寝苦しい暑さが続いている、今年の夏。夜、眠る時のエアコンはどうしていますか?電気代が気になるから夜はタイマーにして途中で消す方も居るようですが、特に暑い今年の夏は夜間の熱中症が心配。さらに一緒に眠るパートナーとの体感温度の違いや、子供の居る家庭の適切な設定温度も気になります。そこで今回は、夜間のエアコンの使い方について“お悩み別”に快眠方法のテクニックをご紹介!睡眠環境プランナー三橋さんに教えて頂きました。
夏の就寝時のエアコン、あなたは消す派?つけっぱなし派?
夜間も猛暑が続く夏の夜。就寝時のエアコンの使い方について調査したところ、実は「一定時間たつとOFFになるタイマーを設定して使っている」方が48.7%と一番多いことがわかりました。次に多いのは、「エアコンを一晩中つけている」人で42.0%。「電気代が気になる」人も60.5%と多いようで、節約を考えてタイマーを使用しているのかもしれませんん。他にも、就寝時のエアコンの使い方でのお悩みとして、「子供にとって適切な温度かどうかわからない」「パートナーと体感温度が違い、暑い/寒い」「就寝時、エアコンをつけていると寒い」という意見も多数ありました。
【お悩み1】エアコンの設定温度の正解は?快適に眠ることができる温度が知りたい!
快適に眠るコツは「エアコンのつけっぱなし」そして「室温を28℃以下に保つ」こと!
睡眠環境プランナーの三橋美穂さんによると、良い眠りの条件は“室温が一定である”こと、“室温を28℃以下に保つ”ことだそうです。睡眠中に室温が上昇すると、熟睡に必要な深部体温の低下が妨げられます。それによって睡眠の質が低下し、睡眠不足になるため、夏バテなど様々な弊害が起こります。さらに室温が 28℃を超えると夜間熱中症のリスクが高まります。従って、寝苦しい夜は「設定温度を28℃以下でエアコンを一晩中つけて」おきましょう。
【お悩み2】電気代が気になる!節約して使うコツは?
「設定温度 28℃で、つけっぱなし」が正解!
多くの方が気にしていた“一晩中エアコンをつけているときの電気代”に関して、三橋さんと共同で「一晩中つけっぱなしの場合」と 「入り切りを繰り返した場合」の積算消費電力量の比較実験を行いました。同じ設定温度だと「入り切りを繰り返した場合」のほうが積算消費電力量は若干低くなります(図1)が、切った後に 1.5℃~2.5℃の室温上昇を確認しました(図2)。エアコンの設定温度に合わせた寝具、パジャマで寝ている方が多いため、睡眠中に室温が上昇することにより目が覚め、睡眠の質が低下する可能性があります。
三橋さんがおすすめする就寝時のエアコンの設定温度は 26~27℃ですが、電気代が気になる方は、設定温度を 28℃にしてエアコンを一晩中つけ、通気性が高い敷きパッドを活用しましょう。背中がマットレスに密着していると、暑くて目が覚めてしまうため、横向きで寝るのも背中の蒸れを防ぐのでおすすめです。また、抱き枕を使うと体の圧力が分散されるので、横向きで長時間眠ることができます。以上のようにエアコンと寝具を併用して活用することで、エアコンのみを使用する場合よりも電気代を抑えることができます。
【お悩み3】子供にとって適切な温度かどうかわからない!
大人が快適だと思う設定温度よりも、少し下げるのが正解!
子供は体温が高いので、大人が快適だと感じる温度より少し下げてあげるのがおすすめです。(個人差はありますが目安は「1~2℃下げる」) さらに以下の2点も注意してあげると、より子どもの快眠環境が整います。
☑夜の室内照明⇒暖色系で照度を落とし、睡眠中の豆電球(常夜灯)は切る。
(子どもは目の水晶体がクリアで、大人以上に光の影響を受けるため)
☑お昼寝⇒午後の遅い時間帯に寝ると、夜なかなか眠くならないので、15時以降のお昼寝はしないようにする。
年齢によって必要な睡眠時間も異なるので、しっかり確保しましょう。
(出典:米国国立睡眠財団)
0~3 カ月:14-17時間(昼寝の時間も含む)
4~11 カ月:12-15時間(昼寝の時間も含む)
1~2 歳:11-14時間(昼寝の時間も含む)
3~5 歳:10-13時間(昼寝の時間も含む)
6~13 歳:9-11時間
ちなみに…子供の寝相が悪いけどどうしたらいい?
