「写真撮られるの、苦手なんです~」と意外なことを言いながらカメラの前に立った吉高さん。とはいえ自然体で、笑ったりポーズをしたり。「めちゃくちゃパソコン打つの早いですね!どうやってるんですか?」と逆取材される場面も。周りが思わず支えたくなる、そんな人なんだろうと感じました。
自分も周りも幸せにするウェルビー女子な生き方、教えてもらいました
大人になって、「もう無理!」と自分を許せるようになりました
これまでは職場が舞台の働く女性の役が多かったけれど、30代になり、そのうち母親役も出てくるのかなと思っています。現場での立ち位置や求められることはあまり変わっていないけれど、28歳くらいから働き方には少し変化がありました。その頃から年に連ドラ1本と映画1本くらいの仕事量にしていて、半年くらいは休みを取るようにしています。以前、2年ほど仕事を休んだことがあって。それまで詰め詰めのスケジュールで働いていたので、キャパオーバーで欠落しちゃったんでしょうね。がむしゃらに仕事して、多くの人に見てもらったり知ってもらう期間を経て、今は自分に合ったペースでやらせてもらっていて、この働き方がしっくりきています。でもイレギュラーに仕事が立て込むこともあって、「思ってたのと違う」となることも(笑)。今でもいっぱいいっぱいになる場面もありますが、一緒に立ち止まって話を聞いてくれる監督やマネージャーがいるから心強いです。
とはいえキャリアに悩んだら全部やったらいいんじゃない、って思っています。やってみてできなかったら戻れるし、変えられる時代だし。「失敗して仕事がなくなったら……」と不安になるかもしれないけれど、仕事はきっと何かしらあるよって言いたい。やらないで後悔するよりもやって後悔するほうが血肉になるから、挑戦しないのはもったいない。
最近、いい意味で「どうにでもなるな」と思えるようになったのも変化のひとつ。それは大人になって自分を許せるようになったからかもしれないです。これまでは経験もなかったし、憧れも強かったから、「こういう自分がいい」っていう理想やハードルを自分自身で上げて苦しくなっていたんだと思う。今は完璧度の許容範囲が広がり、自分への期待を持ちすぎず、「無理無理」って言えるようになって、苦しくなりにくい方法を見つけた感じ。ストイックに攻めて達成の快感を得る生き方もあるけれど、人生長いですからね。自分が呼吸しやすくて居心地よくいられる方法や、環境を大事にしています。
いい評価も悪い評価も、全部をそのまま受け止めないように
10月7日から始まる舞台『クランク・イン!』では、女優の役を演じます。演技している役の演技になるので、その芝居は本心なのかそうではないのか、自分の中で整理がつくのか不安はありますが、ほぼ全員が女優役というのも初めてなので楽しみです。
作品に出演する中でいい評価も悪い評価もいただきますが、周りからの評価はそのまま受け止めないようにしています。いい評価は、作品やキャスト・スタッフ・タイミングがよかったからだと捉えていて。悪い評価は、応援してくれる人もいれば嫌いな人もいるわけだからと。どちらにせよ全部は受け止めない。それが一番傷つかない道だし、じゃないと続けられないよね、とも思っています。今、この仕事を辞めて就職してもやりづらいだろうし、バリキャリの役をやっておきながら仕事ができないのも恥ずかしいし(笑)。先のことは明確には決めていないけれど、将来に余白を持ちながら、受けた仕事は最後まで責任を持って大切にしたいなと思っています。
吉高さんのMY WELLBEING
どんな天気の日でも空を見上げています
年齢とキャリアを重ねる中で、自分が無理せず心地よくいられる方法が身についてきたように思います。空を見上げることもリフレッシュのひとつ。どんな天気でも1日1回は無意識に見上げていて、空の写真を撮るのも好き。
PROFILE
1988年生まれ。東京都出身。2008年『蛇にピアス』で主演を務め、「第32回日本アカデミー賞」新人俳優賞、「第51回ブルーリボン賞」新人賞をダブル受賞。2014年にはNHK連続テレビ小説『花子とアン』で主演を演じた。以来、NTV『東京タラレバ娘』、TBS『最愛』など数多くの作品で活躍。2024年NHK大河ドラマ『光る君へ』では、主演の紫式部/まひろ役を務める。10/7からは本多劇場で上演の『クランク・イン!』に出演。(東京公演10/7(金)~30(日)。ほか、静岡、大阪、愛知公演あり)
撮影/YUJI TAKEUCHI(BALLPARK)ヘアメーク/RYO スタイリング/藤本大輔〈tas〉取材/坂本結香 再構成/Bravoworks.Inc