高橋メアリージュンさん(38)「若い頃より、男性に“穏やかさ”を求めるようになりました」【映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』インカㇻマッ役】

映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』で、連続ドラマから引き続き、アイヌの謎めいた占い師・インカㇻマッを演じている高橋メアリージュンさん。ビジュアルの再現度の高さはもちろん、醸し出すミステリアスな雰囲気もぴったりなハマり役です。インカㇻマッは、金塊争奪戦のなかで出会った第七師団・谷垣源次郎と意識し合うようになりますが、その初々しい恋愛模様が、本作で大きな動きを見せることに。過酷な撮影現場の裏話から、谷垣役の大谷亮平さんとのエピソード、そして高橋さん自身の恋愛観まで、いろいろなお話を伺いました。

Profile

1987年生まれ。滋賀県出身。2004年からモデルとして芸能活動を始め、『CanCam』をはじめ『CLASSY.』などで活躍。2012年には、連続テレビ小説『純と愛』で俳優デビュー。その後、映画『闇金ウシジマくん Part2』(2014年)で狂気的な闇金経営者・犀原茜を好演。スピンオフ『闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん』(2022年)も制作され主演を務めた。2024年から放送されている主演ドラマ『離婚弁護士 スパイダー』は、シーズン3まで続く人気作に。2021年からは農業の技術や経営について学び、アグリイノベーション大学校を修了。

湖で溺れるシーンは「俳優人生で一番過酷だった」

――インカㇻマッは、高橋さんの雰囲気にもぴったりなハマり役だと思いますが、抜擢されたときのお気持ちを改めて教えてください。

原作のなかで、一番好きなキャラクターだったので、素直にうれしかったです。ミステリアスな魅力がありつつも、実はものすごく愛情深くピュアな人で。お互いに意識し合っている谷垣(源次郎)ニㇱパとの関わりのなかで、長年とらわれ続けてきた自分の占いから解放されて「運命は変えられる」と気付く姿も、とても素敵だなと思います。ビジュアルの再現度はもちろん、目を細めて口角をくっと上げる独特な笑顔も、インカㇻマッの象徴だと思ったので、鏡を見て何度も練習しました。

――今回の映画も、過酷な撮影の連続だったかと思いますが、とくに印象に残っているシーンはありますか?

湖で溺れるシーンは、私の俳優人生で一番と言っていいほど過酷でした。インカㇻマッは泳げない設定なので、息を上げてもがく演技をしてから、水の中に沈んでいたんです。息を吐ききった状態で止めていたから、ものすごく苦しかったですし、そのうえ本当に寒くて。谷垣役の大谷(亮平)さんとキロランケ役の池内(博之)さんと、声を掛け合いながら頑張りました。私は衣装を着込んでいましたが、お二人は裸同然だったので、もっと大変だったと思います。

共演の大谷亮平さんがツボにハマりNGを出してしまう

――谷垣役の大谷さんとは、連続ドラマから引き続き、とくに共演シーンが多かったかと思います。何か印象的なエピソードはありますか?

大谷さんは穏やかで、とてもユーモアのある方なんですが、それが私のツボに入ってしまっていて。これまで、どの現場でもあまりNGを出さないタイプだったのに、大谷さんと対峙していると、どうしても笑ってしまうんです。ご本人は、笑わせようとしているわけではないんですけどね。多分(笑)、ナチュラルにおもしろい方なんです。

――それは、谷垣のキャラクターにも通じるところですね。

私は寒さに弱いんですが、大谷さんのおかげでずっと大笑いしながら、楽しく撮影することができました。ただ、今回の映画には、インカㇻマッと谷垣の思いが通じ合う、とても大切なシーンがあって。撮影前の休憩中、物干し竿を見付けた大谷さんが、リンボーダンスをしようとしたんです。そのときは、さすがに「今はやめてください!」「このシーンが終わったら、いくらでもやっていいので!」とお願いしました(笑)。大谷さんも「あ、ダメだよね」という優しい反応で。おかげで、笑ってしまうこともなく、いい緊張感のなかで撮影できました。

谷垣のように不器用で誠実な男性は「私も好きなタイプです」

――今回の映画では、インカㇻマッと谷垣の関係に焦点が当てられるシーンも多いですよね。高橋さんご自身は、この2人の関係をどう思っていますか?

