もし、普段の会話で当たり前のように使っている言葉が漢字表記になったら、あなたはどのくらい読めるでしょうか? 常日頃から見聞きするような言葉であっても、漢字になると、意外と読めないことが多いものです。
そこで今回は、身近なはずなのに“漢字になると読めない言葉”を5つご紹介します。ぜひ全問正解を目指してみてくださいね。
1.「蟠り」
「どこか、心の中につっかえているものがある気がして、なかなか仕事に集中できない」そんなふうに、「心の中でつっかえたようになっている感情」や「心が打ち解けないこと」を「蟠り」と言います。
できるだけ、早いうちに解消しておきたい「蟠り」。あなたもきっと、一度は聞いたことがあるはずです。
そんな「蟠り」の正しい読み方は……
「わだかまり」です。
「わだかまり」の語源については、「蟠る(わだかまる)」から来ているとされています。
「蟠る」とは本来「蛇がグルグルととぐろを巻く様子」を表した言葉で、そこから「心が渦を巻いて曲がりくねった状態」「なかなか真っすぐにはいかず、複雑でややこしいこと」を表す意味としても用いられるようになったそうですよ。
2.「虚仮」
「思慮が浅く、愚かなこと」を「虚仮」と言います。よく「虚仮にする」といったように用いられる言葉ですが、普段はひらがな、もしくはカタカナ表記されることが多く、漢字で書かれても、いまいちイメージがつきにくいかもしれません。
ちなみに「虚仮」にはもう一つ、「本心と上辺が一致しないこと」という意味もあります。
そんな「虚仮」の正しい読み方は……
「こけ」です。「他人をばかにする」という意味の「こけにする」は、漢字表記だと「虚仮にする」と書きます。「きょかり」「こかり」などと読んでしまわないように注意しましょう。
3.「抓る」
「抓る」とは、「爪や指先で皮膚を強くつまんでねじる」ことを表す言葉です。
「抓る」を使うシーンと言えば、頬を思いきり指で引っ張って、これは現実なのか、はたまた夢なのか……それをはっきりさせる時。この時の動作のことを「頬を抓る」と言います。
「つめる」「よじる(捩る)」「ひねる(捻る)」などと読み間違えてしまいがちな「抓る」ですが、正しくは……
「つねる」と読みますよ。
「抓る」は、読み方だけでなく漢字で書く時にも気を付けたい言葉です。よく「抓」の右側を「瓜」と間違えるケースがあるので、気を付けましょう。
4.「塗れる」
思わず「ぬれる」と読んでしまいがちな「塗れる」。確かに「ぬれる」とも読めるのですが、「血、汗、泥、埃などが一面に付着して汚れる」という意味の場合の読み方は「ぬれる」ではありません。
たとえば「泥塗れ(泥だらけになること)」になるの「塗れ」も「塗れる」と同じ読み方をしますよ。
そんな「塗れる」の正しい読み方は……
「まみれる」です。
ちなみに「塗れる」は、「まみれる」と同じ意味で「まびれる」「まぶれる」とも読みますよ。
5.「響動めく」
「響く」「動く」という漢字が入っている「響動めく」。ものすごく大きな音が鳴り響くさまを表していそうな漢字ですね。
「響動めく」とは、漢字のとおり「鳴り響くこと」、また「鳴り響くように人々が大声を上げて騒ぐこと」を意味する言葉。たとえば「突然のサプライズで、会場が響動めく」などといったように用いられます。
あなた自身も、一度はどこかで人々が「響動めく瞬間」を目の当たりにしたことがあるかもしれません。
そんな「響動めく」の正しい読み方は……
「どよめく」です。
ちなみに「響めく」と書いて「どよめく」と読むこともあります。しかし、「響く」と書く場合は「ひびく」であり、「どよめく」とは読まないので注意が必要です。
今回ご紹介した言葉は、どれもきっと一度は耳にしたことがあるはず。それでも、漢字表記になると、まるで別の言葉になったかのように思えてくるので不思議です。
普段はひらがな表記されることが多いですが、漢字表記も覚えておいて損はありません。もし今回読めなかった漢字があれば、次こそは読めるよう、この機会に覚えておくと良いでしょう。
参考文献
田中春泥『読めるようで、なぜか読めない漢字』(PHP研究所)
文/大内千明 画像/Shutterstock(fizkes、Giulio_Fornasar、Cookie Studio、Christin Lola、Melinda Nagy)