“山田孝之さんとの出会いは奇跡”『全裸監督 シーズン２』出演の満島真之介さんにインタビュー！

シーズン1では山田孝之さん演じる村西とおるの良き相棒・荒井トシ役を演じた満島さん。シーズン2では、トシはヤクザの世界に身を落とし、村西との関係性にも変化がありますが、特に印象に残っているシーンといえば？

ここでは語れないくらい衝撃的なことが色々と起こります。今回は僕の演じる荒井トシが、村西と因縁の深い古谷組の一員になるので、劇中で村西とはほぼ一緒に過ごしてないんです。一緒に新しい世界を築こうと、知恵と生活の全てをつぎ込んでいたシーズン1でのコンビ感がシーズン2では全くなくて…。でも、僕が演じるトシという役は、村西さんへの愛で全てが動いている役なので、会えないからこそ愛情も深まりました。どういうシーンであろうと山田さんのことを考えていましたね。特にどのシーンが、というわけではなく、離れていても根底では繋がっていると感じながら演じられたことが、物語に深みを出せた理由だと思います。たぶん僕、いま日本で、いや世界で一番山田さんのこと愛してるかもしれない（笑）！

バブルが崩壊する1990年代に、ヤクザの一員をしているトシ。時代も、立場も、今とかけ離れているトシの役作りは大変だったのでは？

今回特に意気込んで役作りをした、ということはなかったです。村西＝山田さんのことを思い浮かべながら演じていると、僕の中にある花火みたいな明るさと、ダークな部分の両方の引き出しが自然と表に出てきました。今まで気づかなかった自分の表現の方法を見つけられた気がしています。

ひとつ挙げるなら、声の質を変えることは意識的にやっていたかな。現代の人は、声に張りがなくボソボソと話す方が多い気がするんですけど、まだ携帯もそこまで普及していなかったあの時代は、ハキハキと声を前に出して喋るんです。（と言って、トシの「よう、おっさん！」というセリフで実演）言葉に力があるし、相手にしっかり届けるんですよ。その違いが僕には重要でした。時代の違いって面白いですよね。演じながら、もし自分がこの時代に生まれていたらどう生きていたんだろうかと考えることも多かったです。生身の人間が直に対話して、ぶつかって…リアルでのやりとりが当たり前の時代にすごく興味があります。

役柄と満島さんご自身の共通点は？

トシという人間は愛情の塊でしかないですね。何かを自分が成し遂げるとか、こういう風になりたい、という欲が登場人物の中で一番少ないんじゃないかな。自分が何者かになることよりも村西に出会ったこと自体が重要で、奇跡に近いことで、それがトシの人生だった。出会いによって人生が変わっていくというのは、僕とトシでばっちりハマる部分。僕の中でも山田さんに出会えたことが重要で奇跡。トシが村西に心底惚れ込んでいるのと同じく、僕自身も山田さんに惚れてしまいました。

山田孝之さんと共演して、最も影響を受けた部分は？

山田さんは僕自身が持っていないものをたくさん持っている方なんです。僕は花火のような表に見えやすいエネルギーの人間なんですけど、山田さんは静けさの中に深い愛情があって…地熱のようなエネルギーの人。だから山田さんと一緒にいると僕の花火がより光り輝くし、山田さんの地熱はより熱を帯びる。僕は山田さんと出会ってから、大きく人生が動きだしたような気がするんです。こんなにお互いの良さを引き出せる関係性ってなかなかない。山田さんが生まれてから今まで築き上げてきた歴史全てに興味がありますからね。存在自体に多大な影響を受けています。

『全裸監督 シーズン２』の撮影はコロナの影響で一時中断を余儀なくされたと聞きました。撮影中断は満島さんご自身にどんな影響がありましたか？

なんと僕、撮影中断の次の日にインの予定だったんです（笑）。だから僕自身の撮影は中断していなくて、そういう意味ではラッキーボーイでした。歌舞伎町のロケから始まる予定で気合いを入れていたので、延期が決まった瞬間は不思議な気持ちになりましたけど「もう少しトシという人物を深めろってことかな？」と思うことにしました。役を演じるときって、カメラが回っているときだけその役になるわけじゃなくて、普段の生活の中でその役について考えている時間がほとんどですからね。シーズン1をやっていたときからトシがずっと僕の心の中にいるので、いつでもトシになれる準備はできていました。だからインが延びて気が抜けるというよりは、早く撮影に入りたいと思いながら、気分を高めていけた感じですね。