【卒花の結婚式レポ】初デートの思い出の場所「マンダリンオリエンタル東京」で叶えた、形式にこだわらない自由な披露宴
結婚式は、一生に一度の大切な節目。今回は、CLASSY.カップルズの藤井由季さんにインタビュー。東京・日本橋の「マンダリンオリエンタル東京」で叶えた結婚式の舞台裏を伺いました。「距離感を縮める」「ゲストファースト」をテーマに、当たり前の結婚式の形を敢えて変え、自分たちらしさを前面に出した式当日は、随所にセンスと想いが光っていました。
◾️Profile
藤井由季さん/和朗さん(30歳 医師/30歳 商社勤務)
東京都在住。2024年3月、温泉旅行中にサプライズでプロポーズを受け、婚約。同年6月に入籍。今年10月18日にマンダリンオリエンタル東京で挙式。多忙な日々のなかでも、美味しいごはんとお酒を楽しむ“ふたり時間”を大切にしているそう。
舞台は「マンダリンオリエンタル東京」。思い出の場所でゲストに“感謝”を伝える一日
@マンダリンオリエンタル東京
2025年10月18日。藤井さん夫妻が人生の節目として選んだ舞台は、東京・日本橋に佇む「マンダリンオリエンタル東京」。
「初めてのデートで彼が連れて行ってくれたのがマンダリンバーでした。その時の思い出がずっと心に残っていて、『いつかここで結婚式をしたい』という気持ちが自然と芽生えていたんです」(由季さん)
式場選びの決め手となったのは、このホテルならではの360度ビデオウォール。
「会場全体を囲む映像壁が本当に魅力的で、秋の風景や海、空、花など、シーンごとに素材を選べるんです。多くの式場は照明で雰囲気を変えますが、ここでは唯一無二の空間演出が叶うところが素敵で。夫も『こんな演出は初めて』と惹かれていました」(由季さん)
さらに、ゲストの多くが関西からの遠方参列となるため、東京駅から徒歩圏内というアクセスの良さも大きなポイントに。そして式の日取りを10月にした理由には、快適な気候と、遠方からの移動が負担にならないようにという心配りも込められていました。
水が流れる、神秘的なチャペルでの挙式
マンダリンのチャペルの魅力は、まずその圧倒的なスケール感。都内ホテルの中でも最長クラスを誇るバージンロードが特徴です。
「120人のゲストを招待する予定だったので、広いチャペルは絶対条件でした。マンダリンのバージンロードはとにかく開放的で、階段の先が橋のような造りになっていて、その下を水が流れているんです」(由季さん)
静けさの中に、水が流れる音が響く。まるで祈りの時間を包み込むような神秘的な空間。
「ゲスト席に背もたれがなく距離が遮られないので、ゲスト同士の近さや一体感をより強く感じられたのも嬉しかったですね」(由季さん)
緑をテーマに、自然素材を活かした披露宴会場
披露宴会場に選んだのは、スタイリッシュでありながら、ゲストと心地よい距離感で過ごせるサイズの空間。緑を基調に、苔や流木といった自然素材を活かした装飾で、洗練さと温もりが共存する雰囲気に仕上げました。
「派手な花で彩るより、ランダムで揃わない、ちょっとモダンでアートのような雰囲気が好きなんです。緑を多く使うと、結婚式らしい華やかさを良い意味で崩せる気がして、そこにこだわりました」(由季さん)
会場のテーブル装花は、高さの異なる3パターンを配置することで、ランダムさの中に一体感と立体感を生み出しました。
「『異物を入れない』というのをテーマにしました。水に浮かぶキャンドルなどを使う装飾もありますが、そういった要素は入れず、本当に最小限に。低い草花のテーブルでは苔を使って、まるで植物がテーブルから自然に生えているような演出にしてもらいました」(藧美さん)
高砂を囲む草木についても、テーマは「非対称」。由季さんの漠然としたイメージを、装花担当の方が見事に形にしてくれたそう。
