【宝塚】結婚したい男役キャラ3選|ヅカオタ編集Mがアツく語る⑤

少しずつエンタメ業界も活気を取り戻しつつある今日この頃。『宝塚歌劇』もその影響を受けつつ、先日とうとう公演が再開されました。この機会に宝塚デビューしたい!というCLASSY.読者の方に、ヅカファン歴20年の編集Mが「結婚相手として最高なのでは」と思う3人のキャラクターを独断と偏見により選出しました。婚活中の方はぜひ参考にしてみてください。

こんな人と結婚したい!理想の男役キャラクター3選

【宝塚】結婚したい男役キャラ3選|ヅカオタ編集Mがアツく語る⑤

①『霧深きエルベのほとり』(2019年星組)のフロリアン・ザイデル【演:礼 真琴さん】

結婚したい男性像ってなんだろう?とそもそも論を考えたところ、【①包容力】【②経済力】【③安定感】の3つがある男性なのでは、という持論に辿り着きました。その視点から考えた「結婚したい男性キャラ」としてオススメする一人目がこちら。作品は劇作家・菊田一夫氏が宝塚歌劇のために書き下ろした名作です。その中で当時の二番手男役スター・礼真琴さんが演じたフロリアンは、公演当初「できた人間すぎて怖い」とまで言われるほど、非の打ち所がない人物でした。

【簡単なあらすじ紹介】
主人公の船乗り・カールは年に1度のビア祭りのため、故郷ハンブルクに帰ってくる。祭りの興奮と熱気の中で、カールはマルギットという一人の令嬢と出会う。彼女は「自由になりたくて」家出してきたと言う。二人は互いに惹かれ、湖畔のホテルで一夜を共にする。翌朝、カールはマルギットにプロポーズし、幸せな時間を過ごすが、実はマルギットはハンブルクでも指折りの名家の娘で、フロリアンという婚約者がいた。連れ戻しに来た家族にマルギットは「カールと結婚できなければここで死ぬ」と主張し、やむを得ずマルギットの屋敷で二人の婚約が発表されることになるが…。

【結婚したいポイント】
先ほどあげた「結婚したい男性」3つの条件のうち、まさにすべてを兼ねそなえているのがフロリアンだと思います。いいところのお坊ちゃんで、優しくて、賢くて、誠実。彼は幼馴染である婚約者のマルギットをずっと好きでいますが、彼女は突然現れた船乗りと恋に落ち、結婚するとまで言いだしてしまう。普通ならそこで男同士のバトルに発展しそうですが、そうならないのがこの作品の深いところ。フロリアンは賢いために彼女の気持ちが自分にないことを以前からわかっており、バトルどころかカールとの結婚を承諾し、祝福してあげようとします。さらにマルギットの父親がカールとの結婚を反対した際には二人を擁護してあげる。挙句、物語のラストでは、姿を消したカールを、マルギットと一緒に必死で探してあげます。もう宝塚イチの出木杉くんと呼びたい。あまりに完璧なので「フロリアンはサイコパスなのではないか」と一部のファンをざわつかせていましたが、カールと対峙するフロリアンの目にうっすら涙が浮かんだり、ラストで去り行くカールの名前を誰よりも大声で叫んだりと、賢さと優しさのために自分の本心を上手に隠してしまうフロリアンという人物像が、リアルに舞台の上に息づいていました。公演中、フロリアンが可哀想すぎて、「私が幸せにしてあげたい…」と三日間くらい彼のために泣いていた友人もいました。

②『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』(2019年月組)のジョージ・エードラー【演:珠城りょうさん】

『エリザベート』『モーツァルト!』などで有名なウィーンミュージカルの新作。潤色・演出は齋藤吉正先生です。いつもいい意味で予想を裏切ってくれる齋藤先生ですが(詳細は第3回目の記事を参照)、こちらの作品でも「二階席に座っていると目が合う」と話題になったヘリコプターのセットや、「マッチョ」連呼の独特の歌詞などに、その片鱗をのぞかせてくれました。

