構想から10年。8月6日(金)に遂に全国公開された『映画 太陽の子』。戦争下の日本で、時代に翻弄され苦悩した若き科学者を演じたのは柳楽優弥さん。そして、彼の幼なじみであり、困難な状況下でもひたむきに前を向いて生きた女性を演じた有村架純さん。インタビュー後編では撮影中のエピソードを交えながらも、CLASSY.世代である“等身大のお二人”に迫りたいと思います。
3人が集まる現場は笑い声に満ちていました
柳楽優弥さん、有村架純さん、三浦春馬さん。同世代の3人が揃った撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?
柳楽さん(以下、柳楽):シリアスな映画を撮影していたんですが、撮影していない時間は基本、ずっと笑ってました。春馬くんはしっかりと周りが見えていて、みんなを和ませたり、現場をまとめる力があるので、すごく心強かったです。
有村さん(以下、有村):春馬さんが本当に楽しそうに笑うので、みんなつられて笑っちゃうんですよね(笑)。
柳楽:そうそう。あと撮影後にみんなで夕飯を食べに行ったことがあって。そのときに架純ちゃんがパーカーを着ている僕を見て「柳楽優弥感が出過ぎてますけど、大丈夫ですか?」って言ったのがめちゃめちゃ面白かったんです。当時はコロナ前でマスクもしていなくて。どうもパーカーを着ると、すぐに僕だって分かっちゃうみたい。あの時はみんなで大笑いしましたね。
日常で求めているのは、癒し…?
劇中で柳楽さん演じる修は「実験バカ」と言われるほど科学に魅了され、夢中になっている役柄でした。お二人が今、特に夢中になっていることは?
柳楽:最近、釣りにハマっていて船舶免許1級もとったんです。釣りをするようになってから「ゆったりした時間っていいな…」としみじみ。有難いことなんですが、仕事をしている時は追われているような気分にもなってしまうので。釣りをしながら“無”になれる時間が自分にとっては贅沢な時間です。たまにしか釣れませんけど、海を眺めているだけでも楽しいんです。
有村:最近は、気がついたら動物の動画ばっかり見ちゃいます(笑)。もちろん猫や犬も可愛いんですけど、絶対に飼えないだろう動物の姿を眺めては癒されています。特にハマっている動物はショウガラゴ。彼らの生態や、どういう生活をするのかを見るのがすごく楽しい! でも、それと同時に人間って…とも思います。動物は生きるために食料を調達するとか、行動も思考もすごくシンプルなのに。
柳楽:人間は雑念だらけだなと(笑)。
役者としての次なる挑戦は?
これまで着々とキャリアを重ね、さまざまな役柄を経験されてきたお二人。今後挑戦してみたい役柄は?
柳楽:僕は父親役の経験がないんです。今って、返り血を浴びて…みたいなハードな役が多いので(笑)。実際の僕に近いようなシチュエーションの役柄を演じてみたいですね。ホームドラマに挑戦してみたいです。
有村:私は職業モノに出演したことがあまりないんです。医療系とか、弁護士役とか…等身大のキャラクターで職業モノをやってみたい気持ちがあります。先生役はやったことがあるんですけど、ラブストーリーがメインだったので、話の本筋とは違ったかなって。もう少しその職業にしっかり染まっているような役柄に興味があります。
『映画 太陽の子』が“考えるきっかけ”になったら嬉しい
最後にCLASSY.と同世代であるお二人に、『映画 太陽の子』を通して伝えたいメッセージを伺いました。
柳楽:正直言うと僕も、“日本で原爆研究”が行われていたという事実を知らなかった。なので「この作品を観て学んでください」というスタンスではなく、「一緒に学んでいきたいですね」というニュアンスの方が強いんです。作品を観る中で、それぞれ違った捉え方や意見があると思うし、違っていいと思います。ただ、この作品がアイデンティティというか、自分なりの考えをもつきっかけになったら嬉しいですし、そういう意気込みで取り組んでいました。
有村:私も、10〜20代前半のキラキラまぶしく夢や希望を抱いていた世代から、少しずつ現実を見始める世代になりました。それによって、自分の暮らしをより大切に感じるようになって。同時に今まで自分に目をかけてくれていた目上の方たちに恩を返したいと強く思うようになったんです。作品に照らして言うと、戦時下に生きた人たちが色々な選択をしてくれたからこそ今の自分があるんだ、とか。これまでの考え方の一歩先に進めた実感があります。なので、CLASSY.世代の方にもこの作品を通して、人間、命、愛情など今自分が持っている感覚の一つ先を見つめてもらえたらなと思っています。
『映画 太陽の子』2021年8月6日(金)より全国劇場公開中
かつて存在した“日本の原爆研究”。その事実を背景に、3人の若者の決意と揺れる想いを描いた300日の青春グラフィティ。構想10年−−。心震わす感動の青春群像物語が、遂に公開。
公式サイト:
https://taiyounoko-movie.jp
フォトギャラリー(全画像を見る 4枚)
<有村さん衣装>ドレス(Y’s/ワイズプレスルーム tel.03-5463-1540)リング(e.m./e.m.表参道店 tel.03-5785-0760)
撮影/イマキイレカオリ ヘアメーク/佐鳥麻子(柳楽さん)尾曲いずみ〈STORM〉(有村さん) スタイリング/長瀬哲朗〈UM〉(柳楽さん)瀬川結美子(有村さん) 取材・文/伊藤綾香 編集/宮島彰子(CLASSY.ONLINE編集室)