今年だけで主演映画4本が公開されている北村匠海くん。俳優としてはもちろん、DISH//のボーカルとしても「歌がエモい♡」と大人気!優しい印象の彼ですが映画『アンダードッグ』ではキレキレのボクサー役に挑戦。北村くんのエモーショナルな魅力に注目です!
北村くんといえば──目力のあるルックスからエモかっこいい!
自分の顔の中で好きなのは、三白眼なところかな。目は死んでます(笑)。僕は気に入っていて、三白眼でよかったなと思うことはたくさんあります。もともとサブカルチャーが大好きで、日本のアングラなカルチャーも好きなので、そういう路線の表現をするにはピッタリかなと思っています。僕の目力が強いですか?力を入れないと開かないし、プライベートだと寝てるみたいですよ(笑)。子供の頃は目がキツイって言われたこともありましたが、いまとなっては好きなところですね。顔が可愛いって言われることは嫌ではないですよ。「またまた~」って思ってますけど(笑)、変に謙遜するのも嫌なので「ありがとうございます」っていう気持ちでありがたく受けとっています。自分ではルックスにあまり自信がないんですよね。本当は塩顔が大好きで、あっさりした顔に憧れてます(笑)。
アーティストとしても大人気。音楽に対する思いも熱い!
音楽活動は限りなく自分自身でいられる場所。役者って自分ではない誰かの人生を歩む職業だと思うんですけど、音楽は自分自身の表現だし説得力がないといけない。そこに自分じゃないイメージは入れたくないので、音楽に関しては闘います。積極的に自分の意見を言いつつ納得のいくまで話します!音楽はゼロを1にする作業がすごく楽しい。自宅でも毎日パソコンに向かってギターを片手に曲を作ってます。役者の仕事は脚本があって監督さんがいて、ある種、僕らは作品の中のひとつのピースなんじゃないかと思っていて。でも音楽はまた違って、自分で作り上げたものが完成した時はちょっと不思議な楽しさがあります。子供の頃、レゴブロックでよくわからないものを作り上げた時の感覚というか粘土工作というか、それにちょっと近いのかな。
僕の考えるボーカル像としては、歌の上手い下手ってあまり関係ないんじゃないかと思う部分もあって。大事なのは言葉を伝えられるかどうか。僕が好きだったバンドもそうでしたが、声が裏返ってもギターがいくらバラバラでも、人の心の奥底から出てくる気持ちを伝えることが一番大事かな。音楽性がかっこいいとか技術的なことではなく、エモーショナルなものを大事にしている音楽を聴いてきたので、自分もそういうボーカルになりたい。そういう意味では役者をやっていてよかったなと思います。言葉を大切にするという感覚は、お芝居でも音楽でも双方で培われていると思います。
ニット¥27,000(キート/ティーニーランチ)パンツ¥36,000(ビューティフルピープル/ビューティフル ピープル渋谷パルコ2F)その他/すべてスタイリスト私物
映画『アンダードッグ』で演じたボクサーも最高にかっこいい!
――才能豊かな若きボクサー・龍太を演じた北村くん。オファーを受けた時は「自分への挑戦状だと思って熱くなった」そう。
「みんなが今作のために何かを犠牲にするくらいの覚悟で、すごい熱量をもって現場に来ていた。僕も肉体改造を含め、覚悟を持って挑まなければと思っていました。まずはボクシングをすることで体を作りました。食事制限はもちろん、毎日5㎞走って縄跳びしてスパーリングして、試合シーンの1週間前からは水も制限して野菜だけを食べる糖質ゼロの食生活。ボクサーのような生活で3、4カ月かけてトレーニングして、最終的には体重を10㎏落としたかな。試合シーンではボディと肩は本気で打ってます。一番練習したのはトレーナーさんの本気のパンチを受けること。顔に入ることもありましたね。でも僕、役を引きずったり憑依したりは全然ないんですよ。ないがゆえにキツい時もあります。龍太として芝居して、メンタル的にも肉体的にも龍太を追い込んでいくと撮影の帰り道に自分がボロボロなことに気づく(苦笑)。だから試合シーンの後のビールは本当に美味しかった(笑)。やり切れたことは自信になりました。
最近はありがたいことに主演映画が公開されて、単純にスゴいじゃんって思うけど(笑)、僕は俳優だけをやってるわけじゃなくて――。役者一本の同世代たちは本当にかっこいいなと思いますが、僕は音楽をはじめ、いろんなことをやりたいタイプです。いろんな表現をさせてもらえる立場で、今後もいろんな役を演じたい。『この役といえば北村』っていうのはあまり考えていなくて。今作にも自分がどこまでやれるのかという思いで挑みましたし、自分自身を楽しみにしたい。『キミスイ』の時に今の自分は想像できなかったし、2、3年後はどんな自分になっているかもわからない。今、自分の感覚でやりたいと思ったもの、やらせてもらえる役を真摯に生きるのがやるべきことかな。たまには休憩しつつ(笑)」
映画『アンダードッグ』
映画賞総なめの『百円の恋』チームが再集結。ボクシングを題材にした、不屈のルーザーたちへ捧げる感動の物語。人生に見放された三匹の負け犬たちがリングの上でめぐり会うーー。監督/武 正晴 原作・脚本/足立 紳 主題歌/石崎ひゅーい「Flowers」出演/森山未來 北村匠海 勝地 涼ほか●前編後編ともに公開中
Takumi Kitamura
’97年11月3日生まれ 東京都出身 血液型B型●子役からキャリアを積み、’08年『ダイブ』で映画初出演。’17年公開の『君の膵臓をたべたい』で第41回日本 アカデミー賞新人俳優賞を受賞。今年公開の主演作は『サヨナラまでの30分』『思い、思われ、ふり、ふられ』『とんかつDJ アゲ太郎』『さくら』など。ダンスロックバンドDISH//ではメインボーカルとギターを務める。
撮影/樽木優美子(TRON management) ヘアメーク/佐鳥麻子 スタイリング/鴇田晋哉 取材/駿河良美 撮影協力/AWABEES