「教えて恋愛部長さん!この恋、捨てるべき?」Vol.②【悩めるアラサー女子への処方箋】
「もう傷つきたくないし、踏み込みたくない」…大人になると発生する、20代の頃とはまた質の違う恋愛の悩みの数々。女性メディアで活躍する恋愛部長が、読者のリアルなお悩みにお答えします。さて、今回の恋のお悩みは?
「執着しない女」を演じた結果…
彼と出会ったのは1年ほど前。私は当時彼氏がいたのですが、この彼に初めて会った日から『この人と何かあるかも』と直感が。意気投合し、仕事後に彼から誘われたり私から誘ったり、たまにお互いの友人を交えて飲んだりしているうちに、不思議な魅力をもつ彼に猛烈に惹かれていきました。そんななか、ある日流れで男女の関係に。まだ彼氏と別れておらず、すぐに付き合える状況じゃなかったので「好き」と伝えることもなくたまに飲んでは彼の家に泊ったり、といった感じで大人の関係にゆるっとシフトしていました。
その後彼氏とは別れ、この彼にも別れたことを伝え、晴れてお付き合いが始まるかと思いきや、彼からはそんな気配は一切なし。それどころか、別れる前より顔を合わせる日が減るという事態に…。私は結局彼にとって、気の合う「あとくされなく夜を過ごせる女性」でしかなかったということ…?彼はよく言われている「交際前に体を許す女とは付き合えない」という価値観の男性ではなく、過去にも彼氏のいる女性と付き合っていたことがあるほど。なので先に体の関係を持ったとはいえ、私のことが好きだったらさっさと「付き合おう」と言ってるはずですよね?
思い返せば、泊まりに行くと女性が訪れていた痕跡が平然と残っていたこともありますが、怒りもせず(そもそも付き合ってもいないので当然ですが)、体の関係ぐらいで男に執着しない女を演じたのがまずかったのか…?出会って日が浅い頃はほんのりとでも私に好意があったはずなだけに、まだ巻き返せるのでは?と思ってしまう自分がいます。この状態から脱却することは可能なのでしょうか?(Iさん・29歳)
リスクをとらないところに本命はない
なるほど、好意を持っていた人と会っているうちに、いつの間にか不本意にもセフレになってしまった!今から本命彼女に昇格できる?!というお悩みですね。
ズバリ、結論から言うと、「このままの関係を続けたら、無理」です。
なぜか。人間は、いつだって楽なほう楽なほうへ流れる生き物だからです。彼だけではありません。相談者さんも、ここまでの中で、楽なほうへ流れてきちゃっています。彼氏と別れる前に、違う男性と関係を持っちゃったりとか、そのあともあいまいなまま関係を続けて、自分のほうからは何も動かなかったりとか。傷つくのが怖いから、相手のせいにしておきたいだけなんじゃないでしょうか。問いただして気まずくなるよりは…という思いがあるのでは?
もちろん、相談者さんだけの責任ではありません。相手の男性も、楽をしているのです。そもそも彼氏持ちの女の子に手を出して関係を曖昧にしておくのは、楽だから。人間関係の泥沼に巻き込まれたくないからです。相手の男に恨まれるのも嫌。あいまいなまま仲良くできて、セックスもできて、「付き合う」という責任も取らなくていい。そのほうが楽ですよね。人間は、楽な状態が許されるなら、どこまでだって楽をしたいものです。では恋愛の行方にはなぜ、「正式に付き合う」と、「曖昧な関係のままにする」の2方向があるのでしょうか。
その差はなんなんでしょうか?それは、「どんな犠牲を払っても、相手を自分のものにしておきたい!」と思えるか。そのモチベーションの差だと思います。相手を好きだなーと感じるのは、正式に付き合おうが、あいまい関係(セフレも含む)だろうが、一緒だと思う。ただ違うのは、その先。相手のすべてを自分が占有したい、と思えるかどうか。相手を自分以外の人の手に渡らないようにして、自分のものだと宣言したいかどうか、です。相手を占有するには、当然、重い義務も、責任も発生します。たとえば、週末相手をほったらかしにしたまま何週間も置いといたら、めっちゃキレられますし、当然ほかの異性と会ってたり、ましてや性的な関係を持ったりしたら、ぶちギレられます。誕生日やクリスマスなどの記念日には、優先的に予定を空けなければいけないし、プレゼントだって用意しないといけません。友達にも、「彼女・彼氏だよ」と紹介しなければなりません。そして数年付き合っていたら、当然のように、「結婚」の2文字も浮かび上がってきます。これらは付き合ってラブラブなカップルにとっては素敵なことばかりなんだけど、よくよく考えれば義務だし、責任だし、重荷でもあります。そういう、義務や責任の重さを、誰だって本来は背負いたくありません。
そもそも、女性は関係の安定の上に幸福を感じやすいですが、男性は違います。メールやLINEで朝から晩まで連絡を取り合うような、女性は大好きな、「常時つながっている感じ」が、男性からすると「常時つながれてる感じ」に思えて、憂鬱になってしまう。本当は自由でいたい、フラフラしていたい。たくさんの女の子に好きになってもらって「どの子がいいかな?」って品定めしたいし許されるなら一人でも多くの子とセックスしたい。そんな自由で楽していたい男が、なぜ、重い義務や責任を負って「この子と付き合います」「もうほかの女の子とはセックスはおろか、デートもしません。好きになってほしいとも思いません!」って宣言しちゃうかと言ったら、それすべて、その子を他の男に取られたくないから。それだけです。男性にとっての恋愛は、そう考えると非常にシンプルなんですね。
さて、話を戻しましょう。体の関係を持ってしまったものの、正式に付き合うわけでもなく、曖昧な状態を続けている関係。これは双方にとって楽な関係ですが、特に男性にとっては、とっても楽で美味しい関係です。だって、「付き合う」ことの重荷は背負わずに楽しいとこだけ手に入れられるんですから。でもその代わり、相手のことは独占できない。誰に持ってかれても文句は言えない、という状態です。いま彼が、「セフレの状態でもいいや」と思っているとすると、それはすなわち「この人は誰かに持っていかれてもいい」と思っているということです。独占したいと思ってないってこと。その心配がないってことかもしれないし、そこまで必要だと思ってないってことかもしれない。とにかく、そういう男を「付き合う」気にさせて、周囲に宣言させるには、相当な状況の変化がないと無理です。自然に任せていたら、無理。楽なほうにしか行きません。そもそも最初の段階で、セックスした女の子に付き合っている彼氏がいたとして、本気で自分のものにしたいなら、「彼氏と別れてほしい」って言うはずです。そうではなく、自分が間男になってもいいやって思ったのなら、それはそこまでしてほかの男から奪い取るだけのモチベーションがなかっただけ。
そのモチベーションが足りないのは、彼だけではなく、相談者さんも同じです。曖昧にしたほうが楽だから、ハッキリさせるとダメになるのが怖いから、ハッキリさせるべきポイントでそのリスクを背負うことを回避してきているのです。じつは相談者さんは、これまでにまじめに付き合うためのチャンスをいくつも逃してきています。
少しくらい重い女じゃなきゃダメ!
