働き始めて10年前後、キャリアを重ねてきた30代。新卒のときの夢とは違う夢を見つけた人、そして一度は諦めた夢を再び追うことにした人――日々働く中でこそ「自分はどうありたいか」が見えてくるから。より私らしくあるための、第二の夢を考えてみるのもいいかもしれません。
「異業種に転身」の働き方
THE LOOP GALLERY ギャラリスト・小柴綾香さん(29)
オープンした「THE LOOP GALLERY」は虎ノ門ヒルズが見えるビルの4階。自ら設計し、壁塗り等の工事にも参加したというギャラリーは、奥行き約20メートルの開放的な空間となっており、日中は柔らかな自然光が降り注ぐ。奥に見える作品は水戸部七絵。
\小柴綾香さんのHistory/
22歳 |視能訓練士として大学病院に入職
国家資格を取得し、視能訓練士として入職。毎日300人以上の患者さんの検査を担当し、大忙しの毎日。
23歳 |ミス・ユニバース・ジャパン東京大会に挑戦
友人の推薦で東京大会の選考に参加。ベストを尽くしたものの、東京大会2位の結果に。負けず嫌いの性格から、再挑戦を決意する。
24歳 |念願の東京代表の座を掴む1年間ウォーキングやスピーチなどを研究し再挑戦。ミス・ユニバース2017 東京代表に選出され、リベンジを果たす。同年開催された日本大会では3位となった。
26歳 |海外のアートシーンに触れるべく渡米
ミス・ユニバースの活動を通じて出会ったアーティストやコレクターと交流を続ける中でコンテンポラリーアートに傾倒し、LA留学。帰国後はクルーザー等のラグジュアリー商品を取り扱う会社に入社。アート部門を担当し、若手アーティストの展覧会やギャラリー運営を行う。
29歳 |会社を設立し、アートギャラリーを開く
ギャラリストとして独立し会社設立。虎ノ門にてTHE LOOP GALLERYをスタート。
ミス・ユニバースへの挑戦で、全く違う夢が見つかりました
ギャラリスト以前のキャリアで培った力が今、生きています
青森出身・就職してからは朝から晩まで視能訓練士として目の前の患者さんと向き合う日々。そんな私の人生が変わったのは、ミス・ユニバースに挑戦してから。ミス・ユニバースの仕事を通じて、アーティストやコレクターと出会ったことがきっかけでした。ゴッホやモネと作品について会話することはできないけれど、コンテンポラリーアートはアーティスト本人の声を聞くことも、時代を共有することもできる。それがたのしくて、今の仕事に興味を持ちました。ギャラリストは自分の持つスペースでアート作品を販売するとともに、展覧会を行う職業ですが、アーティストの代わりに作品の意図や背景を言葉で伝える伝道師的な仕事でもあります。アーティストそれぞれにファンの年齢層やタイプも異なるため、コミュニケーション能力も求められる仕事。視能訓練士時代、老若男女多くの患者さんと話す機会があったことが今、役立っていると感じています。
女性アーティストは「結婚や出産で引退する可能性もあるから将来に確証がない」とか、何かに成功すると「実力では無いのでは」などと言われることもあり、同世代の30代は若い女性だからと不当な扱いを受けることも。でもそんな彼女たちだから、社会に対する鋭い目線で突き抜けた作品が多く、人間的な面白さがある。私も女性だからと邪推されたりすることがあるからこそ、共感し伴走する存在でありたい。そういった想いで、オープニング展は同世代の女性アーティスト5人と迎えました。
展覧会が複数重なっている方もいる中で、「小柴さんとだったら一緒にオープニングを迎えたい」と言ってくれて、改めて多くの方々に支えられて叶えられた夢であることを実感しています。日本のアーティストを海外に紹介する架け橋となることも、ギャラリーをオープンした理由のひとつ。アーティストが安心して世界中で活躍できる環境を提供できるよう、これからも一つ一つ大切に経験を積んでいきたいと思っています。
小柴さんのお仕事アイテム
撮影/杉本大希 取材/坂本結香 再構成/Bravoworks.Inc
Magazine
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