【芸人・吉住】恋愛ネタを振られすぎで、「うっせーわ」と言うところまでTVで見せていきたい

女芸人No.1決定戦「THE W」で見事優勝し、一躍有名になった吉住さん。CLASSY.世代と同じ31歳の働く女性として、真摯にインタビューに応えてくれました。1回目は、TVで「女芸人=恋愛ネタばかりを振られがち」ということについて。会社でもアラサーだと、上司に「最近彼氏とどう?」みたいなことを雑に振られるのも、あるあるですよね…。吉住さんはどう考えているか、聞いてみました。

「パッケージ化しないとTVには出られない」

「THE W」の優勝以降テレビ

「THE W」の優勝以降テレビに出演させていただくことが増えたのですが、テレビに出るときは分かりやすいキャラのようなものを必要とされることが多くて…。私は、「まだ恋を知らない女芸人」というキャッチフレーズで紹介されることも多いですね。個人的にはこれといってキャラ立ちもしていないし、仕方がないのかなと思っています。

テレビへの出演が増えた今、ちょっと感じているのは「私の恋愛話ってそんなに需要ある?」ということ。というのも、テレビ出演にあたって事前アンケートに答えるのですが、やはりよくピックアップされるのは恋愛事情。さんざんいろいろな質問に答えても、結局恋愛にフィーチャーされていると、「あれ?アンケートの主題って恋愛だった…?」とは思いますね。この間も収録で恋愛のことを司会者の方に根掘り葉掘り聞かれて、思わず「めんどくさいっす」と言っちゃいました…(笑)。私がTVで「うっせーわ」という態度を見せることで、「あ、恋愛ネタを振られすぎたら言い返してもいいんだ」とみんなに思ってもらえたらいいかなって。

自分が若い頃は「うっさい」とは言えなかったけど、30歳を迎え、少し年齢を重ねたことでそんな場面に境遇すると20代の頃よりも格段に言い返しやすくなりましたね。CLASSY.読者の方のなかにも会社の上司から「彼氏とどうなの?」と聞かれた経験がある方もいるだろうし、世の中のおじさまはやたらと若い女性の恋愛事情に興味があるんだな…?という印象。ADの女性が雑に恋バナを振られていたりするのを見ると、「女芸人だけでなく、一般社会でも聞かれているんだ」と驚くし、違和感を感じますね。

「モテないいじりも、外見いじりも変わってきているから」

昔はモテないキャラが女芸人のテ

昔はモテないキャラが女芸人のテッパンの入り口だったけれど、今は逆に恋愛しているエピソードが求められる時代。モテないいじりや外見いじりもまだまだあるけれど、昔に比べて少しは多様性が認められるようになってきた気がします。正直に言うと、外見いじり芸を面白いと思って芸人を志した人もいる。だから私はその人たちを否定しようとは思わない。養成所時代、「実家が貧乏で」とか「実は引きこもりで」というエピソードを持っている子と私のように普通に学生生活を送ってきた人間では引きの強さに圧倒的な差があることを痛感しました。前者の方が、「面白い」「被っていない」と一気にスポットライトを浴びられて、話の中心人物になれる。そのとき、芸人という職業は、本人が隠したいジメッとした暗い過去も笑いに変えられる良い仕事だと感じました。やはり芸人なので、笑いに昇華できた瞬間にその暗い過去も快感になるんですよね。

でも一方で、芸人にとってはエピソードトークでも、同じような経験をされたテレビの前の視聴者さんは「あ、なんか笑われている」と感じて傷付いてしまう人もいるという現実をテレビに出始めたことで気付きました。自分の過去を笑いに昇華できるのはいい職業だなと思いつつも、それを思い出してしまって辛い人がいるというのは考え所ですよね。そこはこれから勉強していかなければと思っています。結局は自分の発言をどこまで自分が許せるのかというところで、今まさにそのポイントを探っている最中なんだと思います。なるべく人も自分も傷付けず、でも笑いに変えられるというラインを絶賛探っています。

「“女芸人の中では面白いと思うよ”と言われると、正直ザラッとします」

「面白いネタ、やっているよね」でいいのに、称賛をするときに「女芸人の中では1番面白いと思う!」と褒めてくる人がいて。女か男かなんてそんなに重要じゃないと個人的には思っているし、面白いものを作り出せていたらそれでいいじゃんって。「絶対に見返してやる」とエネルギーに変えてここまできました。
そういう意味でも「THE W」で優勝できたことは、女芸人を背負うじゃないですけど、「女芸人って面白い」と世の中に知っていただける機会だと思っています。「THE W」という大会自体も、「女芸人に限定する理由あるの」や「男芸人と一緒にやったら勝てないから」など様々な声がありますが、笑っていただけるならそれで十分。面白いと思ってもらえたらそれでいいというのが本音です。

PROFILE

1989年11月12日生まれ。福岡県北九州市出身。「THE W(ザ・ダブリュー)2020」で4代目チャンピオンに輝く。ライブ形式で撮り下ろされた、初のベストネタDVD「せっかくだもの。」が3月31日に発売。

Feature

Magazine

最新号 202405月号

3月28日発売/
表紙モデル:山本美月

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