こうすれば状況が変わったかも、という分岐点。まず最初は、体の関係を持ちそうになった時。理想は、「彼氏がいるからごめん。でもあなたとはそういうことしたいって思う」とはっきり伝えることでした。でもそれが無理で、流された場合でも。スックするその時に、ちゃんと相手に「彼氏がいるのに、そういうことしちゃダメってわかってるけど、あなただけは特別みたい」って伝えるべきでした。もしその時に言えなくて、事後になったとしても、とにかく「軽い気持ちじゃない。本気だから。あなただけは特別に思ってる。」とハッキリ言う。ここで、少し重いくらいがちょうどいい。なぜなら、もしも男が遊びでHしたんだったら、その重さに耐えられなくなって逃げるから。どうせ付き合う気がない男なんだったら、その時点で終わりにしたほうがいいんです。
それから、彼の部屋にほかの女の痕跡があった時。それを見つけた瞬間に、まずは怒って家に帰るくらいしなきゃダメ!本気で怒ってるわけでなくても、パフォーマンスとして、怒らなきゃ!自分以外にそういう関係の女性を作らないでほしい、と表明することで、「この子は軽く扱ったら、いなくなってしまう」と感じさせます。それで「めんどくさいな」と思うなら、しょせんそれまでの男です。男は、自分が欲しいと思ったもの、手に入れたものにはいくらでも金を払うし、努力もするんです。義務も責任も、めんどくさいけど、負うものです。逆に言うと、本命彼女になりたいなら、男に、そういう重い決断をさせないとダメ。「重く感じられて嫌われるんじゃ・・」とひるんではいけないんです。重いと思うか、大切と思うか、それが本命彼女への分かれ道。そこを越えてくる男しか、逆に言うと、彼氏にはなってくれないんだから。重く思われるリスクを背負わない限りは、「付き合う」という収穫はないのです。
好きだという気持ちに流されて、彼氏持ちなのに体の関係を持ってしてしまった。そこまでは仕方ない。でも、そこから先はいくらでもリカバリーできたのに、そのチャンスからことごとく逃げて、楽なほうに流され続けてしまった。だから、今もまだセフレなのです。そしてこの先、よほどのことがない限りは、この関係が変わることはないでしょう。なぜなら彼はすでに相談者さんに対して、大きな義務も責任もなく、楽に付き合えてしまう美味しい状態なのだから。わざわざそこから重い腰を上げるには、よほどの別のモチベーションが必要です。
なので、彼のことはスッパリあきらめて、次に行きましょう。もしかしていつかは‥なんてズルズル会い続けても、何もいいことはありません。いつか彼に本当に大事にしたい女が現れた時に、スッパリ切られるのがオチです。
でも、どうしても諦めきれない、というのであれば、彼からの見え方が180度変わるような、何か大きな転換が必要です。つまり、「出会い直す」ってこと。そのためには、いったん彼との関係を清算ししばらくの間は会わない、関係も持たない、連絡もしないこと。そしてその間に、彼がビックリするくらいいい女になっておく。何なら2、3人の男から求愛されるくらいモテている自分になる。そのうえで、また再会し、彼が言い寄ってきたら、その時こそしっかり、作戦を立てましょう。今度は、楽に流されないように。男に、「独占したい女だ」と思ってもらうよう、要所要所をキチッと押さえる。間違っても二度と簡単に体の関係を持たないように。いったん会うのをやめた後は、「次にセックスするのは、正式に付き合った後」と心に決めて。そこに、最後のチャンスがあると思いますよ。
恋愛部長
自らの恋愛の失敗をもとに、独自の恋愛論を編み出し、恋愛ブログ「恋はいばら道」をスタート。モテない20代、さまよう30代を経て、40歳で結婚。様々な人の恋愛相談に乗っている。著書に『28歳からの必勝ルール~恋愛部長の恋のムチ』『にっちもさっちもいかない恋がうまくいく本』(大和出版)。
Webサイト:renaibucho.com
NOTE(恋愛相談):note.mu/
イラスト/東 美結