今年の8月に宝塚歌劇団を卒業された珠城りょうさん。卒業後の活動を期待するファンが多いなか、早々にコンサート『Greatest Moment』への出演が決定! 誕生100周年を迎える花組・月組を記念して行われる『Greatest Moment』出演について、そして卒業後の生活ぶりなど、等身大の言葉で語っていただきました。
PROFILE
珠城りょう(たまきりょう)●2008年宝塚歌劇団に94期として入団。2016年入団9年目という異例のスピードで、月組トップスターに就任。2018年『エリザベート』で10代目トートを演じる。2021年8月退団。同年11月には宝塚歌劇 花組・月組誕生100周年を記念する『Greatest Moment』に出演。来春、東京・大阪にて退団後初のソロコンサートが決定。
多くのレジェンドの方々に囲まれて…不思議な気持ちで稽古しています
退団後の初仕事『Greatest Moment』が決まったときの気持ちや、お稽古のエピソードを教えてください。
このお仕事のお声がけを頂いたときは、驚きました。卒業後本当にすぐだったので、正直…出演を少し迷ったんです。でも、これだけの錚々たる出演者の方々とご一緒できる機会は、花月100周年の今年しかないと思い、出演を決心しました。もし、あの時お断りしていたら今頃後悔していたと思いますし、お声がけ頂いたことは本当に光栄なことだなと改めて実感しています。
お稽古が始まってからは、出演者の方々が「退団、お疲れ様!」と声をかけてくださって、本当に嬉しかったです。皆さま退団を経験されていますので、気持ちがこもっているというか、通じ合えるというか、なんともいえない感情になりました。月組時代にお世話になった上級生や、私の退団公演を観劇してくださった方もたくさんいらして。お稽古場では、当時と変わらない優しさと温かさに包まれております。
また、在団中はトップとしての責任を背負ってステージに立っていたのですが、これだけの多くのレジェンドの方々に囲まれると、いい意味で甘えられるなと思えて(笑)。こんな気持ちになったのは久しぶりで、懐かしい感じがしました。
今はコロナ禍ということもあり、大人数で集まるよりも個別のお稽古が多いんです。先日は桜乃彩音さんと蒼乃夕妃さんと三人で歌稽古をさせていただきました。桜乃さんはお会いするのが初めてですし、蒼乃さんは月組でお世話になった当時からトップ娘役さんでしたので歌稽古をご一緒する機会などなくて。だから、そんなすごいスターさんと三人で歌稽古しているという状況が、なんとも不思議で緊張しました。お二人ともお優しくて可愛らしくてとても癒されたんですが、ふと我に返ると「やっぱり不思議!」って(笑)。
宝塚を卒業して変わったのは…早食いじゃなくなったこと
宝塚時代はトップとして背負うものが大きかったと思いますが、ご卒業された今はどんな毎日を送っていらっしゃいますか?
日々自由に、その時に思いついたことをやっています。以前より時間が自由に使えるようになったので、家で気ままに動画や映画を見ることが多いですね。
退団後の生活習慣で一番変わったのは、食べるペース。とてもゆっくりになりました。今までは時間に追われる生活で、食事の時間は本当に一瞬だったんです。例えば、公演中は休憩のあいだに食事とメークチェンジの両方をしないといけないので、フードファイターのようにかき込んで食べるしかなくて(笑)! 早食いが身についてしまっていたので、現役生以外とご飯を食べると私だけ早く食べ終わってしまうことばかりでしたね。でも、卒業して緊急事態宣言が開けたときにお食事に行ったら、周囲と食べるペースが同じになっていて。自分ではあまり意識していなかったんですが、自然と体内リズムがゆったりに変化していたんだなと思いました。
あ、宝塚の現役生全員がフードファイターのようにご飯をかき込んでいるわけではないですよ! 私が時間を上手く使えず、時間に追われてばかりだったんです(笑)。
些細なことに気付ける“心の豊かさ”を大切にしていきたい
ゆったりと過ごすことはCLASSY.が推奨しているウェルビーイングな生活と通ずるところがあると思います。他に心掛けていることなどはありますか?
