結婚しないと不幸!?男らしさより優しさが必要!?【幸せな結婚】プロの意見

結婚する?しない?するならどんな相手と結婚すれば幸せになれる?めまぐるしく世の中が変化している今、「幸せな結婚」って結局、何なのか。一度落ち着いて考えてみませんか。オリンピックも延期になり「まさか」なこと続きの2020年。出会いや婚活、また理想の夫婦の形も何が正解なのかますますわからなくなっています。

「幸せな結婚」ってそもそも何?…結婚の先輩2人が語ります

女性の生き方についての著書も多く、ずばり『幸せな結婚』という小説も書かれた小島慶子さんと、男性学研究の第一人者で小島さんとの共著もある田中俊之さんに「幸せな結婚」とは何なのか、語っていただきました。

エッセイスト/タレント・小島慶子さん

エッセイスト/タレント・小島慶子さん
TBSアナウンサーとしてテレビ、ラジオで活躍。独立後、執筆、講演など活動の幅を広げる。女性に関する社会問題やジェンダー、教育問題にも精通し、東京大学大学院情報学環客員研究員、昭和女子大学現代ビジネス研究所特別研究員を務める。2児の母であり大黒柱マザーとしてオーストラリア在住の家族を支える。

大正大学心理社会学部人間科学科 准教・田中俊之さん

大正大学心理社会学部人間科学科 准教・田中俊之さん
男性学の第一人者として新聞、雑誌、ラジオ、ネットメディア等で活躍。『男がつらいよ』『男が働かない、いいじゃないか!』など著書多数。小島慶子さんとの共著『不自由な男たち』(祥伝社新書)は男性の生きづらさをテーマに恋愛、結婚、育児など男女の問題にも斬り込む内容。夫婦共働きの2児の父。

「結婚しない」という選択は女性にはメリットが少ない?

田中:最新の社会調査では「人は結婚するのが当たり前だ」という人は27%、「必ずしも結婚する必要がない」という人は68%という結果が出ています。結婚するかしないかは個人の自由で、「結婚しなくてはいけない」という圧力は以前より弱まってきています。

小島:「結婚しなくていいし、子どもも持たなくてもいい」と考える人も増えましたが、他人についてはそう思えても、自分のこととなると「やっぱり私は結婚したい」という人は多いかも。

田中:確かにあくまで一般的な意見と、実際に自分がどうしたいかとの間の葛藤があると思います。当然「結婚する」「しない」は個人の自由なのですが、女性の場合、結婚しないことによるデメリットが存在してしまうことは考えておいたほうがいいと思います。日本は男女の賃金格差があまりに大きく、定年まで働くという人も少ない。女性一人で食べていくことがかなり困難なのが現状です。

小島:本当にそうですよね。「私は結婚しなくてもいい」と言っているのは、経済的な心配がない人。私の同世代で「一生一人でもいいわ」と楽しそうに独身生活をしている人は大手企業の正社員で、マンションも購入済み。でもそんな女性はほんの一握りで、多くの女性は不安定な雇用で働いているのが現実。非婚化に加えて女性は寿命も長いので、将来の日本は「高齢の貧しい一人暮らし女性が多い国」になるとも言われています。そうなると経済的な問題に加え、社会的な孤立も問題に。よく女性どうしで「同じマンションに住めたらいいね」なんて言ったりしますが、たとえば非常時に「お金を貸してほしい」という時に友人を頼れるのか?コロナに感染して「助けてほしい」となったら誰を呼べば?そうなるとやっぱり身内がほしいとなりますよね。リアルに考えると、安心して生きていくためには生計を共にするパートナーが必要になる。結婚は依然として女性が経済的、社会的に生き延びていくための現実的な手段なのだと思います。

結婚する前に話しておくべき!お金と家事と性の問題

小島:幸せな結婚をするためには相手が女性を本当に対等に扱う人であるかを見極めることが重要です。なぜなら結婚生活で大事なポイントとなるのは「家事」「仕事」「子どもの教育」「セックス」の問題だからです。私は「安心して離婚できる相手と結婚したほうがいい」とも思っています。もし彼が「結婚したら妻には家庭に入って欲しい」「子どもは母親がそばにいるべき」という考えなら、あなたは仕事を辞めなければならず、経済的な手段を失うことに。これでは安心して離婚できませんよね。その男性の女性観は恋人への態度で判断することはできません。その人にとって「最もどうでもいい存在」であり、「立場の弱い女性」に対してどういう態度をとるか。そこに人権意識の本質が現れると思います。ぜひそれを見極めてほしい。

田中:日本は女性の我慢を前提に社会や経済が回ってきたという面があります。男女の賃金格差しかり、特権を持っている側にとってはそれが当たり前のことなので、問題性に気づきにくいんです。男性に「女性は賃金が低く、職業の領域で虐げられている」と話してピンとこなくても、「だから男性(=あなた)は一生働くしか選択肢がないんだよ?」と話すと、自分にも関係している問題だということがわかる。男性と女性の問題は表裏一体なんです。

小島:相手を見極めたいなら1年以上同棲するのがお勧め。デートや旅行だけではわかりませんよね。お金、家事、セックスの話もしっかりとすることが重要です。例えば家事なら、ラブラブの時は「私がやってあげるのが奥さんぽくていい感じ♥」と思いがちですが、これは危険な罠(笑)。家事をしない彼なら、家事をしてほしいと伝えてみて。その時に「なんで俺が?」となったり逆上するようなら、結婚前に気づいてよかったと思ってお別れすればいいんです。反対に「あ、そうなんだ、やり方教えて」と素直に言える人なら、この先も一緒に家事も育児もできる人かも、と思えますよね。砂漠のような話ですが、最後に残るのはお金と家事なんです!

恋愛と結婚を分けて考える!これが「幸せな結婚」の秘訣

田中:「私がやってあげる、お世話してあげる」というのを本当に一生続けていくのか?恋愛の時はいいけれど、何十年も続けていくようなことではないのではないか?と僕は思いますね。だからこそ、恋愛と結婚はしっかり分けて考えることが大切です。恋愛中は頼もしく魅力的に見える「男らしさ」は「乱暴、不真面目、大雑把」でもある。よくいえばワイルドですが、それがいざ結婚となると、残念ながら問題点が多い。この先何十年も生活を共にする結婚においては、ときめきよりも「優しい、真面目、細かいことに気がつける」という要素のほうが重要。頼りがいがあるようには見えないけれど非常に大事なポイントです。

小島:自分を幸せにするのは自分。聡明に判断して、良い選択をしてください!

イラスト/酒井真織  取材/加藤みれい

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