「美人なのに結婚できない?」Over40こじらせ男子の婚活奮闘記|『サバイバル・ウェディング』著者が婚活【第3回】
連続ドラマの原作となった小説『サバイバル・ウエディング』の著者が、婚活してみたら…。
Over40こじらせ男子の奮闘記をお届けします。
婚活アンバサダーに 相談してきました
今回は結婚相談所に行って、プロからアドバイスをいただくことにしました。お世話になったのは、成婚率ナンバー1を誇るパートナーエージェントさんです。約束の時間になり、オフィスに着くと、美人でいかにも仕事ができそうな女性が迎えてくれました。お名前は大道さん。名刺には「婚活アンバサダー」と書いてあります。自己紹介のあと、さっそくコンサルティングが始まりました。
「今まで何か婚活はされましたか?」
「バチェラー4に応募しました」
「…。他には?」
「とくにないですかね」
「…。では、女性に求める条件はありますか?」
「そうですね。一番は『別居OK』ですね。
それと、会うのは週一回程度で…」
ここから僕の結婚相手に求める数多くの条件と、僕の恋愛観を話します。
「で、僕は結婚できるんでしょうか!?」
「難しいですね(即答)」
「…」
「大橋さんのような人は、この仕事をしていて100人に1人か2人いるタイプで『変わってるグループ』に入ります」
「変わってるグループ…」
「はいそうです。では一つ一つ、大橋さんの結婚観について見ていきましょう」
・結婚するメリットがわかりません→「これまでの人生で生きてきて、結婚するメリットを女性から教えてもらったことがないのでしょう」
・1人でいるほうが自由で楽→「1人でいるよりも2人でいる楽しみを経験したことがないのでしょう。〝自由〞にクセがある可能性大です」
・女性とスタバに行ったときに、『ネイルがはがれちゃって…』とか話をされると、この時間を仕事にあてたいと思ってしまう→「仕事の話を1から8くらいまで聞いてくれる女性とスタバに行けたことがないだけです」
・タピオカミルクティーの行列に並んでいると、『午後の紅茶』でいいだろうと思ってしまう→「並ばないタピオカミルクティーがあることを知らないだけです。『タピオカ=並ぶ』と自分軸で判断していますね」
・自分の部屋にピンクのものを置かれたくない→「大橋さんの目にうつらない場所にしまえばいいだけです」
・2週間に1回、実家から母親が来て、42歳の息子の部屋を掃除してくれている(事実)→「大半の女性にドン引きされますね。なぜお母様が掃除をしてくれているかの理由を明確にしてください。説明の仕方を間違えると、一生結婚できない可能性もあります」
僕の稚拙な結婚観に辛辣な意見が続きます。言っていることはもっともなので辛くなってきました。「現実を直視する」という、婚活において最初の壁がやってきました。ですが、大道さんはただのコンサルタントではありません。婚活アンバサダーです。落ち込む僕に「今のままでは」と付け加えます。
「つまり、変わる必要があるということです」
「変わるですか…(涙目)」
「そうです。大橋さん、頑張りましょう。変えればすぐですから」
「わかりました。俺変わります。とりあえずタピオカの列に並んでみようと思います」
「…」
さて、冗談ぽく書きましたが、実際は、僕のようなダメ人間でも、とても親身になって相談にのってくださいました。ちなみに「どんな女性が婚活で人気があるのか」についても聞いてきました。これは「見た目」「愛嬌」に尽きるそうです。「見た目」については、本誌のファッションページに譲りますが、「愛嬌」というのは一言で言うなら「笑う」ということらしいです。というのも、美人なのになかなか結婚が決まらない人は笑わない人が多いらしいのです。たしかに、女性と話していて、相手が真顔だと、コミュ障出身で社会人デビューの僕みたいな男は「俺の話、面白くないんじゃないか…」と不安になります。よく微笑んでくれて、楽しい空気を作っていただけると、それだけで安心して好意を抱いてしまう気持ちはわかります。
さて、100人に1人の変わっている属性の僕、はたして変わることができるのか。次回、こうご期待。
この記事を書いたのは「大橋弘祐」
『文庫版 サバイバル・ウエディング』文響社¥680
大橋弘祐(おおはしこうすけ)
作家、編集者。 立教大学理学部卒業後、大手通信会社を経て現職に転身。初小説『サバイバル・ウェディング』が連続ドラマ化。
『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』はシリーズ40万部を超えるベストセラーに。
撮影/小田駿一