クリス-ウェブ佳子さん「幸せにしてほしい、と結婚し幸せになりたい、と離婚」【素敵な40代が、30代にしておけばよかったこと】
今の自分より、少し上の世代の素敵なひと。そんな人に「こんなとき、どうしましたか?」と聞きたくなるときがあります。30代は、人生のいろいろな選択肢があるからこそ、迷うとき。先輩たちがCLASSY.世代のために、失敗も葛藤も包み隠さず教えてくれました。
“幸せにしてほしい、と結婚し幸せになりたい、と離婚”
【コラムニスト】クリス-ウェブ 佳子さん
結婚はタイミングを選ばなくていいと思う
時代もあると思いますが、同世代の友人の中には、30代で仕事が波に乗りキャリアを積み上げ、家庭を持つことを結果的に選ばなかった人も多いんです。でも本来は、結婚・子育て・仕事ってどれかひとつしか選べないことではないと思うんですよね。いつが結婚のベストタイミングかなんて分からないし、そういう意味ではタイミングなんて一生来ない。私は24歳の時、妊娠をきっかけに結婚しましたが、今の時代はなおさら、衝動的にしないと結婚はできないと思うから、あまりタイミングに囚われなくてもいいんじゃないかな。どうしても女性は結婚と仕事の両立を考えてしまうけれど、家事・子育て・仕事はバランスなんて取れないもの。人間はむしろバランスが取れて停滞すると飽きてしまうから、アンバランスくらいでちょうどいい。私はそのほうが面白いと思います。
それから、結婚を見据えたときに、自分とパートナーが何で満たされるタイプなのか理解しておくのも大事。『The 5Love Languages』という本には、言葉・時間・贈り物など愛の伝え方には5つの方法があると書かれていて、おすすめの1冊。満たされるポイントは人によって違うから、お互い前もってすり合わせておくと無駄なすれ違いや勘違いを避けられて楽です。
対して、離婚は冷静に、計画的に
経験者として「結婚は衝動的に、離婚は計画的に」と口酸っぱく言っていますが、実際に私が離婚にかけた時間は5年。35歳くらいから雲行きが怪しくなり、38歳で修復を目的に別居。その頃は子どもが多感な時期に入ったばかりだったこともあり、再構築を考えていました。けれど40代からは人生の第3チャプターとしてより幸せに生きていきたい!と思って。40手前、39歳で離婚しました。ゆっくり時間をかけて穏やかな離婚をしたので、夫が再婚した今も良好な関係が続いています。私のパートナー、夫側も含め、家族が大きくなった感覚。きっと衝動的に離婚していたら今のような関係性は築けていなかったと思います。
離婚の経験も踏まえて、30代でやっておけばよかったことを挙げるなら、夫婦の財布を別にしておけばよかった。将来に備えて貯蓄したり、もっとお金の勉強もしておきたかった。自分で働いて稼ぐことも大切だけど、お金に動いてもらって運用することをもう少し早い段階で意識してもよかったかな、と。30代でしておけばよかったと思うことはそれくらいですね、しなくてよかったことはたくさんあるけれど(笑)。
24歳で結婚するときは正直、相手に幸せにしてほしい気持ちが大きかった。でも離婚は、自分で幸せになりたくて選択したこと。お互いの幸せを願う気持ちは、実は結婚したときよりも大きいかもしれない。だからもし、CLASSY.読者のみなさんが離婚を選択する場面では「不幸だから」じゃなくて「幸せになりたいから」と、少しでも前向きに考えて決断してほしいな、と思います。
ファッションも30代からは「掛け捨て」ではなく「積み立て型」に
NYに住んでいた19歳の頃に、30歳でサンローラン、40歳でグッチ、50歳でシャネル、60歳でエルメスを買う、と決めました。
当時、日本から遊びに来た同級生の友人たちがSOHOでブランドものをこぞって買っていたのですが、私自身はそういう買い方はできなかった。あの頃は背伸びしたオシャレが気恥ずかしくて、自分は身の丈に合うものを選べる人でいようと思ったんです。でもスタイリストの山本康一郎さんにこのエピソードを話したら、「それに見合う自分になればいいんだよ」と、さらっと言われて。「確かに!」と腑に落ちて、ファッションも保険と一緒で掛け捨てじゃなく、積み立てに変わりました。若い頃は、その時々で流行っているものや安いものも買っていましたが、ワードローブは積み立てと捉えて長く使えるいいものを選ぶように。ようやく実践に移せたのは30代中盤を過ぎたあたりだったので、もっと早くから無理をしてでもいいものを買っておけばよかったな、と思います。
素敵だと思う人は“自分で自分の人生を決めてきた人”
大人になって改めて素敵だなと思うのは、自分で自分の人生を決めてきた人。選ぶときには、選択に責任を取る覚悟も必要ですね。思い通りに進まないときは誰かのせいにしたくなるけれど、周りがどうにかしてくれるわけじゃないから、逆に苦しい。人のせいにはできないからこそ、自分で決めなくてはいけないと思うんです。でも今の若い世代は、自分で決められる人が多い印象。ネットショッピングも今のCLASSY.世代はとっても上手ですよね。誰かがセレクトしたショップではなく、不特定多数のネットの中から自分に合ったものを選べるって実はとてもすごいこと。自信を持って、堂々と人生を選択していってほしいなと思います。
【クリス-ウェブ 佳子さんの30代キャリア年表】
30歳:24歳で結婚後、専業主婦を続ける
32歳:VERY専属モデルとして活動開始
34歳:『VERY』にてコラム連載をスタート
38歳:別居。初エッセイ本『考える女』出版
39歳:離婚。『TRIP with KIDS―こありっぷ』出版
クリス-ウェブ 佳子さん
1979年生まれ。大阪府出身。2011年より10年間、VERY専属モデルを務めた。現在は『VERY NAVY』、『STORY』をはじめとする女性誌から広告やトークショーまで幅広いジャンルで活躍。インスタは @tokyodame。
撮影/水野美隆 ヘアメーク/森野友香子 スタイリング/安西こずえ 取材/坂本結香 再構成/Bravoworks.Inc