【覆面生理座談会】ピルは太るの?昔に比べて生理の回数は増えている?【ドクターに聞いてみた】

私たち女性の体や生活と切っても切り離せないものなのに、実は知っているようで知らない生理のこと。悩みがあっても、多少辛くても、毎月のことなのに我慢したり、それが普通だと思い込んでいたり。普段、友だちや親に聞けないこと、疑問に思っている生理のことを、CLASSY.ONLINEでは座談会を開いて、読者世代の女性たちに聞いてみました。生理に関するあれこれは将来子どもを産みたい人には、特に大事なこと。「毎月来る不快なもの」で終わらせず、まずは自分の体と向き合ってみては? 第6回目は、あまり行く機会のない人も多い産婦人科のドクターに聞いてみたいことをグレイス杉山クリニックの岡田有香先生にお伺いしてみました。

【覆面生理座談会】ピルは太るの?昔に比べて生理の回数は増えている?【ドクターに聞いてみた】

座談会参加者

【左】ライオン子さん(26歳・スタイリスト)
生理周期がバラバラで、いつ来るか予測できない。婦人科に行くのは心理的ハードルが高く、なんとなく我慢している状態。

【中央左】クマ子さん(28歳・建設関係勤務)
生理痛がかなりひどく、予定をキャンセルしなくてはならないことも。生理アイテムの進化事情に興味津々。

【中央右】パンダ子さん(25歳・不動産関係勤務)
PMSでイライラすることはときどきあるが、生理に関して今のところ大きな悩みはなし。

【右】ネコ子さん(25歳・ライター)
20代になってから経血の量が増えた気がすることと、PMSによる?暴飲暴食が半月近く続くことが悩み。

少子化、出産年齢の上昇で女性の一生の中での生理の回数はとても増えています

――ここまでで、編集室の想像以上にみなさんが生理の悩みを抱えたままにしているように感じました。婦人科にはハードルが高くて行けないとの意見もありましたが、岡田先生に聞いてみたいことはありますか?
パンダ子 私は、ピルについて知りたいです。メリットばかり聞く機会が多いのですが、デメリットもあるなら聞いてみたいです。
ライオン子 私も周期が不規則で生理痛がひどいのでピルが気になるのですが、太るとか、血栓ができやすい? という副作用が気になってしまって避けていました。
岡田先生 今、月経困難症で処方されているピルは、超低用量ピルというものです。メリットとしては、生理痛の軽減、経血量が減る、卵巣がんや子宮体がん、大腸がんのリスクを減らす、PMSの改善、子宮内膜症の発症予防、縮小、ニキビの改善などです。
デメリットとしては、血栓症のリスクが少し上がります。ただ、統計では1万人中1~5人の発症が、3~9人になる程度で、妊娠中は5~20人、出産後は40~65人になるので、実は妊娠中や産後12週間の発症リスクの方が断然高いです。乳がんは10万人中155人が159人に、子宮頸がんは10万人中11人が15人に発症傾向が増えるといわれていますが、先に説明した癌のリスクの低下のほうが大きいです。副作用としては、不正出血が20%ありますが、こちらは2~3カ月で落ち着く方がほとんどです。よく言われていて気にされる方が多い「太る」「気分が落ちる」という症状は医学的には根拠がないと思っていいでしょう。
ライオン子 血栓症のリスクが妊娠中の方が断然高いのは意外でした。
岡田先生 これは私たちの独自の調査ですが、産婦人科では女医の7割がピルを常飲していると言われています。世界の日本以外の先進国では普及率は20%なのに比べ、日本は3%と普及率が低いのが現状です。昔の人は、20歳くらいから子供を生み、平均して4~5人子供を産んでいるので、生涯における生理の回数が50回程度でした。今は、初潮が始まるのが早い上に、高齢出産が増え、出産回数が減少しているので、一生での生理の回数はとても増えていて、婦人科系の病気のリスクがとても高いんです。月経困難症の原因疾患で不妊の原因にもなる子宮内膜症は、生理痛がひどい人ほどなりやすいので、超低用量ピルは予防にも治療にもなります。
パンダ子 種類がいろいろあるのでしょうか?
岡田先生 私のクリニックでは保険適用のものだけで9種類あります。超低用量ピルといっても、毎月疑似生理があるものや、3カ月間生理が来ないものなど様々なので、問診をしてライフスタイルにあったものを提案しています。保険適用ですとまずは1カ月分の処方になります。自費ならオンライン処方もあります。月経困難症の症状がなければ飲む必要はありませんが、生理痛がひどい、周期が不安定など症状がある場合は、おすすめしています。内膜症は一度できてしまうと治らないので、できないようにすることが大事だからです。鎮痛剤や漢方よりも効果があると思いますよ。
ネコ子 私は、経血が生理1日目から終わりまでずっと黒いことがあるんですが、それは病気でしょうか?
岡田先生 黒い経血の生理の時は、やや量が少ないはずです。それは子宮の内膜が薄くなかなか剥がれず、かたまりながら時間をかけてでてくるため、膣内で凝固して黒くなっていると考えます。1年に1度とかではなく3カ月に1回などの頻度であればきちんと排卵していない可能性もあるので、婦人科に行ってチェックして下さい。また、血の塊が2~3時間おきに出るような場合も、婦人科に行っていただきたいです。
ライオン子 私は周期がものすごく不安定なのですが、婦人科に行くべき、行かなくて大丈夫のラインはありますか?
岡田先生 正常な周期は25日~38日で、それ以上やそれ以下の間隔で2~3周期以上続くようでしたら受診して頂きたいです。不定期なのが今回だけでなくずっと続いているようなら、ストレスのレベルではないので、ストレスを軽減したら治るということはないと思われます。逆に、1回だけ突然周期が乱れたような場合は、ストレスを軽減したり、BMIを計算して(体重kg÷(身長m)²)19以下になるようでしたら、標準体重((身長m)²×22)をキープして下さい。みなさん、生理で起こる不快感を我慢しすぎる傾向にあると思います。将来のためにも、もっと自分の体に向き合って、原因をつきとめ対処して頂けたらと思います。

――ここまでで、編集室の想像以

岡田有香先生 プロフィール

グレイス杉山クリニックSHIBUYA院長。日本産婦人科学会、産婦人科専門医。女性が少しでも毎日をポジティブに過ごすための、女性特有の不調や生理の知識をメディアで発信。インスタグラムアカウント(@dr.yuka_okada)でも生理痛など女性特有の悩みに答えています。

撮影/杉本大希 取材・文/味澤彩子 編集/永吉徳子(CLASSY.ONLINE編集室)

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