「これまで生理には、正しいデータも、軽くする方法もなかった」--そんなショックな提言が話題になっている、予防医療コンサルタントの細川モモさん。“生理は病気ではない”から、これまで婦人科で使われていたデータは約60年前のアメリカのデータだったそう(!)。初めて日本女性2万人に行った調査から導き出した、私たちにショックな事実とは…!3回に渡ってインタビューします。
働く女性の5人に1人、生理が止まったことがある⁉
「生理では経血の量や痛みの原因など、毎月くるものだからこそ悩みは尽きないですよね。「これって病院に行ったほうがいいの?」という経験をした人も多いのではないでしょうか。
でも、せっかく忙しい時間を割いて病院に行っても、「異常はありません」と痛み止めだけ処方されて帰ってくることも多々。そうやって病院に行くハードルが高くなり、本当にカラダに異常をきたしていても我慢してしまい、将来的には妊娠しにくいカラダになってしまうなんてこともあります。
CLASSY.世代の読者さんは働き盛りな方も多いと思いますが、仕事を頑張るあまり健康が犠牲になっていませんか?私たちがこれまで調査を行うなかで、働く女性の5人に1人の生理が止まっているというデータがあります。幸いなことに日本は国による医療・保険制度が充実していることもあり、今のところ病気になっても自己負担が少なく済みます。そのためか健康に対する危機意識が高くなく、実は先進国の中でもヘルスリテラシーが低い国なんです。
でも正しい知識を身につければ自分の思うように働けて、体調もよくなり、将来的には自分の意思で妊娠できる可能性も高い。もし不妊症になってしまったとしても、正しい不妊治療を受ける力だってつけられる。
女性のカラダの変化は定期的にやってきます。10代の不安定な生理が終わったら、20代で生理痛やPMSがひどくなる人もいるし、妊娠・出産を経験すればカラダは確実に変わる、35歳以降は生理周期の変化があったり、その後は更年期に突入します。そんな変化への戸惑いや不安も、きちんとした知識があれば自信をもって毎日を過ごせると思うんです。
病院に行かない理由が「わからないから」「忙しくないから」ではなく、きちんとした知識を持つことによって、自分で「これは大丈夫」「これは病院に行ったほうがいい」と判断できるようになることが重要なのです」
あなたの生理は正常ですか?どうなったら病院に行くべき?
「実は正常な生理の定義ははっきりと決まっています。
①周期が25日以上38日以内であることと
②出血している日数が3日〜7日以内であること
この2つに当てはまっているかどうかで、生理が正常もしくは異常と判断することができます。周期が24日以内だと生理が起こりすぎているし、逆に39日以上だと少なすぎる。上記2点に当てはまらない人は、直ちに病院にいきましょう。ただ、その月にストレスが過度にかかっていたり、とても忙しかったなどの原因が思い当たり、翌月きちんと生理周期が戻ったのならば、それは異常ではありません。自分の生理周期と日数を知ることは、自分の健康バロメーターを知る第一歩なんですね。だから、毎月の生理はその一か月の自分の健康の通知表のようなものです。
病院に行くハードルが高いことは重々承知していますが、痛み止めを必要とする強い生理痛のある人は必ず病院に一度足を運んでみてください。その痛みの正体は子宮筋腫や子宮内膜症からくるものの可能性も…。子宮筋腫や内膜症も早期発見すれば、薬で治療することが可能なことも多いです。生理痛は我慢しないでくださいね」
一家に一冊、置いておくべきかも
生理にまつわる正しいデータを知るだけでなく、生理痛やPMSを自分で改善する方法を身につけたり、あるいは「これは病気かもしれないから病院に行こう」などと、正しい判断もできる知識が身につくことを目指した本著。2万人の調査で最新の生理データを集めた、日本で初めての書籍。
PROFILE
予防医療・栄養コンサルタント。一般社団法人ラブテリ代表理事。両親の闘病をきっかけに予防医療を志し、米国で栄養疫学と出会う。14年に三菱地所と働く女性のための「まるのうち保健室」を立ち上げ、「働き女子1,000名白書」を発表。女性のヘルスリテラシー向上と大規模調査を行っている。
撮影/杉本大希 取材/大塚悠貴 構成/小林麻衣子(CLASSY.編集室)