先日、「居酒屋」を訪れました。職業柄、訪問自粛を自らに課していましたので、実に2年半ぶりです。マスクを外しては飲食するという窮屈さでありましたが、久々に「非日常」の時を堪能しました。
というわけで、「居酒屋」で目にするメニューの中から、「漢字で表記されていたら読めないかもしれないもの」集めた第二弾です。
1.「雪花菜」
今回も「お通し」がわりに「雪花菜」と行きましょう。字面(じづら)は「生野菜のサラダ」風ですが、「和風」料理です。さて、これは何と読むでしょうか?
正解は、「おから」でした。
「おから」とは、もともとは豆腐を作った時の豆乳の「しぼりかす」を指す言葉ですが、油揚げや椎茸(しいたけ)、人参(にんじん)などとともに調理した品目として、「卯の花(うのはな)」とも呼ばれます。「卯の花」は、初夏に白い花をつける「うつぎ」という植物のこと(陰暦四月を「卯月」と言う、あれです)ですが、「おから」の見た目が白いことから、これにたとえられました。
ところで、「きらず」という名を聞いたことはある人はいますか?「切らずに使える」食材であることから、「雪花菜」をそのまま「きらず」と読むこともあります。
2.「柳葉魚」
次は「魚」を注文します。居酒屋なら、「柳葉魚」でしょうか。お寿司屋さんの湯飲み柄でもおなじみの「魚へん」の漢字は難読漢字の定番ですが、漢字三文字の魚の名も、何回も特集が組めるほど豊富で、「柳葉魚」はその代表です。さて、何と読むでしょうか?
正解は、「ししゃも」でした。
「ししゃも」とは、北海道沿岸に分布する「キュウリウオ科」の魚で、焼き魚の他、フライや天婦羅(てんぷら)でも食されます。この「ししゃも」は、お腹にたっぷりの卵を持つ「雌(メス)」のイメージが強いと思いますが、実は魚の身そのものは「雄(オス)」のほうがおいしいそうです。
なお、「柳葉魚」の漢字は、アイヌ語の「シシャモ」(柳の葉の魚)の意味通りの漢字を当てたものです。
3.「捏」
最後は、「捏」です。「魚」の次は「肉」でしょう。「居酒屋」ですから、「ステーキ」や「焼肉」ではなく、「焼き鳥」です。さて、何と読むでしょうか?
正解は「つくね」でした。
「つくね」とは、鶏肉などのすり身に卵などを加え、こねて丸めたものです。それを他の焼き鳥と同じく、焼いて食します。この漢字「捏」は常用漢字にはありませんが、「捏造(ネツゾウ)」という熟語を目にしたことが恐らくあるでしょう。「実際にはない事柄を事実であるかのようにでっちあげること」を意味しますが、「捏」は「(土を)こねる」という意味の漢字です。「捏(つくね)」も「捏造」も「こねる」ことで作られます。
居酒屋特集第二弾は、いかがでしたか?また、いつか続編をと考えております。では、今回はこのへんで。
《参考文献》
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「新字源」(角川書店)
・「当て字・当て読み漢字表現辞典」(三省堂)
・「できる大人の漢字大全」(三笠書房)
・「1秒で読む漢字」(青春出版社)
文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)