齋藤飛鳥さん(27)「乃木坂46を卒業する時、引退して会社に勤めることも考えました」

10年以上活躍し続けた乃木坂46を卒業後、現在は、俳優、モデル…と多彩な才能を発揮している齋藤飛鳥さん。年々広がる表現者としての幅はもちろん、メディアで垣間見えるクールで冷静な一面にも心惹かれる存在です。「引退も考えた」と話すキャリアの転機から、“生活が豊かであること”が最優先の今のライフスタイルまで、齋藤さんが選び取ってきた選択を聞きました。

流されながら生きているので、
細かくビジョンを決めるより
ぼんやりと思い浮かべることが多いです

卒業と同時に考えた引退。会社員勤務を見据えて採用サイトも覗きました

これまでの人生でいちばん大きい選択は、約3年前、グループ卒業時にこの仕事を続けるか、引退するかを決断したことだと思います。卒業する人の大半がおそらく一度は考えるのではと思いますが、以前から興味のあった会社に勤めることも考えました。でも、採用情報にある求められる条件を見ると、やり遂げられる自信がなくて、「私って何もできないな」と落ち込むばかり。当時24歳で新しい環境に身を置くには相当の覚悟と気合いが必要とも感じました。いろんな選択肢を考え、この仕事の良し悪しも再認識。今の環境に感謝して、まず30歳までは、いただく仕事に責任を持って取り組もうと決意しました。

デビュー以来ずっと、仕事に重きを置いた生活で、卒業後もそこから抜けきれずにいましたが、最近は変わりつつあります。そのきっかけは、ひとりの仕事のスタイルを確立する中で、「仕事も大切だけど、生活が豊かであることが大前提」と気づいたこと。仕事のペースを調整したり、念願だった運転免許を取得したり、美味しいごはんとお酒でリフレッシュしたり、オンとオフ両方のバランスを意識し始めたら、自ずとリズムが整って、心地よく過ごせるように。自分が心地よく過ごすことが、周りにも影響する。人と接する機会の多いこの仕事をする上では、かなり重要なことでした。振り返るとグループ時代は、何もかもがグループに返ってくるプレッシャーを日々感じていました。「センターを務めてください」とか「MCを担当してください」という言葉も、今では「ありがたいことなんだから、受ければいいじゃん」と思えますが、20歳そこそこの私はうれしい反面、失敗したらグループに迷惑がかかる、という気持ちもあり、悩んでいました。人に話を聞いたり、たくさん本を読んで行き着いたのは、「諦念こそ大事」という結論。いい意味で諦めて、自分にも周りにも期待しすぎずに目の前のことをクリアしていくことで、自分を納得させる解決法に落ち着きました。

20代のうちに車慣れして
行動範囲を広げ、生活をより豊かにしたい

今回声優を務める映画『クスノキの番人』は、“願いが叶うクスノキ”が物語の軸にあります。作品に携わって改めて、生きていると何かに縋りたくなる瞬間があること、人は常々周りの情に助けられていることを実感しました。私自身の経験上、忙しかったり大変なときはこもりがちで頭も固くなりがち。そんなときでも息抜きできる場所や言葉をかけてくれる人は必ず存在するから、寄りかかりながら無理せず頑張っていけたらいいのかな、と思っています。

昔から、細かく目標を立てるより、ぼんやり浮かべながら進むタイプでした。私の場合、いろんなものに流されながら生きているので、余白がある方が合っているんだと思います。でも「大人」と言われる年齢になった今は、これからの生き方を意識するようになりました。20代のうちに身につけたいのは、山道も乗りこなせる運転力。マイカーを手に入れるのも夢。車があることで行動範囲が広がるのは素敵だし、より生活を豊かにしていけることが今から楽しみです。

齋藤飛鳥さんの〝取捨選択〟

【取】
スマホを見る時間を減らしたぶん、
読書時間が増えました。違う世界の話でも共感したり没頭できるのが心地いい

ある程度時間帯を決めて、スマホをおやすみモードに切り替えたり、充電器に繋いで遠くに置いたりして、軽いデジタルデトックスを始めました。手元にあるとつい見てしまうし、「この情報は受け取るけれど、あとはスルーする」みたいに、頭の中で情報を選別しつつも、知らないうちに不必要なものが蓄積されている感じがして。意識的にスマホから離れるぶん、増えたのが読書。本はジャンル問わずに読みますが、今は体にまつわる本にも興味があります。最近印象に残っているのは、柚木麻子さんの『BUTTER』。柚木さんの書く文章が心地いいのと、扱われているテーマも面白くてお気に入りの一冊。全く違う世界の話でも共感できたり、自分の中に残るものがあるところが読書の好きな部分です。

【捨】
無闇にカフェインを摂るのをやめました。コーヒーはここぞ!という限られた場面で飲んでメリハリをつけています

長年コーヒー派でしたが、カフェインは無闇に摂っていいものではないよな、と思い、節度を持つようになりました。普段は麦茶やハーブティーを選んで、頭を動かしたいときやスイッチを入れたい場面でコーヒーを飲むようにしています。まだ始めたばかりで劇的な変化はないものの、自分の中ではメリハリがつけられている感じです。20代後半になり、諸先輩方が言っていた「体が変わるよ」という言葉を少しずつ実感しています。加齢に抗う気持ちはないのですが、この仕事は体が資本。これまでほとんど体に気を遣ってこなかったし、自分が動けないことで迷惑をかけるのは避けたいので、小さいことからセルフケアを始めています。

リラックスにはアロマがマスト。
ラベンダーがお気に入りです

自分をオフにできるものを増やしていて、アロマもそのうちのひとつ。アロマというと種類豊富で少し構えてしまうような気もしますが、私の中でいちばん気軽に始められると思うのはアイマスク。自宅でゆっくり目を休めたいときも、移動中の車内でリラックスしたいときも、この手軽さに助けられています。あたたかさはもちろん、ふわっと漂う香りでとても落ち着く名アイテム。他の香りも好きですが、ラベンダーの出番が多いです。

齋藤飛鳥さん/ASUKA SAITO
1998年生まれ。東京都出身。2011年、乃木坂46の1期生オーディションに合格し、翌年デビュー。グループ在籍時から、俳優、モデル、ラジオナビゲーターと多方面で活躍。2022年にグループを卒業。近年の出演作は、映画『父と僕の終わらない歌』、TBS『ライオンの隠れ家』など。2025年には、映画『【推しの子】 -The Final Act-』で「第48回日本アカデミー賞」新人俳優賞を受賞。現在はNHK『テミスの不確かな法廷』に出演中。1月30日に公開される東野圭吾作品初のアニメーション映画『クスノキの番人』では、佐治優美役で出演。長編アニメ映画の声優に初挑戦した。

【衣装クレジット】ジャケット¥66,000(ドローイング ナンバーズ╱ドローイング ナンバーズ 新宿店)スカート¥63,800(カオス╱カオス丸の内)ピアス¥31,900リング¥33,000(ともにリエ スタジオ╱TOMORROWLAND)ベルト¥21,450(MARNO)靴¥51,700(ファビオ ルスコーニ╱ハーモニープロダクツ オンラインストア)

撮影/三吉杏奈〈TRON〉 ヘアメイク/渡嘉敷愛子 スタイリング/丸林広奈 取材/坂本結香 編集/越知恭子 再構成/Bravoworks,Inc.
※CLASSY.2026年3月号「私たちの取捨選択」より。
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。

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最新号 202604月号

2月27日発売/
表紙モデル:山本 美月