読み方はわかるという言葉でも、いざ書こうとしたときに「漢字が思い出せない……」と悩んだ経験はありませんか。言葉の意味や読み方は知っているのに、漢字が出てこないと何だかモヤモヤしてしまいますよね。
そこで今回は、書き間違いの多い二字熟語をピックアップしてみました。あなたはいくつわかりますか?
1.「じゅんしんな気持ち」
「心にけがれがないこと」「純粋で清らかなこと」という意味をもつ「じゅんしん」。「心が清らか」という意味から「純心」と書いてしまう人も多くいます。
しかし、熟語としては「純真」が正解です。
ちなみに「純心」という言葉は熟語としては存在せず、学校名や一部の店名・法人名として使われることがあるようです。
2.「ひっしの情勢」
「そうなることは避けられない」という意味をもつ「ひっし」。「必死」と間違えられることが多いようです。
正しくは「必至」と書きます。
「必死」は、「必死に戦う」など「決死の覚悟で力を尽くすこと」を意味する場合などに使う漢字です。「必至」は「必ずその出来事や状態に至る(いきつく)」という意味から、「至」という漢字が用いられています。
それぞれ漢字によって表される状況が異なるため、文章の意味に合わせて漢字が変わることを理解しておきましょう。
3.「心にめいきする」
「はっきりと記入する」という意味をもつ「明記」という言葉がありますが、「明記」の場合は、物理的に記入することを言います。
「心に刻む」「忘れないよう心がける」という意味で用いる場合は「銘記」と書くのが正解です。
「明記」の場合は書類などに実際に記入する場合に用いる、「銘記」は心に記憶する際に用いると、意味を分けて覚えるようにするといいでしょう。
4.「ぼうせんを引く」
「ぼうせん」と聞くと、棒のようにまっすぐ引っ張って線を引くことをイメージする人もい多いのではないでしょうか。そのため「ぼうせん」を「棒線」と書く人は多いようです。
文章のわきに引くサイドラインは「傍線」と書きます。
よく縦書きの文章などで、文字の右側に引いてある線は「傍線」です。「棒線」は、棒のようにまっすぐと引いた線そのものを言います。「傍」には「かたわら」「近く」という意味があるため、文字のわきに引く線のことを「傍線」と書くのでしょう。
5.「しょきの目的」
「初めの時期」「当初の時期」という意味の「初期」という漢字がありますよね。時期を表す場合の「しょき」であれば「初期」が正しいのですが……。
「期待していたところの」という意味で用いる場合には「所期」と書くのが正解。
たとえば「所期の目的を達成した」という言葉は、「期待していた目的を達成した」という意味になります。「所期」と「初期」はそれぞれ別の意味をもつ言葉なので、それぞれ使い方を覚えておくと、いざというときに混乱しなくなるでしょう。
いかがでしたか? 二字熟語に使われている漢字は、何となく当てはめているのではなく、それぞれの文字に意味が込められています。今回のように間違いやすい熟語は、漢字+言葉の意味もあわせて覚えておくと、混同しにくくなるでしょう。
参考文献
大人の漢字力研究会『読めそうで読めない漢字 書けそうで書けない漢字』(光文社)
文/大内千明 画像/Shutterstock(Pormezz、Maridav、Anton Gvozdikov、Evgeny Atamanenko、Johnny Adolphson、Monkey Business Images)