俳優・柿澤勇人さんが“ウェルビーイング”のために心がけているのは…「あまり求めすぎないこと」

——現在公演中のミュージカル『ジキル&ハイド』。3代目ジキルを務めるにあたってプレッシャーはありましたか？
初代ジキルは鹿賀丈史さん、2代目は石丸幹二さんと大先輩が続いて、プレッシャーはありますが、やるしかないし、ここから上がるしかないな、と思っています。鹿賀さんと石丸さんは僕よりも上の年齢で初演を務められているので、僕のジキルには若造なイメージを持たれるかもしれませんが、僕としてはこの年齢だからこそ演じられるジキルがあると思っています。僕以外にも初参加のキャストの方もいるので、長く上演されている作品ではありますが、なぞることなく、新しい提案もしていきたい。トライ&エラーを繰り返して作品に貢献したいです。

——CLASSY.のテーマである“Well-Being”に因んで、心地よく生きるために心掛けていることを教えてください。
なんだろう……。あまり求めすぎないこと、かな。仕事柄、自分のやりたいことや考えを周りに伝えていかなきゃいけない立場でもあるので難しい部分はありますが、全部に期待しないことは意識していますね。30代中盤になり、もちろん焦りもあります。でもそれは役者をやっていたら一生あるだろうし、いい意味での諦めは必要なのかな、と。役者として全部貪欲に向き合っていきたいけれど、周りが疲れちゃったら意味がないし、バランスは大事ですよね。あとは挨拶をするとかお礼を言うとか、当たり前のことをきちんとすることも大事にしています。個人商店のような仕事なので、どうしてもひとりでキャリアを重ねてきたと思いがちですが、今の僕があるのは支えてくれたり助けてくれたりする人たちがいたからこそ。努力して頑張ってきた自分を認めつつも、サポートしてくれる人がいるから今があることを忘れないようにしています。

主演ミュージカルの稽古中という忙しい時期にもかかわらず、爽やかな笑顔でスタジオ入りした柿澤さん。撮影前のフィッティングの際、「普段ピアスは着けますか？」というスタッフの問いに、「ピアス開いてないんですよ。今、穴開けましょうか？」と冗談混じりに答え、一気に現場のムードを和ませてくれました。どちらのルックも素敵でしたが、俄然現場が湧いたのは、鍛え上げられた胸筋を披露してくれたシャツのルック。“大人の余裕と色気”というワードがぴったりすぎるカットの連続で、モニター前は大盛り上がり。1枚として同じ表情はなく、15周年というキャリアで培われた表現力の幅の広さに感嘆の声も。インタビューでは、「僕も30代で焦りますよ」「つい周りと比べちゃいますよね、分かります」と、CLASSY.読者に寄り添いながら言葉を紡ぐ姿が印象的でした。大きな挫折を経ての「30点でも40点でもいい」という言葉にも重みがあり、新たなウェルビーな生き方を教えてもらった取材でした。