【簡単なあらすじ紹介】
舞台はウィーンにある老舗ホテル・エードラー。跡継ぎであるジョージは、若者らしい革新的な改革を掲げ、悲願である“五つ星”獲得を目指して積極的に経営に参加していた。そこへオペラ座舞踏会に出席する為に、オーストリア出身の人気ハリウッド女優エマ・カーターがお忍びでやってくる。しかし従業員の一人が彼女の来訪をツイートし、マスコミが押し寄せたためにホテルは大混乱。その不手際を詫びにジョージはエマの部屋を訪ねるが、ふとしたことから二人は意気投合し…。

【結婚したいポイント】
ジョージに関していえば、まずは【②経済力】。なんといっても老舗ホテルの御曹司です。高級なものに幼少の時から自然と囲まれ、何不自由なく育った感じが作中のあらゆるところからにじみ出ていました。ハリウッド女優相手に臆することなく、常にパリッとしたシャツを着て、別荘も持っている。「日本でいうところの慶應ボーイ」という意見もあったそうですが、まさにそんな感じ。そして彼は【①包容力】も持ち合わせています。ちょっとワガママな女優のご機嫌をとりつつ、なんだかんだ上手く立ち回る彼の社交性は、ホテルマンとしての接客力と御曹司ならではの余裕が合わさった無敵ぶり。個人的に「結婚して!」と思ったのは、「1.白シャツ+ニットベストの完璧な似合いぶり」「2.疲れて眠ったエマのため、起きる前に朝ご飯を作り始めていた」「3.何をしてもニコニコしている」の3点です。世の中の男性はこのポイントを抑えれば結婚できる可能性がグンとあがるでしょう。「何をしてもニコニコしている」と言いましたが、物語のラストでエマがスピーチで告白したとき、ジョージは別人のように真剣な表情で真っ直ぐ彼女に向って歩いていく、というシーンがあり、そのジョージが鬼のようにカッコいい。というかジョージ役の珠城さんがカッコいい。編集Mの「結婚して!!!」という心の叫びが劇場にこだました瞬間でした。

③『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』(2012年宙組)のヤン・ウェンリー【演:緒月遠麻さん】

原作のファンの方も多いであろう『銀河英雄伝説』ですが、2012年に宝塚の脅威のビジュアル力をもって上演されています。その中で、当時の男役スター緒月遠麻さんが演じたヤン・ウェンリーを推したいと思います。

【簡単なあらすじ紹介】
舞台は宇宙、核戦争により地球に住めなくなった人間が移り住む銀河連邦。皇帝が治める銀河帝国と、帝国を脱出した人々による自由惑星同盟の間で宇宙戦争が長く続いていた。銀河帝国の指揮官はラインハルト・フォン・ローエングラム、対する自由惑星同盟は才能溢れる智将ヤン・ウェンリー。下級貴族出身のラインハルトには、いつか皇帝を倒し、幼少期に後宮へ連れていかれた姉を救うという密かな計画があった。戦績を重ね、ついに諸将を束ねる元帥府を開いたラインハルト。しかしそれは、皇帝と門閥貴族たち、自由惑星同盟との戦いの幕開けだった…。

【結婚したいポイント】
ヤンがとくに当てはまるのは【①包容力】と【③安定感】ではないかと思います。【②経済力】についても、軍の要職についているのでないとは思えませんが、作中で特に触れられていないので省きます。主人公のラインハルトはどちらかといえば感情的になりやすいキャラクターなのですが、対するヤンはいつもどこか肩の力が抜けた優しい男性。それでいて、いまいちキメきれない人間味(寝起きが悪い、好きな女性には奥手になってしまう…など)があって、母性本能をくすぐられてしまうのもグッとくるポイント。さらにヤンは東洋系の容貌で「見る人によってはハンサムに見えなくもない」と原作では評されており、その”ほどよさ”が結婚相手にいい理由の一つでもあります(宝塚で演じられている時点で十分ビジュアルもカッコいいのですが)。そして彼は戦争孤児の少年を保護して養ってあげたりという父性も持ち合わせています。仕事ができて、優しくて、いいパパにもなりそうで、好きな女性には一途(作中ではジェシカという古い友人にずっと想いを寄せています)。そんな人がいたら届けてほしいと願わずにはいられません。

