豪華キャスト陣が集結した映画『そして僕は途方に暮れる』で、キーパーソンとなる役を演じた女優・前田敦子さん。昨年は次々と出演映画が公開されたほか、ドラマに舞台と目覚ましい活躍で、さらにお芝居の世界で引っ張りだこに。多忙なスケジュールを駆け抜けた1年を経て今思うこと、そして2023年の目標についても語っていただいたスペシャルインタビュー後編をお届けします。
PROFILE
前田敦子
1991年千葉県生まれ。アイドルグループ「AKB48」の第1期生として2012年まで活動。卒業以降は、テレビドラマや映画、舞台に多数出演、女優として活躍している。2019年に映画『旅のおわり世界のはじまり』と『町田くんの世界』で第43回山路ふみ子映画賞女優賞を受賞。NODA・MAP第24回公演『フェイクスピア』(21年)で野田作品に初参加。近年の映画出演作に、『コンビニエンス・ストーリー』『もっと超越した所へ。』(ともに22年)『そして僕は途方に暮れる』『あつい胸騒ぎ』(23年)
2023年は「気持ちのいいウォーキング」が理想です
—— 2023年を迎えたばかりですが、2022年はどんな1年だったでしょうか?
自分でも本当に慌ただしかったなと思いますね。もちろん充実はしていたんですけど、去年と同じペースをもう1回できるかって聞かれたら、ちょっと難しいって考えてしまうかもしれません。
—— 前田さんの名前をいろいろなところで見かけ、ジャンル問わず幅広く活躍されている印象を持ちました。
本当にこの仕事って求めてもらってなんぼの世界じゃないですか。これからどんな出会いがあるのかまだ先のことは分からないですけど、今のところ2023年はなんとなく自分のペースみたいなものを作っていけそうな気がしています。去年は映画、ドラマ、舞台とオールマイティにお仕事をさせてもらったので、今年はどちらかというとちょっと絞ってお仕事をしていくような感じかなと。気持ち的に、ちょっとゆっくりするつもりでもいます。
仕事自体はすごく好きですし、仕事を自分から切り離すのは、自分の人生的にもちょっと違うかなと。でも去年はとにかく走り続けていた感じがするので、今年は早歩きくらいになったらいいのかな。いきなりペースを落としすぎるとそれはそれで、逆に乱れそうじゃないですか。気持ちのいいウォーキングくらいが理想ですかね。とは言いながらも、年末にまた「全力で走っちゃいましたー!」って言っている可能性はあります(笑)。
仕事もプライベートもバランス良く両立を心がけていきたい
—— CLASSY.読者の大事な価値観の一つに“自分らしい働き方”があるのですが、前田さんはどんな働き方を自分らしいと感じますか?
私の場合は家に帰ると息子がいるので、帰ったときに「疲れた…」ってならないように仕事することをルールとして心がけているかもしれないですね。私の帰りを待っている息子に疲れた顔を見せるのは違うかなと思っていて。息子もよく「頑張って」と言ってくれますし、笑顔で「ただいま!」って言う毎日を過ごすことは、自分の中で大事にしておきたいです。あとは家のことを後回しにして、家の中がぐちゃぐちゃになるのも嫌。息子との関係はもちろん、家の中もいつでもいい状態にしておきたい。そこを崩さずに仕事に取り組むのは、自分の中で決めたルールですね。
—— そのような考えに至った何かきっかけはありますか?
