編集室長・水澤が毎月気になるウェルビーブランドをピックアップして、その歴史や背景、そして生産工程までリサーチしていく連載。SDGsにいち早く着目して環境にも人にも優しいダウン作りを牽引するカナダグースの平井さんにインタビューしました。
今月のウェルビーブランドは…「CANADA GOOSE」
自然と共存するブランドの精神を体現するピュアカラーのダウン
リサイクルポリエステルとオーガニックコットンをミックスさせた素材を使用しながら、従来と変わらない暖かさとパフォーマンスを発揮。袖はリサイクルナイロンに切り替え、内側には責任を持って調達されたダウンを使用。従来の製品より二酸化炭素の排出量を31%抑えているうえに、一切の染色をしないまっさらなピュアカラーで60%以上の水の使用を削減。スタンダード エクスペディション パーカ¥228,000※2023年1月上旬発売予定(カナダグース/カナダグース ジャパン)
【CANADA GOOSE】
1957年にカナダ・トロントの小さな倉庫からはじまった老舗。南極基地の研究員やカナダ人ではじめてエベレストを制覇した登山家がダウンパーカを着たことで話題に。極寒の地で命を守るダウンパーカとして多くの登山家や冒険家に愛されるとともに、様々な環境活動を支援するブランドとしても知られています。
カナダグース・平井さんにインタビュー
水澤:動物愛護の視点からも気になるダウン。どのような環境配慮をしているんですか?
平井:すべてのダウンがRDS認証取得をしていて、生きた鳥から羽毛を採取しない。強制的な餌付けなど動物を不当に扱わない農家の羽毛を使っています。またカナダグースで大切にしているのが環境負荷をきちんと可視化すること。例えば温室効果ガスは、自分たちが排出している分を計算し、その分を削減にかかる施設や活動に投資することでオフセットしています。カーボンニュートラルにおいては完全達成しており、さらに排出自体をゼロにする取り組みを2025年には達成予定です。服作りに伴う水の大量消費問題などの問題に関して、世界的にも厳しい基準を設けているブルーサイン認証を取得した素材を84%以上使用し、100%を目指して改善を重ねています。
水澤:かなり多くの取り組みが!いつ頃からそういった活動をされているんですか?
平井:今年で創業65周年を迎えましたが、〝自然の中でいかに快適に過ごすか〟がブランドのモットーなので自然を大切にする活動は継続して取り組んでいきます。ただここ数年は特に注目が高まっていることもあり、正しく見分けて消費者に判断してもらえるようにサステナビリティレポートを発信するようになりました。またホッキョクグマの生息地を保護する活動も継続的におこなっており、ポーラーベア インターナショナル:PBIコレクションというチャリティコレクションも展開しています。北極の研究員のみなさんもカナダグースのダウンを着ているんです。
水澤:ここ数年で私たち消費者側もサステナビリティに関心を持ちましたし、ブランド側もそういった活動を発信しやすくなりましたよね。
平井:はい。昨年、千葉県に太陽光発電施設を設置したんですが、その活動を知って店舗に足を運んでくださるお客様も増えましたね。
水澤:そういった情報がプラスアルファであると服に愛着が持てるし、「カッコいい!」と思えることが大きなムーブメントに繋がりますね。
平井:カナダグースは長く着られる商品づくりをモットーとしています。長く着られるって究極のサステナブルですから。商品自体が丈夫でメンテナンスしながら長く着られること。これは65年の経験と研究の結果です。しかし私たちは持続可能な活動は競争ではなく協業だと思っていて、他ブランドと共有して発展させていきたいです。
水澤:安心して自信を持って着られるブランドの先駆けとしてすごく頼もしいです!
【CANADA GOOSE】ダウンの特徴
撮影/五十嵐 洋 取材/佐藤かな子 再構成/Bravoworks.Inc