川上洋平さん「いつもは音に助けてもらっている部分を、しっかり言葉に乗せることができました」書籍出版記念スペシャルインタビュー

CLASSY.本誌やONLINEに登場するたび、読者から大反響が寄せられる[Alexandros]の川上洋平さん。9月28日には、自身初となるエッセイ『余拍』を発売し、マルチな才能をさらに発揮している川上さんに直撃。書籍に込めた思いやお気に入りのパート、書籍執筆の裏話まで、たっぷりお話を聞かせてもらいました!

“音が乗っかっていない言葉”で紡いだ1冊

-『余拍』の発売おめでとうござ

-『余拍』の発売おめでとうございます! 一冊の書籍を書き下ろすにあたって、特に苦労したポイントはありますか?

どんな本にしようか、ここに一番悩みました。でも結局は「とにかく書こう、書きはじめよう」と思って、書き進めていったら最終的にこういう本になりました、って感じです。書き始めてからはそんなに苦労しなかったんですけど、書き始める前が一番大変でしたね。どういう本にすればいいんだろうって結構考えました。

-内容について、周囲に相談したりしたのでしょうか?

いや、あんまり? 出版社の担当の方とも少しは話したりしたんですけど、まず最初は「書きたい」っていう欲だけで、書いてまとめてみようと。書くのは好きなので、始めたら結構筆が乗って。書きすぎちゃって、最終的には削られたりもしたんですけど(笑)。

-一冊の本に仕上がってみて、今の気持ちはどうですか?

やー、嬉しいですね、やっぱり。写真も載ってますけど、言葉がメインっていうのが初めてで。“音が乗っかっていない言葉”というのは、よく言ったもんだなと思いました。今までは、音に乗せることによって、言葉だけでは表しきれない気持ちを伝えようとしたこともあったし、音に任せたこともあったんですけど、今回の本は言葉だけなので。そういう意味では、いつもは音に助けてもらっている部分を、しっかり言葉に乗せることができるんだなって発見できましたね。新たな気づきで、楽しい部分でもありました。

書籍に対するメンバーからの意外な反応とは?

-実際に川上さんが話しているような自然な文体が印象的でした。文章を書く時に特に意識したことはありますか?

結構ストレートに書いてる部分もあるので、「それは流石に辛辣すぎますかね」と内容について編集の方から相談された部分があったり、「もうちょっとマイルドな表現にした方がいいかもしれませんね」と言われて直した部分もあるにはあるんですけど、本当にそれはちょっとだけ。全体を通して、結構最初に書いたままなんです。伝えたい本質には、きちんと芯があるんじゃないかな。そこは大事にしましたね。

-発売されて、周囲からの反響は?

いい反応をたくさんもらっています。お渡し会でファンの方からもいい反応をもらいました。お渡し会、すごく面白かったんです。ライブに来てくれるファンの方だけじゃなく、俺のことは全然知らないんだけどドラマ見て気になってという方とか、『太田上田』を見て知ってくださった方とか、いろんな方と会えたので。あ、あとこの本、メンバーも面白がって読んでくれました。

-メンバーの皆さんからは、具体的にはどんな反応があったのでしょうか?

みんなもっとふざけた感じで感想を送ってくるのかなって思っていたんですけど、結構真面目に「本当に面白かった」と言われたんです。ドラマの時みたいに茶化される感じかなと思ってたんで、ちょっとびっくりしましたけど。本を読んだメンバーから「(川上洋平には)そういう側面もあるんだな」「そういう気持ちで人生を歩んできたんだな」って感想をもらったとき、あーそっか、ちゃんと伝わってなかったところもあったんだなって思ったんです。俺としては、人生の半分以上を共にしているメンバーだから、言わずとも伝わることって多いんじゃないかなって思ってたんですけど、そうじゃなかったなって。それも発見でしたね。

歌詞に込めた思いを解説できたーー書籍のお気に入りパート

-書籍のなかで、特にお気に入り

-書籍のなかで、特にお気に入りのパートはありますか?

[Alexandros]の話もお気に入りですけど、川上洋平の中身について書いた第五章も結構面白いなって思っています。死生観とかSNSについてとか、戦争について、みたいな真面目な話も結構ありますし、自分が歌詞とかになんとなく散りばめていることを、言葉にして、言葉だけで綴ることができたパートです。たとえば、見出しになっている「“NO WAR”の前に“KNOW WAR”」とかってフレーズは歌詞にしてたりするんです。「You’re So Sweet & I Love You」って楽曲なんですけど。そういう歌詞に込めた気持ちとかを、ちゃんと解説しながら話せた感じはありますね。昔から好きでいてくださったファンの方だったら気付くようなところもあると思うんです。「あ、ここってあの曲について書いてるな」とか。以前からなんとなく歌詞に入れ込んでいるようなことをこの第五章では書いているので、今までの楽曲のメーキング的な側面もあるかもしれないです。

-文章を書くのが好きとのことでしたが、筆が乗ると一気に原稿が書けるタイプですか?

