中村蒼さん「破天荒に憧れた頃もあったけど…“飾らずに等身大”が一番カッコいいと思ってます」

NHK総合で12月18日と25日の午後9時から放送されるドラマ『風の向こうへ駆け抜けろ』で、廃業寸前の厩舎(きゅうしゃ)を営む調教師の緑川光司を演じた中村蒼さん。30歳を迎え、円熟した存在感を放ちつつある中村さんの“かっこ良さ”の秘訣とは? ルックスだけが理由ではない“大人の男の魅力”に迫るべく、仕事との向き合い方や価値観について教えてもらいました。

PROFILE

中村 蒼●1991年3月4日生まれ。福岡県出身。A型。2006年、主演舞台「田園に死す」で俳優デビュー後、数々のドラマ、映画、舞台に出演。近年は、NHK連続テレビ小説『エール』、テレビ東京『神様のカルテ』、日本テレビ『ネメシス』など数多くの作品で活躍。2022年5月6日(金)より、主演舞台『ロビー・ヒーロー』が新国立劇場にて開幕する。

飾らずに等身大で---中村蒼が目指す“カッコいい”の在り方

今年30歳を迎え、ぐっと大人の

今年30歳を迎え、ぐっと大人の魅力が増してきた中村さん。若い頃と今で、“カッコよさ”に対する思いに変化はありましたか?

あんまり変わってないかもしれないですね。変わった部分で言えば、10代の頃は破天荒な人がかっこいいと思って憧れたりしていましたが、今一番惹かれるのは、人様に迷惑をかけず真っ直ぐに生きている人。大人になると見栄を張ることが必要なときもあるけれど、飾らずに等身大でいる人が一番カッコいいと思います。

今回出演したドラマ『風の向こうへ駆け抜けろ』は、競馬の騎手が主人公で厩舎(きゅうしゃ)が舞台。僕もこの作品に携わって初めて知ったのですが、競馬は騎手、調教師、馬のお世話をする人など、表舞台に出ないところにも多くの人がいて、その力が結集してレースがあるんです。騎手ひとりでできることではなくて、借りれる力を借りて周囲の支えによってレースが成り立っていると知って、周りに頼るっていいなって思いました。

素敵な大人になるためには周囲に“頼る”ことも大切

これまでさまざまな作品でいろい

これまでさまざまな作品でいろいろな役を演じられてきましたが、その中で「カッコいい役だったな」と思うものはありますか?

それぞれの役でカッコいいと感じる部分はありますが、今回のドラマ『風の向こうへ駆け抜けろ』の緑川光司もカッコいいと思います。僕の思うカッコよさは、自分のダメなところや弱いところも受け入れ、認めて、それをちゃんとさらけ出せる人。今回のセリフでも「自分の弱さを認める。そこからしか成長しない」というフレーズがあるんです。緑川はそこから自分の弱さを周りにさらけ出しつつ、みんなを巻き込んでいくんです。

僕自身は周りにあまり頼れなくて、基本自己解決派。仕事で悩んでもやるのは自分だし、結局は己の実力不足に行き着くんですよね。でも、周りを巻き込んで頼っていくって大事なんだなと、最近は学びつつあります。年齢を重ねると失敗もできないし、怒られたくないし、そもそも怒られなくなるじゃないですか? そんな中で、自分で自分のレベルやハードルを下げるのはしんどいし、周りから「ここまでなんだな」って思われるのは嫌。だからこそ、芝居の場では周りを頼って、周囲に力をもらいながら、自分を高め、お芝居と誠実に向き合っていきたいなと思っています。

30歳を迎え、確固たる信念を探してまだまだ模索中。

たくさんのライバルがいる中で、

たくさんのライバルがいる中で、俳優としてどうやって生き抜いてきましたか?

全然生き抜けていないです(笑)。今もふるいにかけられているような気持ちだし、網から落ちないように踏ん張っています。周りにいらっしゃる活躍している方を見渡してみると、信念があるなと思うし、そういう姿勢は刺激になります。僕自身はまだ「これだけは譲れない!」っていう信念みたいなものが見つけられずにいて、だからこそ怯えているのかもしれないです。

まだ自分を模索中ではありますが、そんな中でも最近大切にしているのは、人との繋がり。誰と作品をやるのか、誰が声をかけてくれたのか—。一緒に作品に携わる人の熱意を受け取って、恩返ししていきたいなと思っています。

いくら場数を踏んでも“悩む”ことを大切にしたい

2021年を振り返ってどんな一

2021年を振り返ってどんな一年でしたか? 漢字一文字で教えてください。

“悩”です。2021年は30歳になった節目の年でした。周りには「30代は楽しい」と話す方が多いのですが、正直僕はあまり希望に満ち溢れた感じではなくて…毎日ドキドキしています。例えば、毎年舞台をやらせてもらっていますが、上手くいかないことの方がほとんどで、経験を積んでいるようで全然積んでいない感じがするんです。何度舞台の仕事をやらせてもらっても、公演ごとにレベルアップしていくわけじゃなくて、毎回ゼロからのスタートという感覚があるんですよね。そのことに悩んで共演者の方に「みなさん、どうされているんですか?」と聞いたら、「自分とは違う人間を演じるんだから、そりゃそうだよ」って言ってくださって、ちょっとホッとしました。確かに毎回違う役柄に取り組むからこそ、前回できたからといって、今回も上手くいくわけじゃないですよね。今年はそういう意味で悩むことも多かったし、この悩みはずっと続くんだろうなと思います。

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土曜ドラマ『風の向こうへ駆け抜

土曜ドラマ『風の向こうへ駆け抜けろ』
NHK総合 2021年12月18日(土)、25日(土)21:00~22:13(前・後編)

古内一絵さんの同名小説(小学館)が原作。平手友梨奈さん演じる新人女性騎手・芦原瑞穂の成長と中村蒼さん演じる緑川光司を含む廃業寸前の緑川厩舎で働く人たちの再生を描く物語。ひたむきな情熱が、人生を諦めていた人々の心に火をつけ、廃業寸前の厩舎が桜花賞に挑んでいく—。

フォトギャラリー(全5枚)

<衣装詳細>
ジャケット¥71,500パンツ¥37,400(ウィーウィル tel.03-6264-4445)ニット¥35,200(ジョン スメドレー/リーミルズ エージェンシー tel.03-5784-1238)

撮影/吉澤健太 ヘアメーク/Kazuya Matsumoto(W) スタイリング/秋山貴紀 取材・文/坂本結香 構成/宮島彰子(CLASSY.ONLINE編集室)

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表紙モデル:今田美桜

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