2020年5月25日アメリカ・ミネソタ州・ミネアポリス近郊で、白人の警察官によって無抵抗の黒人男性の命が奪われた。
ニュースで流れたショッキングな映像や、Instagramで拡散された『#blacklivesmatter』のハッシュタグ、『#blackouttuesday』のハッシュタグと共に投稿された黒い画像をきっかけに、事件を知った方も多いのでは?
筆者自身、アメリカ留学時代に人種差別についての話や体験談を聞く機会は何度かありましたが、今改めて言えることは、「自分がどれだけ無知であったか実感した」ということ。日本で生活していると想像しにくい「人種差別問題」ですが、これを機に興味を持った方も多いのではないでしょうか。この記事では、『Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)』の裏側にあるものを“知る”ことに焦点を当てていきます。
本を読む、ネットで記事を探すなど…この問題に関して、積極的に調べようと思えば、星の数ほどの情報がありますが、今回は黒人差別、人種差別について知り、考えることができる、3つの映像作品をご紹介していきます。YouTubeで無料で視聴できる作品もありますので、ぜひこの機会にチェックしてみてくださいね。
『Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)』とは何なのか?
黒人への差別や不当な暴力などの撤廃を訴える、国際的社会運動のこと。2013年に起こった黒人少年が白人警察官に射殺された事件が発端とされています。
Black Lives Matterを考える作品①『ボクらを見る目』
1989年4月19日にニューヨークで起こった、冤罪事件『セントラルパーク・ジョガー事件』に基づいて作られた、全4話のドラマ。セントラルパークをジョギングしていた白人女性が何者かに襲撃され、瀕死の状態で発見される。たまたま、その日の夜セントラルパークに居合わせた、犯罪歴もない黒人とヒスパニック系の少年5人が不当逮捕され、自白を強要させられた結果、収監される。当時の状況だけでなく、出所後の苦難や、差別によって人生を奪われた5人と、その家族の人生を描いた作品です。
ドラマとはいえ4話完結なので映画のような感覚で視聴でき、予備知識が少なくても、すんなりと話についていけます。合計5時間ほどと少し長めですが、『人種差別』について興味を持つきっかけになる作品の1つです。
視聴はこちらから!
Black Lives Matterを考える作品②『13th -憲法修正第13条-』
次の作品は、ドラマではなく1時間40分のドキュメンタリー映画。人種差別、法と政治、大量投獄の関係性を解明する中で、奴隷制度から始まったアフリカ系アメリカ人の歴史、奴隷解放宣言後も続く差別の連鎖や、根深く残る不平等について丁寧に説明されている作品です。
「アメリカの人口は世界の人口の5%ほどなのにもかかわらず、世界全体の受刑者の25%を占めている」という、アメリカ初の黒人大統領バラク・オバマ氏の演説音声から作品はスタート。「アメリカの収監率は高すぎるのではないか?」という問題提起から始まったドキュメンタリーは、歴史的背景を含め、黒人差別が生み出す負の連鎖について、過去の映像や、グラフ・図などを用いて分かりやすく説明しています。
学生時代の世界史の授業では、黒人差別は過去に起こったことのように習いましたが、今もなお根深く残っている現代社会の問題であると、改めて気づかされる作品です。
Black Lives Matterを考える作品③『世界の“今”をダイジェスト』
シーズン1『人種による貧富の差』
20分ほどのエピソードで構成され、1シーズンとなっているドキュメンタリー作品『世界の“今”をダイジェスト』。伝染病や仮想通貨という時事ネタから、美容、エンタメなど幅広いジャンルの問題を短時間で分かりやすくまとめているシリーズ。「ドキュメンタリーはなかなか頭に入ってこない」「短編作品がよい」という方は必見です。
シーズン1の『人種による貧富の差』というエピソードが短時間でも分かりやすく、黒人差別について説明しているのでオススメ作品としてピックアップしました。YouTube感覚で見られますが、しっかりと作り込まれていて、データや情報量も多くグラフなどが出てくるので理解しやすい!『Black Lives Matter』と対比して使われる、『All Lives Matter』のような活動への違和感についても簡単にですが触れられています。短時間で見られる上、難しい問題を分かりやすく解説しているので、忙しい方はこちらの作品からチェックするのもオススメです。
視聴はこちらから!
今からでも遅くない。Black Lives Matterについて知る絶好の機会!
Black Lives Matterの裏側にある、歴史的背景、過去の出来事や潜在的にある問題を知ることで、アメリカの抱える問題をより深く理解するきっかけになればと思い、今回はオススメの3作品をご紹介しました。ぜひ、この機会にチェックしてみてくださいね。
文/山水 由里絵(やまみず ゆりえ)
大学卒業後は広告代理店に勤務し、結婚を機に海外へ引っ越し。現在は旅行・美容関連の記事をメインに、CLASSY.読者と同世代のフリーランスライターとして活動中。2019年9月よりCLASSY.ONLINEで随筆をスタート。
Instagram:@yuuurie_1211
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