演じる仕事をしているからかもしれませんが、常日頃から心を豊かにすることが大事だと思っています。在団中はあまり外に出られませんでしたが、今は時間があるのでたくさん外を歩くようにしていて。その時の空や雲、植物を見て、空気のにおいを感じて…それを気持ちいいなとか、きれいだなとか、清々しいなと思える精神状態でいたいと思っています。日々何かに追われていると、こういった些細な事に気づけないと思うので。
今日もいいお天気ですよね。歩いたら気持ちいいだろうな。読者の皆さまは昼間はお仕事だと思いますが、ランチを外のベンチで食べるなど、少しでも心を開放できるといいですよね。
周りの幸せも考えるという意味だと、寄付や支援にも興味があります。在団中に写真集の撮影でオーストラリアに行き、とても素敵なところで大好きになったんです。その後オーストラリアで大規模な森林火災が発生してしまい、森林だけでなく動物たちも被害にあったと聞いてとても心が痛みました。何か支援をしたいと思ったのですが、どうしたらいいかわからなくて…。そんな時に教えていただいたのが「オーストラリア・コアラ基金」。身近なお菓子であるコアラのマーチのロッテも参加している基金で、コアラのマーチを買って売り上げに貢献することが、寄付に繋がるとしりました。それを知ってコアラのマーチをたくさん買って下級生に配り、美味しく食べながらコアラ基金の話をしたりしました。無理せず、楽しみながら支援につながったら素敵ですよね。
寄付とか支援って、「何か大きな形でやらないと」と思うと行動するのに時間がかかってしまいますが、売り上げの一部が基金に回るアイテムやLINEスタンプを買うなどの気軽にできる支援もありますよね。そういうものに敏感に反応していきたいです。気軽だと多くの人に広がるのも早いと思うので!
新たな自分への挑戦の基盤は、これまで歩んできた14年間。
ファンとのつながりが強いことで有名な珠城さん。ファンの皆さんに向けて、これから挑戦していきたいことなど、メッセージをお願いします。
宝塚でやってきた14年間の出会いは、私の財産です。これから一人の俳優として新しい世界に出て行きますが、珠城りょうを作った14年間を基盤に、これからも活動していきたいと思っています。新しい自分もぜひお見せしたいと思っているので、ファンの皆さまの期待をいい意味で裏切りつつ、でもいい意味で裏切らないように、今までの自分を大切に歩んでいきたいですね。新しいことに挑戦するために、今目の前のことをコツコツと頑張ってお仕事につなげていきたいので、皆さまにはそばで応援していただきたいです。
私のファンの皆さまって面白くって、私に守られたいと思ってくださる半面、私を守りたいとも思ってくださっているんです。「りょうちゃんは、私が守る!」って全力で応援してくれます(笑)! そんな皆さまなので、これからの新しい私の姿もびっくりしないで喜んでいただけるんじゃないかな。珠城りょうの第二章も、皆さまと一緒にワクワク楽しみながら歩んでいけたら嬉しいです!
フォトギャラリー(全4枚)
宝塚歌劇 花組・月組100th anniversary
『Greatest Moment』
1921年宝塚歌劇の花組・月組が誕生して今年で100年。その偉業を讃え、それぞれの時代を彩ったスターが新たな1ページを華やかに開演。心躍った懐かしいあの歌やあのシーンを、華麗なるメンバーによるさまざまなバージョンでお届けするとともに、更なる未来へとスタートを切ります。
11月3日~11月7日 梅田芸術劇場 メインホール
11月13日~11月22日 東京国際フォーラム ホールC
11月13日、20日、21日にライブ配信有り。詳細は公演HPにて。
https://www.umegei.com/greatest-moment/
<衣装詳細>シャツドレス¥42,900パンツ¥36,300 (ともにリト tel.03-3470-4157)ブーツ¥135,300(セルジオ ロッシ/セルジオ ロッシ カスタマーサービス tel.0570-016600)リング(スタイリスト私物)
撮影/平井敬治 ヘアメーク/赤松絵利(ESPER)スタイリング/重光愛子(A.K.A.)取材・文/よしだなお 編集/宮島彰子(CLASSY.ONLINE編集室)