日テレのアナウンサーがアパレルブランドをプロデュースする理由とは?【前編】

日本テレビのアナウンサーが立ち上げたアパレルブランド「Audire(アウディーレ)」を知っていますか? テレビをつければ見かけない日はないほど日々多忙な彼女たちがなぜ、自らの業務の域を越えてファッションブランドを立ち上げたのか。ファッション事業立ち上げへの思いや今後の展望とは−−?

今回取材したのは…

郡司恭子さん(中央)/2013

郡司恭子さん(中央)/2013年入社。情報ライブ ミヤネ屋、夜バゲット、スッキリなどニュース番組を中心に担当。
杉原凜さん(右)/2019年入社。ザ!世界仰天ニュース、3分クッキング、バゲットなどを担当。
忽滑谷こころさん(左)/2020年入社。Oha!4 NEWS LIVE、Going! Sports&News、バゲットなどを担当。


Audire(アウディーレ)って?
2022年9月にスタート。“新たな可能性を模索したい”という想いから始まった、日本テレビアナウンサーが手掛けるアパレルブランド。コンセプトは「Wear The Voice.(心地よいわたしを纏う) 」。服そのものの提案だけではなく、その過程にも寄り添うブランドであることを目指す。2023年3月からはセカンドコレクションも発売。

https://audire.jp/

何もしないでいることが怖かった––コロナ禍をきっかけに生まれた「Audire」

ー声で伝えるアナウンサーという

ー声で伝えるアナウンサーという職種の皆さんが、ファッションブランド「Audire(アウディーレ)」をスタートすることになったきっかけは何なんでしょうか? 

郡司さん:コロナ禍を機に、企画書を書くようになったんですよ。今までは取材に出て、会社に戻って、その日のニュースを伝えて、それ以外の時間は実況をするスポーツの資料を整理して…レギュラー業務で忙しい毎日を送っていて。でも、コロナ禍で取材先に足を運べないことが増え、必然的に空白の時間ができて。私の性格上、時間ができたのに何もしないでいることが怖かったんです。「このまま時代から置いていかれるんじゃないか」って不安を抱くこともありました。

ーアナウンス業務とは全く異なる内容で企画書を書いたのはなぜなのでしょうか?

郡司さん:今までとは違う時間軸で自身の業務と向き合う中で、私はアナウンサーである前に一人の日本テレビの社員ということを改めて思い出して。アナウンサーとしてだけじゃなく、会社員としてのアイデンティティで、いろいろな内容の企画書を書くようになったんです。

「アナウンサー以外のキャリアも積んでみたい」アパレル事業を展開しようと思った理由

ー最初からこのアパレル事業を提

ー最初からこのアパレル事業を提案しようと思っていたのですか? 

郡司さん:いいえ、最初はドラマの企画とかバラエティの企画とか、あとは自分が担当している番組に関する企画書を書くことが多かったです。ですが、今事業パートナーとして一緒にお仕事している「CEORY(セオリー)」社から、アパレルに関する事業の提案があって。その企画自体は日本テレビとしてはお受けできなかったんですけれど、このご縁で何かできないかなと思い、「Audire」の企画書を書いたんです。

ーなぜアパレルを展開しようと思ったのでしょうか? 

郡司さん:アナウンサーという職業は専門的ですので、社員としてこれからのキャリアを考えたときに幅広くキャリアを積んでみたいと思いました。日本テレビの社員という立場のままできること、学べることってもっとあるんじゃないかって、手探りで模索しながら考えていた時期だったんです。そんなとき、ふとアパレルとアナウンサーって実は遠くないのかもしれないと思って。私たちアナウンサーは声で情報を届けるのが仕事ですが、そのときには衣装を着ている。この2つには親和性があると思いました。

アナウンス業務を通して感じた“何を着るか”の大切さ

ーお二方はどのタイミングでこの

ーお二方はどのタイミングでこのプロジェクトに参加されたんですか? 

忽滑谷さん:私はこのプロジェクトの立ち上げが決まり、本格的にアナウンサーチームが稼働するタイミングから参加しているので、本当にみんなで頑張ってきた気持ちです。このチームがとても好きです! 以前からすごく仲の良いアナウンス部ですが、「Audire」を通してよりワンチームになった気がしています。

杉原さん:私は立ち上げより少し遅れて参加しました。このプロジェクトが進むとなったときは正直びっくりしましたね。アナウンサーとして日本テレビに入社して、それを超えた業務、それ以外の業務ってどんな感じなんだろう、と最初は不安もありました。でも、洋服って我々にとってはとても大切な存在。アナウンサーは朝早いことも多いですが、朝どんなに眠くても衣装に着替えるとスイッチが入るんですよ。なので、“何を着るか”の大切さは1年目の頃から実感していて、プロジェクトにはとても興味がありました。多くの方と洋服における喜びや大切さを共感したいなって思っています。

郡司さん:今、“超える”という言葉を聞いて、とてもうれしいです。実は、この企画書を書いた時期に日本テレビが中期経営計画として掲げていたテーマが“テレビを超えろ”という言葉だったんです。今、彼女が「アナウンサーを超えた」と表現してくれたんですけど、まさに「Audire」が目指すのはそこで。この事業を通して、アナウンサーというラベルイメージを超えていきたいという思いもあるんですよね。

「Audire」は“自分らしく働くこと”への模索でもある

ー事業立ち上げの前には、社長へ

ー事業立ち上げの前には、社長へのプレゼンもあったと聞きました。採択されたときは、どんな気持ちでしたか?