「『ランダムに、不揃いでお願いします』と伝えたら、『あ、非対称ですね』と一言。そこから想像以上に素敵な高砂を作り上げてくれて。無骨さのあるデザインが私の好みそのもので、すぐに気に入りました」(由季さん)
自分たちらしさを詰め込んだ手作り空間
ウェルカムスペースはすべて手作り。
披露宴の装花とリンクするように、緑と苔を使った自然なイメージで統一しました。
「草木やフルーツを自分で飾ってみたり。ウェルカムスペースは当日しか設置できない場所なので、前日にプランナーさんに見てもらって『この通りでセッティングしてください』とお願いしたら、当日そのまま再現してくれました」(由季さん)
空間を飾った写真や「10月18日」と記されたボードも、ふたりの手によるもの。
大きな額縁と小さなフォトパネルは、韓国前撮りの特典。思い出と“自分たちらしさ”が自然と息づくスペースになりました。
ふたりの物語を映した手作りのペーパーアイテム
プロフィールブックは、ゼロからの完全手作り。
インスタをはじめ、さまざまなデザインを参考にしながら制作したそう。
「空白のページから始めて、写真や紹介ページ、韓国での前撮り写真、成長記録ページを入れたり。Web招待状のアンケートで集めた“友人たちからの印象”も掲載して、多角的に自分たちを知ってもらえるよう工夫しました」(由季さん)
ページ数も多く、制作のため、日々“夜なべ状態”。そのこだわりが詰まった仕上がりは、手に取るゲストも驚くほどのクオリティです。
もう一つのペーパーアイテムにもこだわりが。スクエア型で開く仕掛けのデザインで、一面は席次表、折ると裏面がメニュー表、さらに折りたたむとドリンクメニューが現れる、“1枚で3役”の仕様になっています。
「インスタで見つけた業者様からセミテンプレートを購入しました。表紙にはふたりの名前を独自のフォントでデザインしていただきました」(由季さん)
華やぎと意外性を忍ばせた、ふたりらしいおもてなし
マンダリンオリエンタル東京では、メニューのカスタムが可能。ふたりが選んだのは、フレンチと広東料理(中華)を掛け合わせたミックススタイルでした。
「自由度が高かったので、広東料理の要素を混ぜてみたんです。京鴨の北京ダックを添えた茸リゾットや、鮑のオイスターソース煮込みなど、フレンチに中華を合わせたメニューにしました。秋は結婚式が続くので、味に変化を感じてもらえたらいいなと思って。少しクセのある、新鮮な印象の料理になったんじゃないかなと思います」(由季さん)
自分らしさを映し出す、対照的な二着のドレス
ドレスは二着とも「PRONOVIAS(プロノビアス)」。一着目に選んだドレスは、凛として洗練された佇まいながら、前後で異なる表情を見せるデザインに惹かれたそう。
「とにかくいろんなドレスを探していて、インスタでも毎日のようにチェックしていました。試着も意外とたくさん行きましたが、頭の片隅にはずっとプロノビアスのこのドレスが残っていたんです。ようやく予約が取れて試着した瞬間、“やっぱりこれだ”と確信しました。即決でしたね」(由季さん)
ギャップで魅せる、シンプルでモダンなマーメイドドレス
お色直しで選んだのは、長袖のマーメイドライン。
「二着目も同じ日に決めました。長袖ドレスに憧れがあって、長袖×マーメイドが気になっていて。でも背が高くないので不安でしたが、13cmヒールを履いたら意外とバランスが取れたことが決め手になりました」(由季さん)
当日は、音楽との相性もぴったり。一着目との対照が際立ち、ゲストからも大好評だったそう。
「テクノっぽい曲で入場したんですが、マーメイドのラインがその雰囲気にハマっていて、イメージ通りでした。選んだドレスをベストな状態の自分で着たいと思って、本気でダイエットを頑張りました。当日みんなから『似合ってる!』と言われて、努力が報われましたね」(由季さん)
