【選択的夫婦別姓制度】長谷川ミラさんと座談会!改めて考えたい「当事者だから思うこと」

生き方も働き方もそして結婚も、従来の価値観から飛び出して、より自分らしく自由な形を模索している私たち。今回は、同世代のオピニオンリーダー・長谷川ミラさんを迎え、「選択的夫婦別姓制度」について当事者として思うことを語ってもらいました。

少し前までは「制度が変わるまで結婚しなくてもいい」と考えていました。
長谷川ミラさん

編集部(以下編):ミラさんは以前CLASSY.でもご自身の考えの変化についてお話してくれましたね。

ミラさん(以下ミ):はい。今の法律婚は「どちらかの姓に統一する」という制度であって「妻が夫の姓になる」というものではないですが、実際姓を変えるのは妻というケースが多く、通常は夫側の姓になるという慣例への違和感は今も抱いています。

編:結婚や働き方など、旧来の価値観から脱却し自由な考えを持ち始めているCLASSY.世代も、結婚においては妻が姓を変えるという圧力を感じているようです。

ミ:その圧力への反抗としても「私は姓を変えないから、結婚するならあなたが姓を変えてね」なんて思っていましたが、ある時、私のこの気持ちは「姓を変える性」を男女逆にしただけであって、今まで多くの女性が強いられてきたことを相手の男性に突き付けているだけだと気が付きました。

中村さん(以下中):私も結婚の際、姓を変えることに抵抗がありました。そこからミラさんの気持ちが変わった理由が気になります。

ミ:結婚を前提にお付き合いをしている彼との対話で、「この人にとっての姓は私と同じくらい大切なものなんだ」ということを理解することができたんです。将来の話をしていくなかで姓の話になった際、私の「本当は変えたくない」という気持ちを彼が否定せず、同時に自分の家族の事情も丁寧に説明してくれて。そこでようやく納得して、将来結婚することになったら姓を変えようと思いました。ただ、私は本当にずっと「姓を変えたくない!」と言っていたので、私の母や姉妹からすると驚きだと思います(笑)。

編:しっかり話し合いができたということが重要なプロセスだったんですね。

結婚して姓が変わる=うれしいことだと思っていたので「心機一転♪」と特に疑問を持たずに改姓しました
岸本真由子さん

岸本さん(以下岸):私の場合は祖母も母も姓を変えていて、それが当たり前だと思っていて。心機一転という感じで、何の疑問も持たずに改姓しました。10代の頃は、好きな人の姓と自分の下の名前を組み合わせてみたり(笑)。結婚で姓が変わること=幸せなこと、という印象がありました。

編:実際に変えて、何か感じることはありましたか?

岸:変更手続きが想像以上に煩雑でした。必須の手続きは行ったものの、その後もクレジットカードは旧姓でも問題ないけど、ふるさと納税では住民登録の姓と一致していないと支払いができなかったり、先日も海外旅行前にクレジットカードの利用上限額を上げておこうと思ったら、銀行は本名登録だから簡単にはできなかったり。

中:各機関、各サービスによって対応がバラバラで、統一されたルールがないことが厄介。私の場合さらに深刻だったのは、経済的な損失があったこと。勤務している会社の社内株を保有していたんですが、ワーキングネームは旧姓のまま、戸籍上は新姓という状態で。株価が高騰したタイミングで売却しようとしたら株の保有名と戸籍名が違うという理由で売却できず、数百万円の機会損失を被りました。

ミ:ひゃー!それは大きいですね。

旧姓と新姓の扱いが各機関、各サービスで対応バラバラ。経済的不利益を被ったことも
中村真優さん

中:名義が一致しないという理由だけで自分の資産を自由に動かせない。これは単なる不便さを超えた、実質的な権利の制限だと思うんですよね。

ミ:ところで「ワーキングネーム」という言葉を聞いて、最近はお仕事用の名前をそう言うんだって新鮮(笑)。

中:そうなんですよ。でも私は「ワーキングネーム」という言葉自体に違和感があるんです。生活全般でほぼ新姓を使うことはなく、私は「中村真優」として生きている。それなのに本名とは認められず、“仕事用”というのがなんだかな~と。

ミ:なるほど。そういう感覚も初めて知れて勉強になりますね。

岸:私はフリーランスで仕事では旧姓を使用しているのですが、フリーならではの経験で言うと、LINEは仕事でも使うので、相手に表示される名前は旧姓のままにしていて。夫の家族とのLINEグループがあるのですが、夫から「お義姉さんたち(夫の兄弟の妻)は新姓にしているよ…」と心配されて、私自身まったく気にしていなかったのでびっくりしました。

中:ちょっと話は変わりますが、ある富裕層が集まる会合に参加したとき、妻の方が圧倒的に収入が多いという夫婦は妻の姓を選択しているケースが多くて、新しい発見でした。

岸:それ、興味深いです!さきほどミラさんもおっしゃっていたように法律婚制度自体は「夫か妻どちらかの姓に」というものですが、周囲を見渡してみると妻側の姓になる場合だけよっぽど妻の実家側に事情があるとか、明確な理由が必要という実態があるということに気が付きました。

姓を変えたい人は変えればいいし、変えたくない人は変えなくていい。選択的夫婦別姓とは、「選択」の自由を求める制度。
長谷川ミラさん

ミ:私は、パートナーとちゃんと対話ができて、自分が姓を変えてもいいと納得しました。でも、もし制度が「“選択的”夫婦別姓」だったら、多くのカップルがもっと自然に深い話し合いができるのだろうと思います。姓について真剣に向き合うことは同時に、お互いの価値観や家族観を深く理解し合う機会にもなると思いますね。

中:現行法上だと子どもの姓をどうするのかなど、クリアにしないといけない課題はまだまだありますが、姓を変えたくないと思っている人は、選択制になることで誰も犠牲にならずに済む。両方が旧姓を保持することも、どちらかが変えることも可能になる。その自由が私たちは欲しいのかも。

岸:今日ここに参加するまで自分ごととして意識していなかったので反省しましたが、より多様な社会になっていくと思うので、次の世代のためにも、自由な生き方を選択できるようになったらいいと思います。

ミ:うんうん。あ、でも勘違いしたくないのが、岸本さんのように違和感を抱いていない人も含めて納得の上で同姓にするのも間違った選択ではないということ。考えていないのはダメだとか、遅れているみたいな風潮になることも避けたいなと思いますね。

\今回対談したのはこちらの3人/

〈衣装クレジット〉長谷川ミラさん衣装/シャツ¥41,800スカート¥41,800〈ともにダブルスタンダードクロージング〉肩にかけたニット¥41,800〈ソブ〉(すべてフィルム)パンプス¥39,270(ウディレ/ハナ コリア)その他スタイリスト私物

撮影/宮本美和 ヘアメイク/澤木ミリ〈長谷川ミラさん分〉 スタイリング/東出祐未〈長谷川ミラさん分〉 取材/嶺村真由子 編集/陣内素実 再構成/Bravoworks,Inc.
※CLASSY.2026年3月号「選択的夫婦別姓制度についてもっと話したい!」より。
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

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表紙モデル:堀田 真由

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