旅に出る一つのきっかけになるのが、「○○したい!」という想い。思い切りショッピングがしたい?大自然を満喫したい?CLASSY.世代の旅作家・小林 希さんが、希望を叶える旅先を紹介します。コロナが落ち着いたら、こんな所にぜひ行ってみたい!
大人の旅時間で、しっとり心を潤わせる
秋の香り漂う季節になりました。今年は桜をゆっくりと観賞できなかったので、紅葉こそは楽しみたいですよね!おすすめは、筑後地方・八女市の山あいにある、星野村です。
標高約400メートルに位置し、名前の通り夜空に瞬く星が美しく、九州最大の天体望遠鏡がある天文台もあります。
一方で、筑後地方は八女茶の産地で、星野村は「奥八女」と呼ばれるうちの一つ。豊かな自然と清流などによって、最高に美味しいお茶が作られるそう。星野村にある「茶の文化館」によれば、室町時代からお茶の生産が始まったと伝えられています。明治以降は積極的に高品質なお茶の生産に取り組み、京都の宇治から玉露の製法も学んで、星野玉露が作られるようになったとか。
八女市内から車で約40分。清々しい空気の星野村に着くと、山の斜面に段々畑があり、民家の近くにも茶畑が広がっています。木々の葉は赤や黄に染まり静寂な村を華やかに彩っています。足元に落ちる紅葉の絨毯を歩きながら「茶の文化館」へ。
ここでは、伝統本玉露を嗜んでみることにしました。綺麗な緑色の玉露をまずは一口。濃厚な香りがふわりと鼻に抜け、深い味が口に広がります。その後、二煎、三煎、四煎と少しずつお湯を足して、移ろう風味を楽しみました。
最後に、残った茶葉に出汁醤油をかけて食べるようすすめられました。栄養価が高いだけでなく、柔らかくて少し渋みのある茶葉は、しっかり噛み締めても美味しいということに衝撃!なんて奥深いお茶の世界…。
窓から外を眺めると、紅葉した木々が美しく佇み、風流で優美な和を感じる時間に、しばし陶然と過ごしました。
紅葉とお茶を愛でて楽しむ、落ち着いた秋の大人旅。素敵だと思いませんか?
紹介してくれたのは…小林 希さん(旅作家)
元編集者。29歳で会社を辞めて世界一人旅へ。一年後帰国して旅作家に転身。旅、島、猫をテーマに著書多数。世界60カ国、日本の島80島をめぐる。近著『週末海外』(ワニブックス)。インスタグラム:@nozokoneko 旅するオンラインサロン「しま、ねこ、ときどき海外」
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