(即答で)うん、そんなタイプだと思います。ただまあ、書いてからが時間がかかるタイプで。まず自分で思うままに書いてから、どうまとめるか、削るか、増やすか、削って増やして、みたいな。編集の方に最初の原稿を送るのは、修正なしでパッと渡して。漏れてきた言葉を、こぼれてきたまま、まずは綴って。音楽やメロディーが頭に流れてきて、鼻歌歌うじゃないですか。それを言葉でやった感じです。

-最終的に一冊としてまとめるには、たくさんの試行錯誤があったんでしょうか?

もうめちゃくちゃたくさん、編集の方とやりとりしました。会社の会議室で一緒に朝を迎えましたから(笑)。地方でのライブが終わって、そのライブの直後に東京に戻ってきて、家に帰って猫たちにエサをやってから、会議室に0時に着いて。初めての訪問の感慨にふけるまもなく、ずっとずっと書きました。「書き終わるまで逃がしませんよ!」じゃないけど(笑)、結局朝の9時くらいまで書いていましたね。一緒になって一冊を作り上げていただいて、本当に感謝しています。

「今はもう新しいモードです」アリーナツアーにかける思い

-書籍の発売にあわせてのお渡し

-書籍の発売にあわせてのお渡し会はいかがでしたか? いつもはライブという形で会っているファンの方と、違う形でコミュニケーションをとられてみての感想を教えてください。

「本当にファンの方っているんだな」って思いました(笑)。ステージって不思議な空間で、生の音を聴いてもらってライブを見せる場所なんですけど、観客とパフォーマーっていう立ち位置の違いはあるじゃないですか。でも、お渡し会では1対1の、人間対人間というか、変な武器を持たずタイマンでライブしている感覚。目を見ながら感想を聞けて、話ができるって大切だなって思いました。

-「川上洋平、実在してた!」みたいな反応もSNSにはあがっていましたが?

それは俺もです(笑)。ファンの方っているんだ!って。よかったです、いてくれて。

-書籍も無事発売され、いよいよアリーナツアーが始まりますが、意気込みは?(※取材日はツアー開始前)

今回は、新しいドラマーのリアドが入って初のアリーナツアーなので、すごく楽しみですね。ホールツアーをやってからのアリーナツアーなので、セットリストは結構ガラッと変えようかなと思っています。演出も変えたいですね。ホールツアー、すごく楽しかったんですけど、期間も長かったのでメンバー自身もちょっと飽きてきたというか(笑)。今はもう新しいモードになっているので、それをお見せできたらと思います。ホールツアーはアルバムツアー的な側面があったんですけど、アリーナツアーでは結構昔の最近全然やっていない曲を盛り込んだりもしたいですね。あとはそれぞれの会場で2DAYSずつあるので、1日目と2日目で内容をガラッと変えても面白いなって思います。


[Alexandros]川上洋平
初エッセイ『余拍』好評発売中

生い立ち、学生時代、これまでとこれから…“川上洋平”のすべてがわかる

ロックバンド[Alexandros]のボーカル&ギター、川上洋平さん初のエッセイ。シリアで過ごした幼少期、帰国後の学生生活、20代後半でデビューし、駆け抜けてきた音楽への思い、そしてこれからの人生についてーー川上さんがこれまで明かすことのなかったエピソードを盛り込んだファン必見の1冊。セルフコーディネートを含む撮りおろしカットも多数掲載。

TOUR INFO

「But wait. Arena? 2022 supported by Panasonic 」
11月16日(水) 大阪府 大阪城ホール OPEN 17:30 / START 18:30
11月17日(木) 大阪府 大阪城ホール OPEN 17:30 / START 18:30
12月7日(水) 東京都 国立代々木競技場第一体育館 OPEN 17:30 / START 18:30
12月8日(木) 東京都 国立代々木競技場第一体育館 OPEN 17:30 / START 18:30

info :https://alexandros.jp

【衣装協力】
SHIRTS ATTACHMENT/PANTS VEIN

【STAFF】
撮影/永峰拓也 ヘアメーク/坂手マキ(vicca) スタイリング/長坂啓太郎(Sakas) 取材・構成/宮島彰子(CLASSY.ONLINE編集室)

Magazine

最新号 202412月号

10月28日発売/
表紙モデル:山本美月

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