Makuake取締役・坊垣佳奈さんインタビュー「得意不得意を見極め、できないことは人に任せて、得意なことを伸ばしたほうが個人としての力も身につく」
ジレのセットアップにロエベのバッグで、私服もとても素敵だった坊垣さん。お会いする前はバリバリの経営者、というイメージでしたが、「そのバッグ素敵ですね」と聞くと「アウトレットで見つけたんですよ!」と教えてくれるチャーミングな一面も。 自分の本当にしたい仕事を見つけるヒントを、教えてもらいました。
自分も周りも幸せにするウェルビー女子な生き方、教えてもらいました
【Makuake取締役】坊垣佳奈さん
苦手なことより、得意なことのほうが伸びていくから
がむしゃらな20代を経て、ようやく世の中が見えてきて選択肢も広がり、自分のやりたいことに出会えた30代。20代のうちはやりたいこともそこまで明確にならないと思うんですよね。でも20代で悩むのは正しいし、一生懸命仕事に向き合っていたら、 30代になる頃にはきっとやりたいことも見つかると思うんです。
あとは自分の得意不得意を理解するのも、やりたいことを見つけるひとつの方法。幼い頃、自分の意思でいろんな習い事に通わせてもらっていたのですが、いくつか苦痛なものもあり(笑)。小学校低学年ですでに、好きなものは上達するけど、嫌いなものは上手くならないし、好きな人には敵わない、という気づきがあったんですよね。とは言いながら優等生タイプではあったので、やれと言われたことはやってきましたが、20代の起業経験の中でもやっぱりできないことや嫌なことがあって。得意不得意を見極め、できないことは人に任せて、得意なことを伸ばしたほうが個人としての力も身につくと思います。私自身も苦手なことやできないことは信頼できるメンバーに一任。部下にも苦手なことばかりやらせたくなくて、好きなことや得意なことでポジションやミッションを決めるようにしています。そのほうがみんな気持ちいいし、モチベーションアップにも繋がって健全ですよね。
女性がいろんな分野で働くことは、世の中を絶対に良くすると思う
一概に性別で分けられるものではないけれど、どちらかと言うと女性のほうが権力や権威に興味がない人が多いと感じます。私も立場的に野心があると思われがちですが、そんなことはなくて、起業はやりたいことを叶えるための手段でした。今の時代は、結婚してる/してない、子どもがいる/いないに関係なく、女性がいろんな分野の仕事に従事し始めていて、この流れは絶対に世の中を良くすると確信しています。女性のやりがいって、権威・権力・富よりも、誰かに喜んでもらえるかとか、豊かさを感じるかを重視する傾向が強い。男性の中で経営をやってきたので、そういうスタンスの女性が男性の中に入り、バランスを取っていくことの重要性も実感しています。男性だけになると、数字や事業を伸ばしていく話に終始しがちで、いいサービスを作っていく話にはなりづらかったりするんですよね。それも間違いではないけれど、「私たち、なんのためにやっているんだっけ?」と定期的に問い質せるバランス感覚は女性のほうが持っている気がしていて、そういう観点でも女性が各所で活躍することは大事だと思っています。うちの会社は、社員も管理職も男女半々。これは計算しているわけではなくフラットに採用して評価した結果なのですが、上場企業で常勤役員の半分が女性なのは日本ではかなり珍しいと思います。よく男性は「女性は昇進欲がない」と言いますが、多分それって間違っていて。新しいミッションを提案すると、男性はやりたいかやりたくないか、女性はやれるかやれないかで答えるんです。女性は責任感が強いあまりに新しいことは大体「自信がないです」とか「迷惑をかけそうなのでやれません」っていう反応になってしまうんですよね。そんなとき私は「責任は私が取るから一旦、やってみよう」と背中を押して、彼女たちの活躍の場を狭めないように向き合っています。
何が本当にしたいかの答えは、自分の中にしかないから
人と比べてどうとか、周りからどう見られているかとか、みなさん意外と外と向き合いがちだと思うのですが、やりたいことに立ち返るには、内省に時間を割いた方がいいと思います。何をしていると幸せで心地いいか、何がやりたいかは、自分の中からしか出てこないし、そこに素直に向き合うことが大切。何より内側から出てきたことって正直な想いだから続けやすい。誰かに言われたからとか流行っているからではなくて、自分が心からやりたいことだから、という想いは揺るがないし、一番のモチベーションになります。本当にしたいことに向かって努力したり、続けるためにも自分の内側の声に耳を傾けることが重要だと思うんです。
坊垣佳奈さんのMY WELLBEING
フォーマルから休日まで着物を楽しんでいます
学生時代を京都で過ごし、日本の伝統や文化は身近な存在。その地に根付いたものを大事にしたい想いは、「生まれるべきものが生まれ、広がるべきものが広がり、残るべきものが残る世界の実現」という会社のビジョンにも通じています。
PROFILE
1983年生まれ。兵庫県出身。同志社大学を卒業後、株式会社サイバーエージェントに新卒入社。広告、ゲーム領域で子会社の起業や新規事業の立ち上げに携わる。2013年、株式会社マクアケに共同創業者・取締役として参画。現在は、主にキュレーター部門、広報、流通販路連携関連の責任者として応援購入サービス「Makuake」の事業拡大に従事。自治体と連携した地方創生にも尽力。著書に『Makuake式「売れる」の新法則』(日本経済新聞出版)がある。
撮影/杉本大希 ヘアメーク/川村友子 スタイリング/平沼洋美 取材/坂本結香 再構成/Bravoworks.Inc