「二次元男子」――それは現実には存在しなくとも、誰かの心をつかんで離さない魅力的なキャラクター。その勢いは漫画やアニメの枠を超え、2.5次元舞台や実写映画などでも話題を呼んでいます。気になるあの人の”推し”への思いを、本人書き下ろしのエッセイとともにお届けします。第一回目は以前「着回しDiary」にも登場していただいた、元宝塚男役スター【七海ひろきさん】の好きな二次元男子をご紹介。
掴めそうで掴めない男、ルパン三世
ルパン三世は、格好いい。
私が思う彼の魅力は、たとえ最大のピンチでも、心に余裕があるところ。キメるときは最高の形でキメる。でも女性にはとことん甘く、「騙されてもいい」と思いながら行動している。そして、仲間を全力で守ってくれる。そういうところが、めちゃくちゃ格好いいなー!って思います。そんなギャップと、本心が掴めそうで掴めないミステリアスな彼を、みんなついつい追いかけたくなってしまうのかも。まるで、銭形警部のように(笑)。
宝塚歌劇団で男役を演じて数年が経った頃、自分の追い求める格好良さとは何だろう?と思った時期がありました。そこで、元々好きだった色んなアニメや漫画、映画を見てみたんです。
そこには、様々なタイプの素敵なキャラクターが溢れていました。だから演目ごとに色々当てはめて、参考にしていました。3次元の舞台と今回のテーマである2次元の世界は、一見違うようだけれど、見る方にときめきや夢をお届けするのはどちらにも通ずるものだと思います。見れば見るほど、役を演じることへの勉強になりました。
特に好きな話――「カリオストロの城」
その流れで、劇場版アニメ「ルパン三世 カリオストロの城」を改めて見たとき、ルパンのような役を演じてみたいと思いました。
振り返ってみると、自分が演じるのは、真面目で誠実、いつも一生懸命といった役が多かった。なので、ちょっと肩の力の抜けたルパン三世は憧れでした。
特に好きなシーンは、ルパンが幽閉されたヒロイン(クラリス)に手品を見せるところ。悪者に見つかったら大変な状況だったけれど、ユーモアを忘れず、ヒロインの張り詰めた空気と気持ちを一気に塗り替えてくれる。…本当に素敵です。私も人として、どんな時でもそうありたいなって思います。あの場面は、何度見ても心があったかくなる。
大人の色気や雰囲気というのも、もしかしたら彼が持つような、心の余裕から生まれるものなのかもしれません。そう考えたりして、役を演じるうえで参考にしていました。
宝塚で観た3次元のルパン三世
そんなルパン三世が宝塚歌劇団雪組で上演されたとき、ルパンを演じた早霧せいなさんがとっても素敵で、その再現率の高さに物凄くときめきました。主題歌が流れた時の高揚感は今でも覚えています。
昔から「ルパン三世のテーマ」が好きで、特に
男には自分の世界がある たとえるなら空をかける ひとすじの流れ星
という歌詞が大好きなんです。細部にまで男のロマンが溢れているルパン三世は、私の中でこれからもずっと憧れの作品。「ルパン三世のテーマ」も、いつかどこかで歌ってみたいな!
憧れの存在がいると、物事を頑張る原動力になるし、心に潤いを与えてくれますよね。「推し」がいるって、とても大切だなって思います!自分の好きなものを愛でる時間を、これからも大事にしていきたいですね。
七海ひろきさん・元宝塚歌劇団星組の男役スター。2019年に退団後、舞台、声優、コンサートなど幅広く活躍中。11月18日(水)20:00より、SPWNにて配信ライブ『One-man LIVE773 ”KINGDOM” ONLINE-AUTUMN-』開催決定!詳細は公式サイトhttps://hiroki773.com/よりチェックを。
イラスト/はらだ有彩 構成/CLASSY.ONLINE編集室
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