女性が「女友達にネガティブな感情を抱く理由」【前編・嫉妬やマウンティングが起こるワケ】社会学者・上野千鶴子さんに聞いてみました
誰もが感じたことのある女友達に対するネガティブな感情や、モヤモヤした気持ち。それって女は嫉妬深い生き物だから?それとも私の性格が意地悪なせい?いいえ。どうやら、モヤモヤの正体はもっと別のところにありそうです。
「社会に深く根付く〝女嫌い=ミソジニー〟を理解するといろいろなものが見えてきます」
女同士のあいだで感じるモヤモヤやネガティブな感情の正体は一体何?『女ぎらい』の著者でも知られる上野千鶴子さんに、解説してもらいました。
女性たちは男性をめぐってライバル関係におかれている
“女の価値は、その女を選んだ男の持つパワーによって決まる〟。この仕組みがわかるとドロドロとして見える感情にも説明がつきます
「ミソジニー」は「女性嫌悪」や「女嫌い」と訳されますが、男性にとっては「女性蔑視」であり、女性にとっては「自己嫌悪」となります。男は「女でなくてよかった」、女は「女に生まれて損をした」という意識が根底にある、と言えばわかりやすいでしょうか。
ミソジニーを説明するには、社会における男性と女性の構造的立ち位置を知る必要があります。簡単に言うと「女性は男性に選ばれる受動的な存在である」ということです。私の著書『女ぎらい』でも取り上げた、英文学を専門にするジェンダー研究者、セジウィックの理論によると、この社会は男性を中心に成り立っていて、女性はその男性集団の正式なメンバーではありません。女性がその集団に参入するには、その中の男に選ばれて「妻の座」という指定席につく必要があります。そのような状況下で、女性は男性集団が与える指定席をめぐって潜在的なライバル関係におかれてしまうのです。
女性にとっては、その集団の中でもトップにいる男性に選ばれたほうが自分の価値も高くなり「女の価値はその女を選んだ男の価値によって測定される」という仕組みが成立します。だからこそ、女はより優れた男性に選ばれようとしますし、なかには男によって女と認められず、選ばれない女性も出てきます。必然的に「女の敵は女」ということになってしまい、嫉妬やマウンティングが起こります。
解説してくれたのは…社会学者・上野千鶴子さん
1948年富山県生まれ。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長。日本を代表する女性学の研究者として、東京大学名誉教授時代の2019年には東京大学入学式の祝辞で日本におけるジェンダー問題に触れ話題に。2023年1月2日にはミソジニーの解説をした特別番組「100分deフェミニズム」(NHK)が放映予定。
イラスト/Erika Skelton 取材/加藤みれい 再構成/Bravoworks.Inc
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