子供は基礎代謝が高いので、大人より体温が高く、発汗量も多いです。肌着やパジャマは吸湿性のよい綿素材を選び、掛け布団が外れても寝冷えしないように、腹巻やスリーパーを着用するとよいでしょう。とくにガーゼは吸湿性が抜群で、蒸れにくいのが特長。子供はもちろん、大人にもおすすめです。
【お悩み4】パートナーと体感温度が違い、暑い/寒い!
暑がりさんに設定温度を合わせ、寒がりさんは寝具やパジャマで微調整!
暑がりさんは既に半袖・半ズボンで寝ているので、寒がりさんと 一緒に寝る場合、それ以上薄着になることが出来ません。従って、暑がりさんに設定温度を合わせ、寒がりさんが寝具やパジャマで調整するのが良いでしょう。
■パートナーよりも寒がりの方
☑パジャマを長袖・長ズボンにする。
☑掛け寝具を厚手にして、保温性を高くする。
■パートナーよりも暑がりの方
☑冷感寝具を使用する。
☑エアコンの風向を暑がりさんに向け、微風を当てる。
【お悩み5】就寝時、エアコンをつけっぱなしだと寒い人はどうしたらいい?
就寝1時間前に、冷房で部屋を冷やしておいて、就寝時は、ねむり運転を設定しましょう。
快眠のためには室温を一定に保つことがおすすめですが、睡眠中に寒いと感じる場合は 体温が高い寝始めは室温を低くし、入眠後に室温が高くなるようにする「ねむり運転(※)」に設定すると、冷えすぎる心配が少なくなります。それでも寒い場合は、長袖・長ズボンで肌の露出を減らして、冷気が皮膚に直接当たらないようにしましょう。
1:就寝 1時間前から、冷房をつけて部屋を冷やしておく。
2:就寝時に「ねむり運転」を設定し、温度を26°C~28°Cに設定する。
(就寝直後はねむり運転設定“前”の温度、30分後にねむり運転設定“後”の温度に変わります。設定方法や動作はメーカーによって異なりますので、取扱説明書をご確認ください。)
※…メーカーによって名称が異なります。
お悩み特別編「高齢の親、祖父母の就寝時の熱中症が心配」
枕元に温湿度計を設置!室温28℃以下、湿度40%∼60%をキープしましょう。
高齢者は、感覚の低下により、室温が高くなっていても気づかず過ごしてしまう場合があります。枕元の見やすい位置に温湿度計を置き、室温、湿度を意識しましょう。室温が 28℃以下で寒く感じる場合は、長袖・長ズボンのパジャマを着用することがおすすめです。
教えてくれたのは…
睡眠環境プランナー 三橋 美穂(みはし みほ)
寝具メーカーの研究開発部長を経て独立。これまでに1万人以上の眠りの悩みを解決してきており、とくに枕は頭を触っただけで、どんな枕が合うかわかるほど精通。講演・研修や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。主な著書に『眠トレ!ぐっすり眠ってすっきり目覚める66の新習慣』(三笠書房) ほか、日本語版を監修した『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』(飛鳥新社)はシリーズ累計115万部を突破。 https://sleepeace.com/
【調査概要】
■グラフ1/表1
・調査対象者:東京・大阪在住の30 歳∼59歳の男女 600名
・調査方法:インターネット
・調査期間:2022年 6月 16日(木)~6月 20日(月)
■グラフ2
・調査対象者:東京・大阪在住の30~59歳の男女600名
・調査方法:インターネット
・調査期間:2022年 6月 17日(金)~6月 19日(日)
構成/CLASSY.ONLINE編集室