワコの朝』(2021年終了)を見ていました。それとインタビューの仕事で悩んでいたときに阿川さんの著書『聞く力』(文春新書)をスタッフさんにすすめられて拝読していたこともあって、ずっと憧れの人でした。対談できてすごくうれしい反面、とても緊張しています…。私の悩みはCLASSY.読者にとっては「上司や取引先との距離の取り方」の答えにつながるかなと思ったので、各界の方とお話しされてきた阿川さんが、たくさんの方とどう向き合ってきたのかをお伺いしたいです。
阿川:ありがとうございます。とても難しい悩みですね。私はインタビューが得意だったわけではないし、なりたいからなったわけでもないんです。どういうわけだか今はそれがメインの仕事になっていますけど、今でも苦手です(笑)。
茜:えー!びっくり。意外です。人と会うのは好きですか?
阿川:私、特に人好きでもないんですよ(笑)。でもこんなに素敵な人がいるんだなとか、こんなことを考える人もいるんだなと知ることができることや、自分自身の人生を反省するきっかけにもなるからインタビューの仕事はありがたいなと思います。まぁ、明日インタビュー仕事ですって言われると気が重いんですけどね(笑)。
茜:阿川さんにもそんな時代があったのですね。私は以前、月に一度サッカー選手にインタビューをしていた時期があったのですが、知ったかぶりはするとファンの方に伝わる、選手の話を引き出さなければならないし、頭でっかちもダメだし。何を優先すべきかわからなくなってすごく悩みました。
阿川:資料は全部読んだ、勉強もしてきた、だから大丈夫と思っても、どこに向けて話を広げたらいいか自信が持てなかったりね。そういう時期って、自分がどうおもしろがるかという視点が欠けてしまいますよね。自分がバカと思われたくない、うまくやらなきゃということを優先したくなるばかりに。
茜:それで私は、阿川さんの『聞く力』を読んで〝楽しそうに聞く〞必要性を学んで随分助けられました。
阿川:さっきの人とは別のプロゴルファー取材のとき、わからないなりに楽しんで聞いていたら「俺の話はそんなおもしろいか」と言われて、おもしろいですと答えたらすごく機嫌をよくしてもらえたことがあって。あぁ、相手も同じ人間なんだなって楽になったんですよね。話し手って聞き手が楽しそうなのが一番うれしいじゃないですか。
茜:そうですね、すごくシンプル。
阿川:そう。だから専門用語の意味がわからなかったとしても、話してる内容の奥の気持ちを汲み取って、自分の経験と照らし合わせて想像しながら話を進められれば、その専門分野に限らない話として聞けるし、そこから大事なことを学べて楽しくなりますよね。
茜:そうですね。この人怖いな、苦手だな、と思っても、勇気を出して話し込んでみると実はピュアな方だったりすることってよくあります。
エッセイスト、作家、俳優・阿川佐和子さん
1953年、東京生まれ。TVレポーターからキャリアをスタートさせ、ニュース番組でキャスターを務める。その後執筆を中心に幅広く活躍。テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」にレギュラー出演中。俳優としても活動し、2023年は映画「エゴイスト」に出演。最新のエッセイ集「母の味、だいたい伝授」(新潮社)も好評発売中。
堀田さん/ブラウス¥22,000パンツ¥18,700(ともにLiesse)他私物 阿川さん/すべて私物
撮影/杉本大希 取材/野田春香 再構成/Bravoworks.Inc