【愛希れいか×宇月颯スペシャル対談】宝塚時代、強い絆で結ばれていた2人が舞台『マリー・キュリー』で共演!
韓国ミュージカルの傑作『マリー・キュリー』が3月13日より日本で初上演。初日を前にタイトルロールを演じる元宝塚娘役トップスターの愛希れいかさんと、共演する元宝塚男役スターの宇月 颯さんのスペシャル対談が実現、前編では今回の舞台への意気込みについてを話していただきました!
――今回の舞台、『マリー・キュリー』のお話がきたときのお気持ちを教えてください。
愛希 マリー・キュリーについては「小学校の頃に伝記で読んだ、ノーベル賞を取ったすごい科学者」くらいの知識しかなかったんです。なので、「この題材をどうミュージカルにするのだろう? 私にできる? 難しくない?」と思ったのが最初の印象です。
宇月 私もミュージカルになりそうにない題材だなと思いました。「科学者のお話をミュージカルに?」と。でも、逆に科学になじみがなさすぎたので、どういうふうになるのだろうとも興味が湧きました。
愛希 そうですね、私も今までと違った舞台になりそう!と期待が膨らみました。
宇月 韓国で上演された舞台を映像で拝見した時、最初は字幕を読みながら内容を理解しなければいけないので大変でしたが、あっと言う間に魅了されてしまいました! 気が付いたら終わっていたというくらい引き込まれましたね。
愛希 楽曲が素晴らしいですよね。私も圧倒されてしまい、すごいミュージカルだなと思いました!
――キャストにお互いの名前をみつけたときのお気持ちも教えていただけますか?
愛希 まず何より嬉しかったです! としさん(宇月さんの愛称)は私の師匠ですから(笑)。その後に緊張してきましたが(笑)、ご縁があることを嬉しく思いました。
宇月 私も嬉しかったです!個人的にちゃぴ(愛希さんの愛称)の舞台を楽しみにしているので「今度は一緒に出られるんだ!」って(笑)。ちゃぴはエリザベートをはじめ多くのタイトルロールを経験していますが、今回のマリー・キュリーも彼女にぴったりだなと思いました。
愛希 退団してからガラコンサートなどでお会いすることはありましたが、作品をがっつりご一緒するのは初めてですよね。
宇月 そう、初めて! すごく楽しそうって思いました(笑)。
――『マリー・キュリー』は’18年の韓国での初演以来、韓国だけでなくマリー・キュリーの故郷ポーランドでも高い評価を受けている作品です。〝ファクト〟と〝フィクション〟を織り交ぜた〝ファクション・ミュージカル〟ということですが、見どころをお聞かせください。
愛希 見どころを聞かれると、たくさん思い浮かぶので何を話そうと考えてしまうのですが…。まずは、自由という権利を持っていない女性がテーマになっているというところです。そんな女性が自分の思いを貫いて成し遂げる姿を描いた舞台は、多くの女性に共感と勇気を与えられると思います。そして先ほどもお話に出ましたが、楽曲が素晴らしいです。ダンスシーンは韓国のものよりも少しポップにわかりやすくしてあるので、日本初演の見どころだと思います。あとは、人間関係がとても濃く描かれているので見応えがあります。科学の話がベースですが人間味が溢れているんです! すみません、見どころを絞れずにたくさん話してしまって(笑)。
宇月 本当に絞れないくらい、たくさんあるんだよね(笑)。 私はファクト×フィクションの〝ファクション〟として作られているのが見どころだと思います。史実だけだとマリーのことを、何を考えているかわからない天才のように思うかもしれませんが、マリーの人間味も描かれているので、同じ人間だと共感できるところがいいなと思っています。ちゃぴが演じているからというのもあるんですけど、マリーを構成する要素に可愛らしさがプラスされて、より人としての幅が広がったのではないかと思います。
――それぞれの役の魅力を教えてください。
愛希 マリーは天才すぎて理解できないところがたくさんあるんですが(笑)。台詞で「科学というものに対して好奇心を抑えられない」と言っているとおり、これがないと生きていけないくらい科学について知りたくて仕方がないんです。一つのことを諦めずにやり続けてノーベル賞まで取ってしまうので、本当にすごいなって思います。
宇月 この人はエネルギーを何人分持っていたんだろうと思うよね。私はマリーが発見したラジウムを扱う工場の作業班長ジョシュを演じます。マリーだけでなく、私の役も当時の女性の立場に対して思いがあるので、そのあたりも丁寧に演じたいです。マリーを慕って尊敬している立場というのは演じやすいなと思っています。役としてもマリーの成長を応援して誇らしく思っていますし、マリーを演じるちゃぴを見ても「素敵な女優さんになったね」と思うので。役と素の自分の気持ちがリンクするのが面白いです(笑)。
――お稽古場はどんな雰囲気ですか?