郡司さん:私が社長プレゼンをしたんですが、もう膝がガクガク震えてしまって。でも、みんなの気持ちを背負いながらプレゼンして、「じゃあ、やりましょう」と承諾を得たときは、今までに感じたことのない気持ちになりました。うれしさ、恐怖心、これからのワクワク…さまざまな感情が交錯したのを覚えています。

杉原さん:実は、企画書を書いている郡司さんをずっと横で見ていました。ゴルフ中継で忙しい時期にも、企画書をブラッシュアップしてプレゼンの準備を進めていた姿を見ていたので、実現が決まって本当にうれしくて。どんなものが生まれるんだろうって楽しみで仕方がなかったですね。

忽滑谷さん:私は“テレビを超えろ”という大目標に向けて、他局を見渡してもどこもやっていない新しい取り組みに、自分が所属しているアナウンス部が先駆けて挑戦できることがうれしかったです。アナウンサーってちょっと特殊な職業ですが、私たちが持つ能力やスキル、経験を違う事業でも活かせることが伝わって、可能性を広げることができたと思っています。

ー郡司さんが挑戦するその背中を見て、また他の方が何かをするきっかけになっていくといいですよね。

郡司さん:だったら嬉しいですね。ひとことでアナウンサーと言っても、その仕事内容って多岐にわたります。その中で、何をどう選択していくのか…。その選択の繰り返しがアイデンティティを作っていくんだろうなって思っています。今いる場所で少しずつキャリアを重ねて、自分の選択肢が増えていけばいいな、というような気持ちで始めたのが「Audire」でもあるので、その思いがうまく後輩たちに伝わったらうれしいです。決して「常に上昇志向でキャリアアップに向けて頑張る!」というわけではなくて、自分が心地よく、自分らしさを大切に生きていけたらなって。そういう働き方のために、自ら企画書を出して新しいことを始める文化が広がっていったらいいなと思います。

ーコンセプトは「Wear th

ーコンセプトは「Wear the Voice.(心地よいわたしを纏う)」。このコンセプトにはどんな思いが込められているのでしょうか?

郡司さん:ブランドを立ち上げるにあたって周りのアナウンサーたちの声を聞いてみると「周りからの見られ方も大切にしたい。でも自分自身も大切にしたい」という意見が多かったんです。そのバランスが上手くとれることが、みんなが心地よい状態であり、理想の形なのかなって思って。「Audire」がアナウンサーはもちろん、働く女性たちの課題を解決するひとつの選択肢になればいいなと思って、このコンセプトに辿り着きました。コンセプトが決まるまでたくさんの議論を重ねたので、時間に換算するとすごいことになるかもしれません(笑)。アナウンス部のメンバーたちの声を集めて、それをまとめてコンセプターさんとディスカッションして。日々やりとりしながら、4カ月以上にわたり考え抜いて出会えた言葉たちをコンセプトにしたので、そこに込めた思いが伝わるといいなと思っています。

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「Audire」のアイテムがずらりと並ぶ展示会会場で行われた今回の取材。開始早々「毎月CLASSY.読んでます!」とのうれしい言葉に、現場の空気も和み、スムーズに取材が進行しました。3名それぞれが熱心にそして丁寧に語ってくれた「Audire」に込めた思いについて、インタビュー後編ではさらに深掘り。ファッションに対する思いからアイテム開発秘話まで、ボリュームたっぷりでお届けします。

渋谷にてブランド初のポップアップストアを開催!

渋谷駅直結のアクセス便利な渋谷スクランブルスクエアにて、3月16日(木)〜3月29日(水)の期間、ブランド初となるポップアップストアを開催。普段は公式オンラインストアでしか見ることができないコレクションを、実際に手にとって試着できるチャンスです。

◆Audire POPUP STORE
開催期間:2023年3月16日(木)〜2023年3月29日(水)
営業時間:10:00~21:00 入場無料
場所:渋谷スクランブルスクエア ショップ&レストラン5階 +Q(プラスク)グッズ内 Event Stage 5A
住所:東京都渋谷区渋谷二丁目24番12号(渋谷駅直結・直上)
https://audire.jp/blogs/information/20230316-0329popup

撮影/杉本大希 取材/石津愛子 編集/宮島彰子(CLASSY.ONLINE編集室)

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最新号 202406月号

4月26日発売/
表紙モデル:山本美月

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