辛酸なめ子の「おうちで楽しむ」イケメン2020vol.2「愛県心が高まるイケメン知事」

いち早く緊急事態宣言を発令し、新型コロナウイルス対策の初動の早さが評価されていた鈴木知事。少年のような佇まいとまっすぐな瞳が印象的。「皆さんご自身と大切な人の命と健康を守るため、お願いしたいことがあります」と、外出を控えるようにお願いするセリフに心をつかまれた人が多数。「総理もつとまる見識がある」「実際近くで見るとキラキラしている」と周りのマスコミ人も絶賛していました。

今はノーブルなほほえみを浮かべている鈴木知事ですが、実は苦労人で母子家庭で育ち。経済的な事情から大学進学をいったんは諦めます。高卒で東京都の職員(東京都衛生局)になり、働きながら法政大学の二部に通って卒業。財政難の夕張市を救おうと市長選に出たことで政治の道へ。その後、38歳という最年少で知事になられました。ちなみに市長選挙に出る前から交際していた糟糠の美人妻がいらっしゃいます。どうしても近くで応援したい方は、後援会という名のファンクラブに入るのが良さそうです。「鈴木直道と共に『活力あふれる北海道の未来を実現する会』」の存在を確認(会費は不明)。「新北海道スタイル」では2m以上は近付けず、当分握手もできなさそうですが……。

先日、週刊誌の「週刊女性」(2020年6月2日号)の、緊急1800人アンケート「好きな知事」「嫌いな知事」という企画に関わらせていただいたのですが、そこで「好きな知事」ダントツ1位(897票)だったのが吉村知事です。北海道のイケメン鈴木知事の新型コロナ対策が一進一退している間に、「大阪スタイル」の革新的な手腕で頭角を現してきた吉村知事。連日寝ていないのか疲れ気味の知事の様子に、ツイッターでは「#吉村寝ろ」と心配するハッシュタグが生まれて盛り上がっていました。(逆に不人気の知事は「#◯◯寝てろ」と……切ないです) 男のフェロモンは睡眠不足から生まれるのでしょうか。連日の会見で憔悴し痩せてきた吉村知事にはどこか色気が漂い、注目度が高まるにつれ、男前度も高まってきたようです。会見前にマスクをバッと取る姿がかっこよくて目に焼き付いています。イケメンにしか許されない仕草かもしれません。
元大阪府知事の橋下徹氏もトーク番組で後輩の彼のことを「吉村さんはあんな男前だし、奥さんもむちゃくちゃきれいな人」「美男美女カップルですごいですよ」と評価していました。そうですよね、鈴木知事もですがイケメン知事はやはり妻帯者……。ファンとしてはテレビごしに応援の念を送るくらいしかできません。
ただ、吉村知事に関してはグッズも出ています。大阪の土産物店「いちびり庵」が、吉村知事の写真をモチーフにしたキーホルダーやマグカップ、Tシャツなどを販売。マスクをしている顔、マスクを取った顔、両方あってファンのツボをおさえています。

日替わりの個性的な布マスク姿がおしゃれだと話題になった玉城知事。紫色のスピリチュアルなマスクからさわやかな青いマスク、ジョジョ柄まで、奥様の手作りだというエピソードに和みます。よく見たら顔立ちもイケメンだということでも注目が集まりました(日米のハーフ)。新型コロナ対策としては、「沖縄に来ないでください」という強いメッセージが県民の信頼を集めました。 米軍基地問題についても真摯に取り組んでいます。
沖縄では有名なタレントでDJ活動や音楽活動をしていた玉城知事。2019年にはついにフジロックに出演し、米軍基地についてトークしたあと、アコースティックギターを弾きながら英語の歌を披露していました。ノリノリでシャウトまじりの歌声を発する玉城知事はとても60歳前後には見えません。沖縄の長寿食のPRにもなっていそうです。

一見目立たないおじさま風ルックスながら、よく見たら草食男子の最終形態のような理知的なたたずまいで、育ちの良さ感も漂う平井知事。隠れた人気で県民の支持率は高いようです(前出の人気ランキングでは5位)。新型コロナ対策では、わかりやすい会見や、感染者がほとんどいないうちから感染症指定病床を増やすなどのリスクマネジメントの手腕が評価されています。「鳥取県知事」で検索すると関連ワードの上位に「有能」と出てくるくらいのお方。知事の経歴を調べて驚きましたが、開成中高→東京大学法学部→自治省（現総務省）という、超絶エリートでした。鳥取県庁へ出向し鳥取県総務部長になってから史上最年少(2001年当時)で鳥取県副知事に就任。この経歴で威圧感がないことに人徳を感じます。
こんなにエリートでありながら、平井知事の特技は「ダジャレ」です。「鳥取にはスタバはないけど、日本一のスナバがある」「カニはいるけどカネはない」「鳥取にウェルカニ」「鳥取砂丘コナン空港に来なんかい？」といったダジャレで観光客を誘致しています。ダジャレは「相手の心にかける架け橋」だそうです。とっさに浮かぶ時もありますが、一時間前から考える時もあるそうで、そのまじめさが素敵です。コロナが収束したらぜひ、こんな知事のいる県に遊びにいきたいです。

辛酸なめ子
イケメンや海外セレブから政治ネタ、スピリチュアル系まで、幅広いジャンルについてのユニークな批評とイラストが支持を集め、著書も多数。近著は『スピリチュアル系のトリセツ』（平凡社）、『辛酸なめ子の世界恋愛文学全集』（祥伝社文庫）など。