おまけ:編集Mが個人的に結婚したい男役キャラ

さんざん結婚するならこのキャラがいい、と書いてきたのに恐縮ですが、超個人的に「私が結婚したい」男役キャラもご紹介します。婚活中の方にすすめたいのは前の3人とすると、ここからは完全に個人の趣味に走ります。

①『神々の土地』のドミトリー・パブロヴィチ・ロマノフ
「この世で最も理想的な男性は誰ですか?」と訊かれたら、「神々の土地のドミトリー」と答えると決めています。舞台は末期の帝政ロシアで、ドミトリーは怪僧ラス・プーチンを暗殺した人として知られるロシア貴族の軍人。作品では帝国をどうにか守ろうと、私情を捨て国に忠誠を尽くす男性、という設定。貴族の軍人、というだけで少女漫画的なイケメンキャラであるのは間違いないのに、報われない恋愛をしていたり、ちょっとやんちゃな一面もあったりと、もう女性の好きなものを詰め込んだような人物です。演じた朝夏まなとさんの「体の半分が脚」という軍服姿も、宝塚ファン冥利に尽きる光景です。

②『霧深きエルベのほとり』のカール・シュナイダー
先ほど同じ作品のフロリアンを選びましたが、個人的な趣味で選ぶのならば主人公のカールがいち推しです。彼は荒くれ者の船乗りという設定なので、金遣いは荒いし、口も態度も悪いし、一般的にはモテるタイプではありません。でも好きな女性にはっきり「好き」「結婚してくれ」と伝えられる男気があります。そして自分の気持ちに素直。ですが最後、身分違いのご令嬢を好きになって、一度は船を降りて堅気の仕事をする、と決意しますが、婚約発表の場で現実を知り、自ら悪者になって身を引きます。その引き際が本当に泣ける。自分の生きてきた世界で人に優しくすることはできても、まるで違う価値観の世界にぽんと放り込まれたとき、保身に走らず好きな人のために自分が犠牲になることを選べるか。カールの生き方に、深く考えさせられました。

③『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のカール・ハンラティ
ディカプリオ様主演の映画で有名なこの作品は、ミュージカルとしても世界中で上演されています。映画でトム・ハンクス様が演じていたハンラティが、個人的に結婚したい3人目です。ポイントはズバリ「ちょっと疲れたおじさんの色気萌え」。「おっさんずラブ」「私の家政夫ナギサさん」などで世の中に空前のおじさんブームが訪れていますが、私はその波に彼を乗せたい。ハンラティは主人公の詐欺師を追う警察官で、仕事に心血を注ぎすぎたために家庭を失っています。それでも警察として、悪人を追うことをやめない。自分でもその至らなさに気づいているけれど、不器用で生き方を変えられない。ハンラティを演じた七海ひろきさんファンの友人が、観劇から数年たっても思い出したように「ハンラティと結婚したい…」とことあるごとに呟いていたのを忘れられません。

以上、ヅカオタ編集Mによる、婚活中女性に捧ぐ!結婚したい男役キャラ3選でした。「生のイケメン男役が観たい!」という方へ、チケットの取り方や公演日程は、ぜひ宝塚歌劇団公式サイトをチェックしてみてくださいね。

そもそも宝塚歌劇団とは?

花、月、雪、星、宙(そら)組と、専科から成る女性だけによる歌劇団。男性役を演じる「男役」と女性役を演じる「娘役」がおり、各組のトップスターが毎公演の主役を務める。兵庫県宝塚市と千代田区有楽町にそれぞれ劇場があるほか、小劇場や地方都市の劇場でも年に数回公演をおこなう。
公式サイト:https://kageki.hankyu.co.jp/
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