「スレンダーなラインなので、ボリュームを出し過ぎず、ナチュラルで動きのあるデザインにしたかったんです。シルエットを邪魔せず引き立ててくれるバランスにこだわりました」(由季さん)
ブーケは挙式ではホワイトカラー、披露宴では胡蝶蘭、アマランサス、そして深みのある赤紫の小花。
「小さな赤紫の花を入れたことで、全体がキュッと締まり、自分らしいスタイルになったと思います」(由季さん)
アクセサリーは「ダイヤモンドのティアラ」と「母から受け継いだピアス」
1着目のティアラは、本物のダイヤモンドがあしらわれたティアラをセレクト。そしてピアスは、母が「いつか結婚式で着けられるように」とオーダーメイドしてくれた特別なもの。
「母と私はセンスがすごく似ていて、そのピアスがドレスにぴったりだったんです。自分のためにオーダーしてくれていたピアスは、これからもずっと大切にしていきたいと思っています」(由季さん)
2着目のヘアアクセサリーは、オンラインで購入したSHEINのアイテム。耳元には、とあるポップアップイベントで見つけたピアスを合わせたそう。
「2着目は雰囲気がガラッと変わったので、アクセサリーもナチュラルに抜け感と遊び心のあるものを選びました。意外としっくりきて、ドレスとの相性も良かったんです」(由季さん)
ヘアメークは、大阪のドレスブランドの前撮り企画で出会ったブライダルヘアメイクアーティストの竹本実加さん(インスタはこちら)。
「前撮りでお世話になったことがあったので、安心して“おまかせ”できました。理想以上の仕上がりで、当日の気持ちもぐっと上がりました」(由季さん)
ゲストとの距離感を大切にした、心に残る演出
ふたりが最も大事にしていたのは 「ゲストと自然に交流できる距離感」。
「大人数の式だと、新郎新婦と喋れないことが多いじゃないですか。遠く感じられるのは嫌で、“肩肘張らずに話せる式”にしたかったんです」(由季さん)
披露宴会場の中央には、一本のランウェイを設置。「いつか歩いてみたい」という憧れから、思い切って取り入れた演出でした。
「席を回るのも素敵ですが、会場の真ん中を潔く通るのもいいなと思って、ランウェイを取り入れました。一段上がる階段があるんですけど、そこからすごく良く周りが見えるんです。歩きながらゲストひとりひとりの顔がしっかり見えて、すごく良かったです」(由季さん)
その効果は想像以上で、当日は高砂にゲストが途切れることなく訪れ、自然と会話が生まれるひとときに。ふたりにとっても、ゲストにとっても距離が縮まる、大成功の演出となりました。
最も象徴的だったのはウェディングケーキをやめ、鏡開きを採用したこと。
「甘いものがそんなに好きじゃなくて、お酒が好きなので鏡開きにしました。友人2名ずつ、計4人を指名して大盃で飲んでもらったのですが、めちゃくちゃ盛り上がって、最高でした」(由季さん)
また、夫婦の友人代表スピーチの代わりに“2回目の乾杯”を導入。新郎の親しい友人が乾杯の音頭を務め、場を再び盛り上げました。この友人が携わる日本酒を各テーブルに配置し、ゲスト同士の乾杯が自然と生まれる仕掛けに。
「夫側の友人スピーチをなくして、代わりに乾杯で盛り上げてもらいました。もう一度みんなでお酒を飲む流れを作って、会場の空気がまた一つになった感じがありましたね」(由季さん)
さらに、席札を枡にし、そのまま持ち帰れる仕様に。中座の時間も、ゲストは枡でお酒を楽しんだり、友達同士で乾杯したりと、会場に自然な交流が生まれました。
「セカンドチアーズがあったので、枡を席札にして使えるようにしました。持ち帰れるのも好評でしたね」(由季さん)
披露宴終盤、母への手紙の瞬間は、会場中が涙する感動の時間に。
「男性ゲストが酔って賑やかになっていて(笑)、『ちょっと静かにして!』と言ってから読み始めたくらいで。でもそのあと、みんな泣いてくれて、すごく印象に残る時間でした」(由季さん)