愛希 なんか、必死です(笑)。
宇月 みんな、自分のやるべきことをやっているよね(笑)。
愛希 私は、まず台詞を覚えるのが大変でした。科学用語がまったく頭に入らなくて…頭にイメージできない言葉は頭に入らないです。
宇月 使ったことのない言葉だから、パッと出てこないよね。
愛希 「既存のエネルギー」とか「鉱物のスペクトルパターン」とか…どんなパターンなのか調べれば調べるほどわからなくて(笑)。言葉を間違えないように必死になって、心情がおろそかになってはいけないと焦りました。
宇月 ちゃぴは台詞を入れるのが早かったよ! さすがだと思いました。早い段階でマリーとして話しているなと感じましたから。歌いながら方程式を書いたのには驚きました!
愛希 今はまだ、理解はできていないのですが…、すごい数式だそうです。今回は覚えることが多くて必死になっていますが、他の演者の皆さまが優しく見守って下さるのが嬉しいです。
宇月 皆さまも自分のやることに集中していらっしゃり、お稽古場は充実していて皆で作り上げているといったの雰囲気です!
――お二人とも科学は苦手のようですが(笑)、子供の頃に好きだった教科は何ですか?
愛希 科学に限らず、勉強はさっぱりでした! 体を動かすことしか好きじゃなかったです(笑)。
宇月 私も! 体を動かす体育は好きでした(笑)。
――最後に、この舞台を楽しみにしているファンの皆さまへメッセージをお願いします。
愛希 科学者のマリー・キュリーの話なので難しい?と思われるかもしれません。もちろん難しい科学の話も出てきますが、今の時代だからこそ伝えたい色んなメッセージが含まれている作品でもあります。演出の鈴木裕美さんが「なにか好きなことをやってみればいいんじゃない?それを突き詰めていくことで、何かを見つけることができるんだよ!」とおっしゃっていたように、夢を追いかける希望を持つことができる作品になっていますので、ぜひ楽しむ気持ちで観に来ていただけたら嬉しいです!
宇月 科学者の話だから理解できないということはなく、ご自身の人生に重ねることができたり、これからの目標や活力をお届けできる作品だと思っています。楽曲が素晴らしいミュージカルですが演劇寄りに作られていますので、いろんな要素を楽しんでもらえると思います。ぜひ劇場に足をお運びください!
ミュージカル『マリー・キュリー』
‘18年に韓国で初演、’21年の韓国ミュージカルアワードで大賞をはじめ5冠を達成、マリー・キュリーの故郷であるポーランドでのガラコンサートも大盛況を収めた本作。ファクト (歴史的事実)と フィクション(虚構)を織り交ぜた〝ファクション・ミュージカル〟として日本初演! 【脚本】チョン・セウン 【作曲】チェ・ジョンユン【演出】鈴木裕美 【翻訳・訳詞】高橋亜子 【出演】愛希れいか 上山竜治 清水くるみ/ 能條愛未 宇月 颯 清水彩花 石川新太/ 屋良朝幸 ほか【東京公演】3月13日(月)~3月26日(日)天王洲 銀河劇場【大阪公演】4月20日(木)~4月23日(日)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
愛希れいか
’09年宝塚歌劇団に95期として入団。男役として初舞台を踏むが娘役に転向、可憐な容姿とダンスの実力で注目を集める。’12年月組トップ娘役に就任。’18年『エリザベート』公演で主演後、退団。トップ娘役在任期間は歴代3位となる。退団後はミュージカル『エリザベート』、『泥人魚』、『マタ・ハリ』といった舞台作品から、NHK大河ドラマ『青天を衝け』などにも出演している。
宇月 颯
‘04宝塚歌劇団に90期生として入団。巧みでキレのあるダンスが評判を呼び、’10年『ジプシー男爵』で新人公演主演を務める。‘18年退団後は『笑う男』、『エリザベートTAKARAZUKA 25周年スペシャルガラ・コンサート』ほか、イベントや舞台などで幅広く活動。今年5月~6月にはGANMI×宝塚歌劇OG DANCE LIVE『2STEP』に出演。
撮影/杉本大希 取材/よしだなお 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)