幸福学の専門家に聞いた「自分を好きになる、自己肯定感を高める」ヒント4つ

「自分が好き」という自己肯定感は「幸せ」と深い関係にあるのだそう。幸福学を研究している前野先生に読者代表の3人が「自分を好きになる」ヒントを教えていただきました。

ウェルビーライフ研究の第一人者・前野先生に聞きました

「どうしたらもっと自分を好きになれますか?」

左から、前野隆司さん・李 南希さん(29歳 広告会社勤務)・中村美貴さん(27歳 IT関連企業勤務)・井上友美さん(32歳 外資系金融企業勤務)
左から、前野隆司さん・李 南希さん(29歳 広告会社勤務)・中村美貴さん(27歳 IT関連企業勤務)・井上友美さん(32歳 外資系金融企業勤務)

「自分を好き」になれれば「幸せ」も実感できる!

前野:みなさんは「自分が好き」と思えていますか?
李:上京したての頃は東京の人がキラキラして見えて、自分のことをなかなか認められませんでした。そんな時にヨガを始めて、瞑想をしたり自分と向き合う機会が増えると、自分を認めてもいいんだと思えるようになりました。
前野:いいですね。私の研究では「幸せには4つの因子が関係している」と考えています。李さんが自分を認められるようになったことは、自分らしさを確立する「ありのままに」因子が高まったと言えます。
井上:私は子どもの頃から周りの人に助けられて今の私があると思っていて、そのせいか、なんとかなるマインドが強いタイプです。
前野:「なんとかなる」因子も4つの因子の一つ。楽観性は幸せにおいてとても重要なんですよ。井上さんは周りの人に恵まれていますが「幸せや不幸せは人から人へうつる」という研究もあります。幸せな人の中にいれば自分も幸せになれるんです。
井上:今は人に会う機会も減っていますが…。私は人と一緒でないと新しいことに挑戦するのを面倒に感じてしまいます。
前野:行動範囲が限られる今は、確かに新しいことに挑戦したりという「やってみよう」因子が鍛えにくくなっていますね。少しでも興味があることをぜひ始めてみてほしいです。では、中村さんは?
中村:私は親から「もっとちゃんと考えなさい」と言われるほど、なんとかなると思っている前向きなタイプだったのですが、仕事がハードだった時期は人生で初めて自分に自信が持てなくなりました。
前野:その時はどう対処したのですか?
中村:家にこもってひたすら寝たり、映画漬けの一日を過ごしたり。
前野:現実逃避は大いに結構!まじめな人は現実逃避はダメだと思いがちですが、自分の幸せのためにはいいことだと私は思っています。我慢のしすぎはよくないですが、大変な時期を乗り越えると強くなれるので、中村さんは現実逃避しながら幸せになる力を磨いたとも言えます。
中村:確かに、乗り越えられたことで小さなことに幸せを感じられるようにもなったし、今の職場では頑張ったことを認めてくれる上司にも出会えて、自信を取り戻せました。
前野:結果ではなく、頑張った過程を認めることを「エンカレッジ」と言い、自己肯定感を上げてくれます。他者を「エンカレッジ」できる思いやりがある人は、自分を思いやることもできる「自分が好き」な人。利他の心で感謝し合えるという「ありがとう」因子にも通じます。「エンカレッジ」は自分に対しても使えるので、ぜひ自分にも「頑張っているね」と声をかけてくださいね。

PROFILE 前野隆司さん・

PROFILE
前野隆司さん・慶應義塾大学教授 システムデザインマネジメント研究

企業のエンジニア、ロボットの研究を経て現在は幸福学の専門家として、慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長も務める。『幸せのメカニズム実践・幸福学入門』(講談社)をはじめ、幸せに関する著書も多数。

撮影/平井敬冶 ヘアメーク/根本茉波 スタイリング/皆川bon実絵  取材/加藤みれい 再構成/Bravoworks.Inc

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10月28日発売/
表紙モデル:山本美月

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