普段からよく耳にしたり、使っている言葉でも、漢字表記になると意外と読めないこともありますよね。せめて自分がよく使う言葉の漢字は、読めるようになっておきたいもの。
そこで今回は、“普段使っているのに漢字にすると読めない言葉”をご紹介。いくつ読めるか、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
1.「擽る」
つい「たぐる」「あやつる」などと読み間違えがちな「擽る」。一見、複雑そうな漢字に見えますが、一度は耳にしたことのある言葉のはず。
「擽る」には「皮膚に触れてむずむずとさせる」、また「母性本能を擽る」といったように「人の心を刺激して、良い気持ちにさせる」といった意味があります。
他人を「擽る」のは楽しくても、自分が「擽られる」のは苦手という人も多いのではないでしょうか。
そんな「擽る」の正しい読み方は……
「くすぐる」です。
「擽る」は、読み方もそうですが、漢字そのものや「くすぐる」の送り仮名も間違えやすい傾向があります。読み方だけでなく「擽」の書き方も正しく覚えておくと、周囲に知的な印象を与えられるでしょう。
2.「覿面」
「覿面」とは「効果がすぐに表れるさま」、また「面と向かうこと」を意味する言葉。よく「効果覿面」「この薬の効果は覿面だ」といった使い方をします。
「覿面」の「覿」に「見」が入っていることから「けんめん」などと読んでしまう人もいますがそれは誤り。
「覿面」の正しい読み方は……
「てきめん」です。
身近な言葉ではありますが、普段は平仮名で表記されることが多く、漢字表記はなかなか見慣れないかもしれませんね。
3.「謙る」
「謙る」という漢字を見ただけでは、なかなか正しい読み方をイメージするのは難しいかもしれません。「謙る」とは「自分を低く扱う」、「謙遜する」ことを意味する言葉です。
ヒントは「謙譲語」の「謙」という漢字を使っているところ。「謙遜する」の別の言い方を考えると分かりやすいかもしれません。
「謙る」の正しい読み方は……
「へりくだる」です。
「けんる」や「かまる」、また「譲」と「謙」の漢字が似ていることから「ゆずる」などと読み間違えてしまわないよう注意したい漢字です。
4.「尤も」
「その意見は尤もだ」のように、「理にかなっているさま」のことを「尤も」と言います。「尤」が常用外漢字のため、普段用いられる時は「尤も」ではなくひらがな表記のことが多いです。しかし、言葉自体はきっとあなたも、聞いたことや使ったことがあるはず。
そんな「尤も」の正しい読み方は……
「もっとも」です。
ちなみに、同じ読み方で「最も」という漢字もありますが、「最も」は「他に比べて一番すぐれている」という意味で「尤も」とは意味が異なります。
「尤も」と「最も」の意味を混同して使わないよう、注意しましょう。
5.「竦む」
「竦む」とは、「緊張のあまり動けなくなる」ことや「恐怖で体がこわばる」こと。「高いところや断崖絶壁などは、思わず足が竦んでしまいます」というような使い方をします。
そのほかの使われ方は「立ち竦む」「身が竦む」など。もうお分かりでしょうか?
「竦む」の正しい読み方は……
「すくむ」です。
「すくむ」という言葉自体は、たびたび見聞きすることがあるでしょう。しかし、漢字表記に見慣れていないこともあり、実は読み間違いの多いあなどれない漢字です。
いかがでしたか? 漢字からは答えが想像できず、正解を知って初めて「あの言葉って漢字で書くとこうなるんだ!」という驚きもあったのではないでしょうか。身近な言葉であればあるほど、その驚きも大きいはず。
今回ご紹介した漢字以外にも、普段の生活で何気なく聞いたり話したりしている言葉には、意外な漢字表記があるものです。一度、生活の中で使っている言葉を振り返って「あの言葉にも、漢字ってあるのかな」と調べてみるのも楽しいかもしれません。
参考文献
一校舎漢字研究会〔編〕『きっと誰かに教えたくなる読めるようで読めない漢字2500』永岡書店
文/大内千明 画像/Shutterstock(fizkes、Stockbakery、Cookie Studio、pathdoc)