女性なのに「女嫌い」を乗り越えた方法【中編・男ウケのいい可愛い服を着る女子への誤解】

誰もが感じたことのある女友達に対するネガティブな感情や、モヤモヤした気持ち。それって女は嫉妬深い生き物だから?それとも私の性格が意地悪なせい?いいえ。どうやら、モヤモヤの正体はもっと別のところにありそうです。

女性にとってのミソジニーとは〝自己嫌悪〟。脱却することで、生きやすくなるはず

自分の中にある「女嫌い」に向き合い、作品やSNSを通じて発信されている瀧波ユカリさんと山内マリコさん。どうやってミソジニーを乗り越えたの?女友達と仲良くするヒントは?ミソジニーをテーマに語っていただきました。

自分の中にあったミソジニーを自覚した瞬間

瀧波:若い頃の私は「男ウケのいい可愛い服を着る女子」=モテだけを意識して服を選んでいると決めつけていて、どこか見下しているところがあったのですが、ある時「そういうファッションが好きで着ているコもいる。それにモテで服を選ぶのも悪いことじゃない」と指摘されて。確かにその通りだと思い、自分のミソジニーに気づいてゾッとしました。そこから過去を振り返り、頭の中で修正作業が始まりました。本を読んだりしていろんなことがわかってくると、女同士で自分 たちの中にある女性蔑視がぶつかり合っている構造が見えてきたんです。
山内:私の場合は20代後半になって「若い女のコ」というティアラが奪われる気持ちを味わい、自分の価値は年齢だったのか?と疑問を抱き始めました。そんな頃に出会ったのが上野千鶴子さんの『女ぎらい』。自分が直面している混乱が完璧に理論化されていました。女子全員が男性から「選ばれる」という受け身な存在である以上、友情も「女らしさをめぐる覇権ゲーム」となり、ねじれて、分断させられてしまう。「そういうことだったのか!」と腑に落ちました。

ミソジニーを乗り越えるとものの見え方が全然違う!

瀧波:男ウケする服を好きで着て

瀧波:男ウケする服を好きで着ている人もいると考えられるようになったことで、相手を「そういう〝人〞」として認めるという考え方が自分の中にインストールされました。それだけでものの見え方が全然違うし、すごく楽になりました。
山内:そうなんですよね。ミソジニーを取り払ったほうが自分が楽になれる。私は大学時代に心の底から打ち解けられる女友達に出会えたことと、ミソジニーが理論化されたことで、これまで感じてきた女子に対する苦手意識やコンプレックスがなくなっていく感覚がありました。

女友達への苦手意識がミソジニーなんだとわかったらすごく生きやすくなりました−山内さん
“人として”なら嫌ってもいい。 相手のことも自分のことも “女”という枠を外して捉えたい
−瀧波さん

教えてくれたのは...

作家・山内マリコさん 1980

作家・山内マリコさん
1980年富山県生まれ。最新刊は『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』。『あのこは貴族』など、女性の繊細な心の機微を描き出す作品が多数映画化。『一心同体だった』(光文社)10~40歳まで、それぞれの年代の女子の友情がロンド形式でつながっていく全8話の短編集。

漫画家・瀧波ユカリさん 198

漫画家・瀧波ユカリさん
1980年札幌市生まれ。ドラマ化もされた人気作『臨死!!江古田ちゃん』『モトカレマニア』をはじめ、『ありがとうって言えたなら』、育児エッセイ『はるまき日記』など著作多数。『わたしたちは無痛恋愛がしたい 2』(講談社)恋愛におけるジェンダー不平等、女性がのみこんできたモヤモヤを言語化。最新刊が好評発売中

イラスト/Erika Skelton 取材/加藤みれい 再構成/Bravoworks.Inc

Magazine

最新号 202412月号

10月28日発売/
表紙モデル:山本美月

Pickup