「イケメン社長」は韓国ドラマの登場人物によくある設定ですが、そんな都合のいい設定のイケメンが本当に存在するのか? いろいろ探した結果、世界にはもっとスケールの大きい「イケメンCEO」が少数ながら実在することを発見。世界の素敵なイケメンCEO4人について辛酸なめ子さんに考察していただきました。
コロナ禍でマスク姿の人の目だけを見る機会が増え、「人間のポテンシャルや情熱、性格は何よりも目が物語っている」と実感させられることが多いです。とくに一代で起業したり財を成した人の目は、常人とは違う強い光を放っています。
Clubhouseなどでは石を投げればCEOに当たりそうなほど、この肩書きを語る人が多い印象ですが、今回挙げさせていただいたのは正真正銘の世界が認めるCEOたちです。
いろいろ桁違いな世界のイケメンCEO・4選
口コミサイト「Yelp」CEO 起業のきっかけはインフルエンザ!?
レストラン情報に限らず不動産や美術館、公園など地域の情報に関する口コミを投稿できるサイト「Yelp」のCEOがジェレミー・ストッペルマン氏です。シャイな笑顔の奥に情熱を感じさせるイケメンです。1977年にアメリカのバージニア州に生まれ、イリノイ大学を卒業。2004年にラッセル・シモンズ氏と共同で「Yelp」を起業しました。きっかけは、ストッペルマン氏がインフルエンザにかかった時、地元のお勧めの医者の情報を探すのに苦労したこと。実体験をもとに切実な思いで発案したので、熱意が投資家にも伝わったのでしょう。「Yelp」は時価総額40億ドルまでに成長。CEOのストッペルマン氏自らも大量にレビューを投稿しています。悪意のある偽のレビュー対策に追われたり、Googleとの確執もありつつ、パーソナライズされた顧客情報をサービスに取り入れたり、独自の路線を開拓しているようです。
ただ、昨今はコロナで多くのお店が閉店したり、街自体がロックダウンしてしまい、「Yelp」も厳しい状況に置かれているようです。2020年には従業員1000人が解雇されたり、減給されることに。ストッペルマン氏も給与も株の配当も受け取らない方向で痛み分け。インフルエンザからの起業アイデアなど、けがの功名で立身出世したので、今回の苦境からも何か新しいビジネスを生み出してくれるかもしれません。
中国最大検索サイト「百度」CEOは愛妻家イケメン
「紅いGoogle」と呼ばれる検索大手、「百度(Baidu)」の創業者・会長兼CEOの李彦宏氏。ヘアスタイルは古式ゆかしい感じですが、顔立ちはハンサムで華があります。「百度」のサイトにアクセスすると、その日の重要ニュースが6つほどトップページに箇条書きされていました。世論を誘導するようなオラオラ系検索サイトです。チェックしてみると、コロナの感染者のニュースやヒアリの被害、米国の偵察機が南シナ海の領空を侵犯してから20年、といったシリアスなニュースが出ていました。李彦宏氏は過去に「AI時代の到来で、スマートフォンは20年以内に消える」といった予言をしていたり、大胆なことを断言してしまうところにリーダーシップ性を感じます。
彼の略歴はというと、トップの成績で北京大学に合格し、その後ニューヨーク州立大学のコンピューター・サイエンス学部に留学。プログラミングを学び、ウォール街やシリコンバレーで働きます。中国に帰国し2000年に「百度」を設立。順調に成長し、中国語の検索サイトで1位になります。成功の陰には糟糠の妻が存在していました。1995年にニューヨークの中国人留学生の集まりで出会った聡明な女性、馬東敏さんです。以前、祝賀パーティの席で李彦宏氏は「妻がいなければ『百度』もないです」「彼女はいつも冷静で勇敢な提案をします。知恵に満ちた提案が私を正しい道に導いたのです」と語っていました。モテるのにスキャンダルがないというのが素晴らしいです。CEOの中でもさわやかな雰囲気を保っているのは、私生活が乱れていないからかもしれません。
ヨーロッパの美おじさん最高峰!なスーパーカーCEO
スーパーカー世代のカリスマとも言えるのが、ランボルギーニ社CEO兼、ブガッティ社長のステファン・ヴィンケルマン氏。57歳とおじさんの年齢ですが、目には少年のような光が宿っています。車への情熱を漂わせるローマ育ちのイケメン。もみあげがセクシーです。ミュンヘンの大学を卒業後はドイツ軍の空挺部隊に所属していた、という経歴も素敵です。自動車ビジネスでキャリアを積み、フォルクスワーゲングループの傘下にあるランボルギーニ社とブガッティ社のトップに就任。
世界で最も高級でゴージャスでエレガントなスポーツカーブランドを率いるヴィンケルマン氏は、「同じスーツ姿で2回写真を撮られたことがない」という伝説があるそうです。オーダーメイド感漂うフィットしたスーツ姿がおしゃれです。「99%、車のことを考えている」という彼のインタビューの言葉がありますが、私生活は謎に包まれています。彼にとって車が家族なのだとしたら、それはそれで素敵なことです。
時代の寵児なCEOは内面も外見も仙人化が進行中?
常に時代の寵児であり続けるIt CEOのジャック・ドーシー氏。「Twitter」と、決済アプリ「Squre」のCEOです。このところ話題になったのは、「Twitterをセットアップしたところ」とつぶやいた自身の15年前の初ツイートを、NFT(ブロックチェーンの暗号技術によって作られた唯一性のあるデジタル資産)にして販売したことです。オークション形式で3月下旬に約291万ドル(約3億1500万円)で落札されたそうで価格にも驚きますが、ジャック・ドーシー氏が売上げをビットコインに変換し、アフリカ地域支援の非営利団体に全額寄付、というのも人間離れしています。このところヒゲで仙人化していますが、ジャック・ドーシー氏は若手CEOの中では最高レベルの人格者なのかもしれません。昨年も新型コロナウイルス対策に10億ドル(約1100億円)もの大金を寄付していました。
彼のライフスタイルも片岡鶴太郎レベルに浮世離れしています。食事は1日1食で、たんぱく質と野菜中心だそうです。週末は断食。毎朝5時起きで瞑想30分、サウナやランニングも日課です。100度以上のサウナと氷入れた風呂に入っているそうで、「整う」ための儀式が徹底しています。
魂の格が高いドーシー氏ですが、恋愛面では20歳くらい年下のモデル、レイヴァン・リン・コーネイルと破局。彼女に4億8千万円のハリウッドのプール付きの豪邸をプレゼントしたそうですが、うまくいかなくて結局、家は売りに出されたそうです。20代の彼女はTwitterに「ベッドでの情熱がない男には心を掴まれない」と書き込んだとか。一日一食だったら、スタミナはちょっと期待できないかもしれません……。ベッドでの情熱なんてなくても全然いいから……豪邸ください!! そんな心の叫びがネットの狭間から聞こえてきそうです。
以上、4人のCEOたちをご紹介させていただきました。思考回路も行動力も金銭感覚もスケールが壮大で宇宙レベルのイケメンたち。少しでもつながりたい場合は、彼らのサービスや商品を使うことでCEOフェロモンにあやかりたいです。
辛酸なめ子
イケメンや海外セレブから政治ネタ、スピリチュアル系まで、幅広いジャンルについてのユニークな批評とイラストが支持を集め、著書も多数。近著は「スピリチュアル系のトリセツ」(平凡社)、「辛酸なめ子の世界恋愛文学全集」(祥伝社文庫)、「女子校礼賛」(中公新書ラクレ)、「電車のおじさん」(小学館)など。
構成/CLASSY.編集部