「もうアラサーなんで」、「私なんて…」普段何げなく、謙遜しすぎたり、自虐的なフレーズを口にしていませんか?言葉選びを少し変えるだけで、気持ちも生活ももっとポジティブに幸せになれるはず。CLASSY.世代の自己肯定感を高める言葉について、「子どもが幸せになることば」の著者、田中茂樹先生にお聞きしました。
case❶「アレ、今日お誕生日だっけ?」に対して
「今日お誕生日だったよね、おめでとう!」と言われても、「いやおめでたくないんで…普通の日です」などとっさに言ってしまいます。以前はもっと嬉しい日だったのに…。なんだかモヤモヤします。
A.Kさん(34歳・金融関連勤務)
若ければいい、という価値観に振り回されないで
自分の誕生日を話題にされた時、変に隠そうとしたり自分から年齢のことを持ち出して否定的な言葉を発したりするのは、単純に誕生日に触れられたくないから。そこをフィーチャーされたら嬉しくない自分をまず意識しましょう。無理して気にしていないフリをせずになんだかモヤモヤしている気持ちをちゃんと味わうこと。年齢に触れられることに過敏であるということは、女性は年齢を重ねるほど価値が落ちてしまう、若ければ若いほどいいという一部の古い価値観の人の声に傷ついているということです。そんな古い価値観、昭和のステレオタイプの人は今の時代本当に一部ですが、その価値観を疑いなく持ち続けている人がいるというのも事実。ただ、少数のはずなのに、その少数派に限って声が大きかったりして目立ってしまい、まだまだ社会にはそういう人が多いという勘違いにつながってしまいがちです。
例えば、子供が騒いだら文句をいう人や、赤ちゃんが電車で泣いたらしかめっ面をする人は一部で、ほとんどの人はおおらかな気持ちでお母さんの大変さに寄り添っているのにその一部の人が目立ってしまうのと同じ。良識のある人はそんな声を相手にせず黙っているから、余計に声の大きい人や、人を傷つける側の表明が目立ってしまうんです。ごく一部の古い価値観の人の声に傷つく必要はありません。モヤモヤした自分を意識したうえで発言すると、「ありがとう!」と返しても表情などにリアクションが出るので相手とのコミュニケーションも変わってくるはず。パッと返すより、ちゃんとモヤモヤを味わって、ワンクッション入れたら本心がメッセージとして出てきます。誕生日や年齢に触れられることについて、嫌だという気持ちに蓋をしていたからこそ過度に敏感になって話題にされることを怖いと感じていたけど、俯瞰するとそんなにたいしたことではなかった、実はそんなに気にしていなかったな…、と気づくことができるかもしれません。
田中茂樹さん
医師・臨床心理士・文学博士(心理学)。京都大学医学部卒業。共働きで4人の男の子を育てる父親。現在、奈良市の佐保川診療所でプライマリケ ア医として地域医療に従事。これまで5000件以上の面接を通して悩める人の心に寄り添ってきた。著書『子どもが幸せになることば』(ダイヤモンド社)は現在6刷の大ヒット、韓国でも月間売り上げランキング1位など国境を超えて支持されている。
イラスト/ほりゆりこ 取材・文/北山えいみ