新鮮&萌え! フィリピンBLドラマ|辛酸なめ子の「おうちで楽しむ」イケメン2020 vol.8

世界中の女子の癒しコンテンツとして定着しつつあるアジアのBLドラマ。先日最終回が配信されたばかりのフィリピンのBLドラマ「GameBoys」は、本国はもちろん日本でもすでにBLドラマ通の間で話題に。イケメン2人のロマンスはもちろん、コロナ禍の制約を逆手に取った、まさに今なストーリー設定にも注目です。

辛酸なめ子の「おうちで楽しむフィリピンBLイケメン+α 4選」

2020年の夏は海にも山にも行

2020年の夏は海にも山にも行けなかったですが、アジアのBLのドラマに出会い、供給の海を泳ぎ、感情の山を登ったり降りたりすることができ、十分満喫できました。タイのBLが世界的なブームになって、他のアジアの国でもBLドラマが盛り上がっているようです。
中でも名作だと話題のフィリピンのBL「Gameboys」をチェックしてみました。現代の社会の風潮をスピーディに取り入れるのがフィリピンドラマの特徴のようです。「Gameboys」はコロナが蔓延し自由に外出できない状況で、リモートで交流する男子たちの物語です。そのあらすじは……ゲーム実況配信で人気のカイロ(通称カイ)は、ライブ配信中に初めて対戦したガブリエル(通称ガブ)に負けてしまいます。その後連絡が来たのでSNSでつながると、そこには笑顔の青年の姿が。「君のことが好きになった。次にまた僕がゲームで勝ったら口説かせて」と、明るく告白するガブリエル。戸惑い、最初は嫌がっていたカイでしたが次第に彼のペースに巻き込まれ……。気になって彼のSNSをチェックしたり、ネットのビデオ通話で会話するうちに、それぞれ孤独感や悩みを抱えていた2人は距離が近くなっていきます。仲良くなってからは、ビデオ通話でつないで同じ時間に食事したり、背景を海やピラミッドなど観光地に変えてバーチャルデートしたり……。実際に会ってもマスクや手袋、ビニールシート越しだったりで、「ソーシャルディスタンス」がこんなに胸キュンをもたらすものだったとは……と、逆転の発想の演出に感動しました。
それにしてもフィリピンの若者のデジタル化には驚かされます。一日ほぼ24時間配信したり友人・知人のSNSを頻繁にチェックしたり、ずっとネットにつないでいてパケ代はいったいいくらになるのでしょう。以前フィリピンに行った時は貧富の差が大きい印象だったので、このドラマに出てくる青年たちはそれなりに裕福な家庭なのかもしれません。
演出も斬新で、SNSのメッセージ欄に打ち込む様子を映したり(「眠いんだ」と一度書き込んだのを消して、「OK」と書き直して送ったり、心情がそのまま見えます)、家族との会話もリモートだったり、モメたらweb会議で話し合ったり、画面の中で違和感なくストーリーが進行。現地のロックダウン中、基本は俳優は自宅から出演して自撮りしたり、部屋の照明も自分たちで調整したそうなので驚きです。逆境を利用して、フィリピンのドラマ業界が大きく発展しそうです。このドラマの主要人物は、イケメン3人と美女1人。エモい主題歌を歌っているジョシュア・ロネットというイケメンの歌手や、後半に出てくるカイロの幼なじみのウェズリーも魅力的でしたが、以下の登場人物をピックアップさせていただきます。

童顔と塩リアクションが可愛い……カイロ

カイはゲーム配信者の青年で、た

カイはゲーム配信者の青年で、ただでさえ若いうえにさらに童顔でかなり可愛いです。ガブが一目惚れするのも納得。最初はツンツンして素っ気ないのですが、Gavの熱烈アピールにほだされ、時々笑みを浮かべるように。「何言ってんの」「バカ!」「ダサっ」「くだらない」といった塩リアクションにも、誘い受け感が漂っています。
最初は不機嫌キャラだったのですが実は感情表現が豊かで、ガブに心を開いていくにつれ、喜怒哀楽を見せて自分を解放していきます。家族の問題で号泣する場面や、ガブと会って感極まって目に涙をためるシーンなど、ピュアな瞳から涙を流す姿に萌えました。泣くシーンが多いのですが、タイのBLドラマ「STIILL 2gether」でたった2週間、サラワットと離れるだけで泣いていたタインの姿と重なります。受けは泣く演技ができないと務まらないのでしょうか。ちなみにカイとガブは2週間の合宿どころではなく、ミンダナオ島とルソン島に離ればなれになってしまいそうな展開で、涙にも説得力が。
演じているイライジャ・カンラスは、イタリアで開催された第17回アジア映画祭で「Kalel, 15」という作品で最高演技賞を受賞したそうでこれからのフィリピンのエンタメ界を背負っていきそうな存在です

