堀田茜さん&大橋未歩さん対談「意見は人と違うほうが健全。それよりも、人と意見が違ったときに生じる感情のコントロールが大事」

堀田茜が「30歳になってなんだか最近モヤモヤする…」と感じる問題を、今会いたい識者に直接聞きに行く連載3回目。この話、ほったらかしにしなくて良かったと思える日が必ず来るはず!

自分の意見を伝えるとき、反対意見が気になって臆病になってしまいます…

今回のゲストは...大橋未歩さん

【今月の茜のモヤモヤ案件】 き

【今月の茜のモヤモヤ案件】
きちんと仕事したいと思うあまり、ラジオなどで決められた通りに読んでしまうことがあります。本当は、臨機応変にフリートークをしたり、自分の意見をもっと話したりしたいのですが「どう思われるんだろう」と誤解や反対意見を恐れてしまいます。CLASSY.読者も会議などで発表の場があると思いますが、大橋さんのように自分の意見を自分の言葉で伝えるためにはどうすればいいのでしょうか。

正しさはひとつじゃない。意見が違っても否定ではない。感情のコントロールが大事(大橋)

茜:プライベートでもそんなふうに気を遣われているんですか?人間関係で気をつけていることがあればお伺いしてみたいです。

大橋:正しさはひとつじゃないと肝に銘じています。最近は「ド正論」とか「論破」とかいう言葉が流行っていますけど、その人の置かれている立場によって正義は違う。自分が考える正しさだけが正解ではないことを念頭において、相手の言うことを否定しないようにしています。

茜:まさに私、その壁にぶち当たっているところなんです。最近「何かひとつが正しいと思いこみすぎだ」と言われた場面があって。それに、正しいと思って行動していることでも、それが正しいと確信できるにいたるまでが難しくて。

大橋:意見は人と違うほうが健全だと私は思っています。みんなが同じ方向を見て、同調圧力がある状態は気持ち悪いなって。それよりも、人と意見が違ったときに生じる感情のコントロールが大事です。

茜:そう思える余裕って素敵ですね。そう思いたいけど、やっぱりみんなと同じじゃないと不安な部分がどうしてもあって。

大橋:誰かと意見が違ったとき、自信がなくなることって真っ当な感情なんですよ。ただ、そこで生まれる感情を恥ずかしいと思わなくていい。それから人と意見が違ったときに自分が否定されたと思わないことも大事です。「あなたはそう思うのね。でも私はこう思う」とそれぞれ独立した意見を持っているだけのこと。違って当たり前なんだって共通認識を持てたら、人間関係が円滑になるでしょうし、豊かな社会にもなっていくんじゃないかなって。そうなっていけるといいですよね。

茜:そういった個を大事にする考え方、とても国際的だなと思ったんですけど、どうしてそういう思考を持てるようになったんですか?

大橋:私の通っていた中高は校則がなくて服装も自由だったんですよ。生徒たちのポリシーもgoing my way。大人たちに押しつけられないから自主性が育つし自分の考え方が育つ土壌があったんです。ルールを押しつける場所があると、自分はこれだけ我慢してるんだから他人もこうしろ、となってしまいますよね。

茜:本当ですね。環境って大事なんだなぁ。大橋さんの好奇心の旺盛さもそういう場所で育った影響が大きいですか?

大橋:いや、もともと陰キャで…

茜:インタビューでもよくそう答えられてますけど本当にびっくりです。それでなぜアナウンサーの道に…?

大橋:自分をとことん嫌いになって、落ちるところまで落ちた時期があって。でも人と接しないと人生はままならなかった。人と会って、人を好きにならないと生きるのって苦しいじゃないですか。そう気づいて一念発起して、大学2年のときに学校のアナウンサーコンテストに出ました。そうなると学校中に「あいつはアナウンサー志望なんだ」って周知されるじゃないですか。やらざるを得ない状況に自分を放りこんで、今があります。

茜:すごい。強いですね。

大橋:その逆で、弱いんです。ずっと同じ環境にいようとすればいられて、そうすると絶対なまけちゃうから、自分を無理矢理でも追いこむ場所にいるようにしちゃえと。それでやっと行動にうつしてなんとかする、という感じです(笑)。

茜:ということは、渡米されるというニュースを聞きましたが、それもまた追いこむようなことが理由ですか?

大橋:そうですね。まさに、行くことだけは決まっているけれど、何をするかは決めてないんです。英語に堪能というわけでもないけれど、行けばなんとかなるだろうって。

茜:前世はきっと旅人ですね(笑)。

大橋:そうですね、定住はできないタイプです(笑)!

\茜の取材ノート/

とても凛とした空気を纏っていて

とても凛とした空気を纏っていて、それでいて穏やかで親しみやすく…。お話ししてくださる内容がすべて的確で、元々大好きな方だったのですが、ますます好きになってしまいました。「意見が違って当たり前、だから面白い」と言える器の大きさや、退社や渡米といった人生の大きな決断を潔く下せる柔軟さがイキイキとしたオーラの秘訣なんだろうなと、私自身の将来を考える点でもとても勉強になりました。

フリーアナウンサー・大橋未歩さん
兵庫県神戸市生まれ。2002年テレビ東京に入社し、スポ-ツ、バラエティー、情報番組を中心に多くのレギュラー番組にて活躍。2013年に脳梗塞を発症して休職するも、療養期間を経て同年9月に復帰。2018年よりフリーで活動を開始。趣味は山登りで〝歩山〟家。現在「YAMAP MAGAZINE」で海外トレイル体験記を連載中。

※堀田茜さん、大橋未歩さんともに衣装は私物です

撮影/杉本大希 モデル/堀田 茜 取材/野田春香 再構成/Bravoworks.Inc

Feature

Magazine

最新号 202412月号

10月28日発売/
表紙モデル:山本美月

Pickup