DIY × プロ制作。ふたりらしさを映し出した三部作ムービー
〈オープニングムービー&プロフィールムービー〉
マンダリンオリエンタル東京は、360度ビジョン演出が特徴。
「こちらに関しては持ち込みができないので、提携の業者さん一択でした。写真やプロフィールをたくさん送り、360度で映えるよう調整してもらいました」(由季さん)
写真を中心に構成された映像は、テンプレートではありながらも、スケール感のある演出に。
〈エンドロール〉
エンドロールは、憧れていたスリーワークスの小田さん(HPはこちら)という映像クリエイターに依頼。式当日の温度や息遣いが伝わるような、心に残る仕上がりになったそう。
「インスタで見ていて絶対お願いしたかった方で。指名して撮影してもらったんですが、本当に想像以上の映像になりました」(由季さん)
ゲストの暮らしや移動動線まで想像して選んだギフト
全ゲストに贈ったのは、マンダリンオリエンタル東京のオリジナル紅茶。友人ゲストには、二次会参加や会場移動を想定し、持ち運びしやすさを重視したカードギフトをセレクト。上司には、ペアで贈れる特別感のあるバカラのグラスを用意しました。
「ご夫婦にはペア、お一人の方には単品を。西暦が入っているものを髙島屋で選びました」(由季さん)
プチギフトは、2種類から選べる仕様に。1つ目はDEAN&DELUCAとコラボしたたべっ子どうぶつ。
「小さなお子さんがいるゲストも多かったので、家族で楽しめるものをと思って用意しました」(由季さん)
そしてもう一つは、ブルーボトルコーヒーの羊羹。
「年齢層の広いゲストが喜べるよう、上質で間違いのない手土産感を持つ羊羹をもう一つの選択肢にしました。」(由季さん)
“誰にとっても喜ばしい・持ち帰りやすい・家で話題になる”その3点が揃った、ゲスト目線のセレクトでした。
全部こだわって良かった——結婚式は“準備の先にあるご褒美”
準備期間は想像以上に大変で、忙しさのあまり諦めそうになる瞬間もあったという由季さん。それでも当日を迎えて感じたのは、深い実感でした。
「本当に全部こだわってよかったと、心から思いました。準備って本当に大変で……諦めてしまいそうになるんですよね。でも、ゲストが『あの演出よかった!』とフィードバックをくれて。その瞬間、全てが報われました」(由季さん)
そしてもうひとつの喜びは、ゲストとの関係性の温かさを目の当たりにしたこと。
「彼がめちゃくちゃ愛されてて(笑)。高砂から人がいなくならなくて、ずっと誰かと楽しそうに話してるんです。それを見ているのが本当に幸せでした」(由季さん)
これから式を挙げる人へ——藤井さんからのリアルなアドバイス
最後に、これから結婚式を迎える人へのメッセージをいただきました。
「当日は、想像していなかったことが本当にたくさん起きました。でも、3時間という余裕があったからこそできた演出もあります。例えば友人代表挨拶の代わりに行ったセカンドチアーズも、“当たり前だから”とそのままにするのではなくて、形式を変えてもいいんだと思えたことが大きかったです。これから結婚式を挙げる人にも、その視点が参考になれば嬉しいです」
◆やってよかったこと
「結婚式の準備や当日を通して、自分の人生に関わってきてくれた人たちを、あらためて深く考える機会になりました。ゲストの皆さんがいなければ今の私たちは存在しないと言ってもいいくらい、支えてもらってきたことに気づけたんです。当日は本当にあっという間ですが、意識しないと一瞬で終わってしまうので、ひとつひとつの瞬間を大切に“感じて・味わって・楽しんで”ください♡」
取材・編集/藤井由香里
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