甘い言葉でグイグイ迫るセクシー陽キャ……ガブリエル

カイと合わせて「CaiReel

カイと合わせて「CaiReel」というカップルネームが世間に定着しつつあるガブ。陽キャでセクシーなイケメンでグイグイ、カイにアプローチします。カイに挑戦するためゲームの腕を磨いて、「君が負けたらデートして」と迫ったり、ピザや花を贈ったり……。さらに動画などで半裸を見せつける、というアプローチ法も。鍛えているだけあって、適度にマッチョでいい体をしています。ある時、腕立てをしながら、カイに回数を数えてほしいとリクエストし、スマホを胸の下に置いたガブ。画面上には乳首が迫り、動揺したカイは「4、5、Sex」と言い間違えて、慌ててSixと言い直しますが、ガブを喜ばせることに。この時すでに術策にハマっていたのかもしれません。
情熱的なガブは、カイにいつも「Baby」と呼びかけ、彼の心を動かすような言葉をたくさん発しています。「誰かと話したくなったら俺はいつでもここにいるから」「笑ったほうが可愛いよ」「君への俺の愛に酔ってるんだよ」「君はただひと呼吸で俺を虜にした」「俺の天使になって」「君はいつでも俺の邪魔をしていいんだよ」など、視聴者の心にも刺さります。(言われたいけどこんなこと言ってくれる日本人男性はほぼいないような……)
演じているココイ・デ・サントスのYouTubeを見たら、ドラマの中のNIKEの箱が積み重なっている部屋は実際の彼の自室で、家族と暮らしている家はかなり大きく、棚には高そうなスニーカーが大量に並んでいました。ドラマ内での足元にも注目です。

2人の恋を邪魔するガブの元カレ……テレンス

カイとガブがせっかく仲良くなっ

カイとガブがせっかく仲良くなってきたところに刺客が登場。ゲーム配信中、挑戦者として名乗りをあげたテレンスは「Gavreelonlylove」というハンドルネームでカイを挑発。気になったカイがSNSを調べるとガブと気が合いそうな半裸写真が多いイケメンで、過去にはガブと仲良さそうな写真も……。どうやらガブの元カレで、復縁を希望しているようです。ガブについてカイにあることないこと吹き込み、カイとガブの関係に暗雲が……。 前半はイヤな奴ですが後半は悔い改め、困り眉で「Sorry」と謝りまくる反省キャラになっていました。タイと同じく南国のドラマはあまりイヤな人は出てこないのかもしれません。

2人のキューピッドは次作でGLに主演!……パール

主人公2人のキューピット役にな

主人公2人のキューピット役になった姉御的な女性。おそらく女性視聴者は彼女に共感し、テンションが高いパールと一緒に2人のラブラブぶりに叫んだり悶々としたりすることでしょう。パールとガブと仲良しで最初はカイがジェラシーを感じていましたが、昔ガブと交際していたけれど今はただの友人で、むしろ2人の恋をサポートしてくれるように。ケンカの仲裁をしたり、車を出してあげたり、彼女がいなかったら恋は進展していなかったことでしょう。
次はぜひ彼女にも幸せになってほしいところですが、「Pearl Next Door」というGLドラマでの主演が控えています。何人かの彼女候補から選ぶ番組のようですが、かなりの美女たちが揃っているようで、BLの次はGLにも注目です

フィリピンのBLドラマのイケメンを見て感じたのは、情が厚いということと、全員顔が甘い、ということです。一回ハマったら魅惑のスイーツのように体が欲してしまいそうなのがフィリピンのBL。疲労回復できる癒し系ドラマです。

ひと味違うフィリピン発BLドラマに注目

「GameBoys」
コロナ禍により厳しいロックダウン政策が実行されたフィリピン。ゲームのオンライン配信で知り合ったカイロとガブリエルの〝会いたいのに会えない〟という萌え要素に加え、俳優それぞれが自宅からリモートで撮影し、SNSを通じてやり取りするというリアルな設定が世界中で共感を集めている新感覚BLドラマ。9月13日に最終回が配信され、フィリピンはもちろん日本でも話題に。第2シーズンも製作中。
(photo:Coutesy of  The Idea First Company)

辛酸なめ子 イケメンや海外セレ

辛酸なめ子
イケメンや海外セレブから政治ネタ、スピリチュアル系まで、幅広いジャンルについてのユニークな批評とイラストが支持を集め、著書も多数。近著は『スピリチュアル系のトリセツ』(平凡社)、『辛酸なめ子の世界恋愛文学全集』(祥伝社文庫)など。

撮影/村山元一(SIGINO)<辛酸さん> 構成/CLASSY.編集部

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