新型コロナウイルスは、私たちの生活に多大な影響を及ぼしています。中でも「リモートワークが推奨されているものの、完全リモートワークにできない人も多くいる」のが現実。こんなご時世でも必死に通勤しなければならないOLさんいっぱいいるのに…しかもいまだに服装に縛りがある会社すらごまんとある。今この状況でも通勤しなければならないOLがいることや、その気持ちを報道してるメディアがなさすぎるせいだ!と思い、この連載を始めたいと思いました。
今回はプラント建設会社でこの4月から新入社員として働く、22歳のしろこさん(仮名)の声です。
■予定通りの新入社員研修。今もホテルに缶詰の毎日
「各企業の入社式や新入社員研修の延期が報道されましたが、私が入社した会社は予定通りのスケジュールでした。3/31〜5月中旬まで全新入社員がホテルに滞在し、合宿のような毎日を送っています。週末や祝日は帰宅できるので、金曜や祝前日の夜から帰り、休みが終わる日の夜にホテルに戻る生活です。
社会人になったばかりの緊張、慣れないホテル生活、コロナへの不安。そんな中で大学時代の友達の多くは入社式と研修が延期になったり、リモート研修に切り替わったりしているのを聞いていたので、私の会社は真っ当なのかどうか……と入社初日から会社の体質に疑問を抱いてしまいました。5月中旬からの地方配属も早々に決定。コロナの感染者数が多い地域ですがこれも予定通りに進んでいて、今引越しの準備中です。先輩たちが『常に人が足りていない』と言っているので、新入社員を急いで戦力にしたいのかもしれません。
ホテルは同期と2人部屋。最初の1週間はかなり苦痛でした。まずコロナの不安がある中で、はじめて会う人と密室。それに加え、相手がどういう気遣いをする人で、どこが抜けてるとかもまったく分からない。部屋の鍵は2人で1つしか与えられないのですが、彼女に鍵を預けて外から戻ったら、部屋に彼女がいない、フロントに鍵を預けてもない、連絡もとれないなんてことが何度かあったり。身なりに気をつかわないところとか、お箸の持ち方や食べ方が気になるとかもあって……(笑)。最初の頃は気疲れが多かったです。今はさすがに慣れて、お互いちょうどいい距離を保っているしストレスも減りましたけどね。
■発熱を訴える同期。研修は続行
毎朝検温と体調報告が義務付けられています。研修から2週間が経ったある日、別の部屋の同期が37.5°の熱を出した上に嘔吐。すぐ病院に行くよう指示されたけど、研修担当の先輩社員は『どうしよう』とオロオロ。有事の際にどうするか決めてなかったのか……とまた不安に。発熱した彼女は翌日には熱が下がったようで2日後には研修に戻ってきました。戻ってくるんかい!と正直思いましたけど、今なにごともなく研修生活は進んでいるのでとりあえずは安心。
地方の研修所にバスで向かうなんて日もありました。バス移動の長時間、完全な3密状態ですよ。このときは正直『この状況でも3密で研修をやっているヤバい会社として報道されてくれ』と思ってました。
こんな日々だから、みんな多人数の空間にいることに慣れてきちゃってるし、開き直ったような部分もあり、夜な夜な誰かの部屋に集まってゲームしたりしてます。
■スーツの毎日。メークで気分を変えて
今は研修期間なので毎日きちんとしたスーツスタイルです。でも厳しい会社ではないので、メークやネイルは自由。毎朝『今日は何色のアイシャドウにしようかな』と考えられるのは結構楽しいです。研修の合間に自由な時間も多いので、配属先に行ったらどんな服を着ようか、ネイルはどうしようかと、同期たちと話をするのは良い気分転換。営業担当になることが決まっていてジャケット必須なので、社会人らしいコーディネートを楽しみたい。本当はこのGW中に通勤服を買い揃えたかったんですけどね、お店がやってなくて困りました。
■近くにいるのに遠距離恋愛。次に彼と会う予定はないまま
付き合って半年になる同い年の彼とはもう1カ月半以上会えていません。もしどちらかが保菌していてコロナに感染したら、どちらの会社にも迷惑をかけることになるし、新入社員の立場でそれは気まずい。
私は5月中旬から地方勤務が決まっているので、このまま会えずに引っ越しです。同じ東京にいる今の時点ですでに遠距離恋愛みたい。コロナが収束しない限りは会えそうもないし……寂しいです。でも私の彼、めちゃくちゃ冷めていて。『地方転勤が決まった、会えなくて寂しい、寂しくない?』とLINEをしたら、来た返事は「会いたいと思ったとこで無駄だしね」でした。
言われた直後はさすがに「なんなのこいつ」とカチンときたし、もう先は長くないな、別れるかもなと思っていました。しかし、コロナでここまで会えない時間が長くなってきた今は、自然と「早く会いたいね」と言い合える関係に。その日がいつかは分かりませんが…。
取材をしてみて…ライターの感想
リモート新卒研修や入社日延期ばかりが注目されていますが、通常通りの生活を余儀なくされ、通勤形態に選択肢すら与えられない人がいることは見逃せない事実。リモートワーク導入企業は26%という報道もある中、彼女のような残り75%の事実が注目されないことへのもどかしさを、彼女自身も少なからず感じているように思えました。引き続き、会社に行かざるを得ない働く女性を取材していきます。
取材・文/野田春香 構成/CLASSY.ONLINE編集室