谷垣の照れ屋で不器用なところが、かわいいと思います。でも、言葉や行動にはウソがないし、その誠実さもすごく魅力的です。インカㇻマッもそんな谷垣の影響で、少しずつ心を開いて、本来の自分の純粋さを取り戻していくし、2人の関係性はとてもバランスがよくて素敵だなと思います。

――ちなみに高橋さんは、谷垣のような男性は好きですか?

正直、好きなタイプですね(笑)。不器用だけど、しっかり思いは伝えてくれるし、行動で愛情表現をしてくれるのが、理想的だと思います。私も、男性に求めるものが、とにかく“穏やかさ”になってきていて。若いころは、感情の起伏が激しい人とお付き合いしたこともありますけど、今はそれだとまったく尊敬できないというか。気分の浮き沈みがなく、自分で自分の機嫌を取れる人に、惹かれるようになってきました。

大好きな人がパートナーとしてずっとそばにいてくれたらうれしい

――高橋さんは、今どんな恋愛観や結婚観をお持ちなんでしょうか?

絶対に結婚したいとは思っていないんですが、やっぱりパートナーにはいてほしいですね。だから、ずっと一緒にいたいと思えるくらい、大好きな人がそばにいてくれたらいいなと思います。

――過去に結婚願望を抱いたことはありましたか?

25歳のとき、なぜか突然「結婚したい!」と思うようになって。ドラマ『やまとなでしこ』で、主人公の桜子さんが「女の高値は27歳。それを超えると値崩れする」なんて、今では信じられないようなセリフを言っていたのが印象的で(笑)。なんとなく27歳までに結婚することを目指していたんですけど、結局そんな機会はなかったですし、35歳を過ぎたくらいから、「何歳までに結婚とか、もう考えなくていいや」と思うようになりました。

結婚も出産も、決めつけたり諦めたりせず「自然の流れに身を任せる」

――年齢の縛りから、徐々に自由になったんですね。

私の場合、20代はずっと働き詰めだったので、実際は結婚について現実的に考える余裕もなかったんですけどね。ただ、結婚は人生のゴールではないから、無理に目標にしなくてもいいのかなと思います。相手がいることだから、すべてが自分の思い通りに進むわけでもないですしね。私も今後、結婚という選択をするかもしれないし、子どもを授かる可能性もあるし。決めつけたり、諦めたりせず、自然の流れに身を任せようと思っています。

――「流れに身を任せる」というのは、いい意味で肩の力の抜けた考え方ですよね。

自分の人生の中では、“ベストなことがベストなタイミングで起こっている”と思うようにしているんです。どんなに大変なことがあっても、これも何か意味のある“ギフト”なんだろうなと。そうやって何事も前向きに考えると、生きるのがすごく楽になりますよ。

――そんな高橋さんは今後、どんなふうに年齢を重ねていきたいと考えていますか?

自然な流れのなかで、自分の心のままに生きていけたらと思います。何より、大切な人たちを、ちゃんと大切にできる人でありたいですね。実は私、死ぬまでにやりたいことを書き出した“バケットリスト”を作っていて。シロナガスクジラに会うことと、もう一度海外作品に出演することは、近いうちに叶えたいです。それから、家族や大切な人たちとフィリピンの南の島に行って、夕焼けの中でバンドの演奏を聴きながら、笑顔で食事をしているという私の理想のシーンも、いつか実現できたらと思っています。

Information

映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』
3月13日公開。日露戦争から帰還した元兵士・杉元佐一(山﨑賢人)とアイヌの少女アシㇼパ(山田杏奈)は、金塊を奪った男「のっぺら坊」がアシㇼパの父なのか、真偽を確かめるため、網走へ向かう。隠された金塊を狙う、大日本帝国陸軍第七師団の鶴見中尉(玉木宏)や新撰組「鬼の副長」こと土方歳三(舘ひろし)と三つ巴の攻防戦を繰り広げるなか、ついに「のっぺら坊」が収監されている決戦の地・鉄壁の要塞、網走監獄へと乗り込む。

撮影/Yu Ishii 取材/近藤世菜 編集/越知恭子

Feature

Magazine

最新号 202604月号

2月27日発売/
表紙モデル:山本 美月