まさに去年なんですけど、ミュージカル『夜の女たち』で難しい役に挑戦したときに、自分のことまで手が回らなくなってしまったことがあったんです。自分のキャリアとしてすごく刺激的な経験にはなりましたけど、仕事以外でも役のことばかり考えて、試行錯誤を繰り返す毎日を送るなかで、私って何を大事にするべきなんだろうと感じたんです。いろいろ考えた結果、自分の私生活がぐちゃぐちゃになるくらい仕事に没頭してしまうのは違うなと。仕事に生きて、私生活をなあなあにするのは、31歳になった今、自分に合っていないなというのを実感しました。
—— 自分を見つめ直すことで、また一つ心境の変化があったんですね。
そうですね、自分軸は持とうと。去年の10月にミュージカルが終わって、そこからしばらくお休みさせていただいたんです。いつもは今やっている仕事の最中に次の作品を決めるのがルーティーンなんですけど、今ここで次の作品を決めると絶対に中途半端になっちゃうなと思って。自分にもお仕事にも責任を持つために、一回立ち止まる選択をしました。また12月からお仕事させていただいてますが、一回止まってみるのもいいなと思うきっかけにもなりました。
プライベートで叶えたいことは「いちご狩り&海外旅行」
—— プライベートで2023年に叶えたいことはありますか?
それがいっぱいあるんですよ!まずはいちご狩りに息子を連れて行きたくて。ちょうど息子が歩き出したのがコロナ禍真っ只中で、「いちご狩りに行きたい!」ってずっと言われていたんですけど、なかなかタイミングがなくて。世の中的にもちょっと開放的になってきたかなと思うので、まずはいちご狩りに行って、あとは海外旅行にも一緒に行きたいですね。
—— 海外旅行はどこに行きたいですか?
息子が動物が好きなので、オーストラリアに連れて行ってあげたい。以前仕事でオーストラリアのタスマニアで誕生日を迎えたことがあるんです。私7月生まれなんですけど、向こうは真逆の季節だから冬で雪が降っていて。すごく思い出に残っているので、息子にも見せてあげたいなと。あとはオーストラリアにいる動物が可愛いんですよ。特にクオッカっていう、口角の上がったワラビーが本当に可愛くて。私もまだ行ったことがないんですけど、ロットネスト島っていう小さな島にたくさんいるんですよね。この機会に息子とクオッカに会いに行って、一緒にセルフィーを撮りたいです。
つい徹夜しちゃうくらい「パズル」の虜に
—— 最後に、直近で何かハマっていることはありますか?
去年の終わりくらいに1,000ピースのパズルをやったんですけど、それがすごく楽しくて!ディオールのパズルです。デザインが可愛かったのでやってみようと買ったんですけど、いざ開けてみたら想像以上に細かい!パリにあるディオールのブティックのパズルなんですけど、もうびっくりするくらい窓がたくさん(笑)。同じ窓が何個もあるので苦労しましたけど、3日続けて徹夜しちゃうくらいには楽しかったです。もともと1人で淡々とやる作業は好きですし、この熱量のまま他のパズルもやってみたいんですけど、完成したあとどこに置こうという問題が…。
—— ディオールのパズルはどこかに飾られたんでしょうか?
リビングに飾りました。しっかり額に入れて。息子とまっすぐ?斜めになってる?とか確認しながら飾る時間も楽しかったですし、似たようなところでレゴも好きなんですよ。今のレゴの説明書ってすごく画期的で、どんどん完成していくのがクセになるというか。やっぱり私こういう細かい作業好きなんだなと思いました。
フォトギャラリー(全4枚)
映画『そして僕は途方に暮れる』
1月13日(金)より全国公開中
平凡な1人のフリーターが、ほんの些細なことから、あらゆる人間関係を断ち切っていく、人生を賭けた逃避劇。逃げ続けたその先で、彼を待ち受けていたものとは――。各所から絶賛を浴びたオリジナルの舞台が映画化。予測不能なストーリー、共感と反感が渦巻く《現実逃避型》エンタテインメントが誕生。出演/藤ヶ谷太輔、前田敦子、中尾明慶、豊川悦司、原田美枝子、香里奈、毎熊克哉、野村周平
撮影/花村克彦 ヘアメーク/高橋里帆(HappyStar) スタイリング/有本祐輔(7回の裏) 取材・文/所 優里 編集/宮島彰子(CLASSY.ONLINE編集室)