若手演技派俳優の筆頭として、数々のフィールドで活躍する村上虹郎さん。多摩川沿いで日々を過ごす人々の2020年コロナ禍の春を描いたHuluオリジナルドラマ『息をひそめて』では、学歴や育ちにコンプレックスを抱え、癒えない失恋の傷と向き合う青年・宮下心平を熱演。作品の魅力をたっぷり語ってくれた前回に続き、今回はプライベートなトピックに迫ります。
良くも悪くもあまり変わらなかったこの1年
『息をひそめて』はコロナ禍となった2020年の多摩川沿いの街を舞台にした物語。村上さんご自身にとってこの1年はどんな年だったのだろうか。
「1年前の今ごろは俳優業も全ストップしていましたね。2ヶ月くらい? あんなにまとまった休みになったのはデビューしてから初めてでした。生活リズムは本当にめちゃくちゃで。一番ひどいと、夜の11時に起きて活動し始めるなんてことも。人に会わないし運動もしないから疲れなくて、ずっと起きていられるんですよね。生活は完全に昼夜逆転しましたが、メンタルをやられることはなかったかな。東日本大震災の時の方がメンタルに影響があったような気がします。僕はあのとき東京を離れたので暮らしも大きく変わって。そういう面では、今回の方が気持ち的には安定していたんじゃないかな」
外出自粛が叫ばれ、家から出ることもままならず時間だけが過ぎていく日々。作品の舞台となった2020年の春、村上さん自身もライフスタイルを変えることを真剣に考えたという。
「このまま仕事がストップし続けたら引っ越そうと思って、本棚の本を段ボールに入れたりもしてました。東京で仕事ができないなら、都心から離れたほうが生活コストがかからないじゃないですか。でも引っ越すって結構な出費になるなと思って様子見しているうちに、徐々に仕事も再開して、結局そのまま。お客さんの前でお芝居したり、ファンの方にリアルに会える機会が減ってしまったのは大きな変化ですが、この1年を経て、良くも悪くも僕自身はあまり変わっていないのかな。俳優の仕事って、撮影が続いて一気にたくさん仕事をして、休む時は割と長い時間休んでというスタイル。なので、しばらく仕事がないってことに、そこまで違和感がないのも関係しているかもしれないです」
恋愛相手、母親より年上かどうかは気にします(笑)
作中には、安達祐実さん演じる琴子が自身の年齢をサバを読んで伝えるシーンが。村上さんに、年齢に対する考えを聞いてみると?
「サバを読むことに対して、プラスもマイナスもないかなって思ってます。本人がその年齢に思われたいなら、それでいいのかなって。僕自身、年齢は気にならないし、実年齢に対して若く見られたいとか、大人に見られたいとか思ったことがないんです。恋愛する上でも女性の年齢に囚われることはないけれど、一応母親より上か下かは気にしてます(笑)。恋愛って相手にどれだけ与えられるものがあるかという面もあると思うので、年上なほどこっちが相手を楽しませられるか、僕が応えられることがあるのかなっていう不安は感じるかもしれませんね」
琴子がサバを読んで心平に伝えた“32歳”という年齢は、まさにCLASSY.世代。現在24歳の村上さんにとって32歳という年齢はどのように映るのだろうか。
「僕にとって32歳は大人ですね。仕事でもプライベートでも1番かっちりしてそうで。それよりも上になっていくと、もうちょっと違うメンタルステージに進んでいくイメージです」
1日で2人と! ハードだったクリスマスイブの撮影
2回にわたり『息をひそめて』の撮影や自身の恋愛観などを語ってくれた村上さん。最後に“今だから言えるエピソードを”と聞いてみたところ、飾らない語り口でとっておきの裏話を披露してくれた。
「今回の撮影期間は3日間だったのですが、そのうち1日はクリスマスイブで。この日の撮影が1番ハードでしたね。昼間は横田真悠さん演じる恋人・琴波と言い争って、夜は安達祐実さん演じる琴子と体を重ねるという(笑)。1日に2人の女性とのシーンがあって、気持ちが追いつかない!って。撮影の順番もストーリー通りではなかったので、最初に撮ったシーンはぎこちないんじゃないかな?と気がかりだったんですが、仕上がりをみたら大丈夫でした(笑)。クライマックスのシーンではイブならではの演出もあるので、是非チェックして欲しいです」
Huluオリジナル『息をひそめて』
2020年コロナ禍となった多摩川沿いの街を舞台にした、8話のオムニバスストーリー。私たちの日常で起こりうるリアルな物語を演じるのは、夏帆さん、村上虹郎さん、安達祐実さん、斎藤工さんら、実力派俳優陣。村上さんは第3話「君が去って、世界は様変わりした」に出演。4月23日より、Huluにて一挙独占配信中。
https://www.hulu.jp/static/ikiwohisomete/
ABOUT 村上虹郎
1997年3月17日生まれ。東京都出身。2014年公開の『2つ目の窓』で映画初出演&主演を果たし、デビュー。同作にて、第29回高崎映画祭・最優秀新人男優賞を受賞。以来、数多くの映画やドラマ、CMなどに出演。待機作に『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(2021年6月公開予定)、『孤狼の血 LEVEL2』(2021年8月公開予定)、舞台『大パルコ人④マジロックオペラ「愛が世界を救います(ただし屁が出ます)」』、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』などがある。
撮影/佐々木大輔(SIGNO) ヘアメーク/橋本孝裕(SHIMA) スタイリスト/オオシマリク 取材・文/坂本結香 編集/宮島彰子(CLASSY.ONLINE編集室)