世界陸上2025に出場の陸上選手【田中佑美さん・27歳】ひとり時間にしているのは“丁寧な暮らしごっこ”です

自分を磨き、成長し続けるためにも「ひとりの時間」は欠かせないもの。世界を舞台に活躍する人たちは、どんなふうに自分と向き合っているのでしょうか。今回は陸上選手・田中佑美さんに、その意味をお聞きしました。

田中佑美さん(陸上選手・27歳)

“カスカスの自分”を防ぐために、
ひとり時間で補給します

シーズン中は友達と会う約束もしないし、基本的に陸上に全集中。じゃあシーズンオフはリラックスできるのかと言われたら、逆に陸上以外の仕事で忙しくて。自分と向き合う時間が減ると、自分の言葉がだんだん薄まってしまって、取材を受けていても「今の言い方、しっくりこなかったな」って思うことが増えるんです。そう思うことが増えたら、ひとりでリセットする時間をちゃんと取るようにしています。人の期待や空気を読み取るのは得意なタイプだけど、あえて無視したり。いい意味で“自分を守るためのスイッチ”みたいなものがあるんですよね。自分の内面を見つめる時間がないと、内側から補給できなくて“カスカス”になっちゃう——だからこそオフの日は、パン屋さんに行ったり、カフェでぼーっとしたり。誰かといなくても満たされる時間があると、また次の日人と関わるのが楽しくなる。そういう循環を大事にしています。

世界大会の前こそひとり時間が欲しい。
こもるのはもっぱらトイレです(笑)

試合の前ってどうしても周りがざわざわして落ち着かないんです。世界大会では宿舎も相部屋が多いし、アップ場も人でいっぱい。だから私は、トイレにこもるのがルーティンになっています。静かな場所に逃げ込んで自分と向き合うんです。試合前に欠かせないルーティンです。練習中は、「フォームをもう少し直したい」「次のメニューはこうしよう」とか、ずっと頭の中が動いています。でも試合の時は、もう何も考えない。スタートラインに立つまでに、どれだけ気持ちを整えられるかで結果も変わる気がするんです。だから、自分の“静けさ”を取り戻せる場所を見つけておく。私の場合はそれがトイレ(笑)。誰よりも冷静にスタートを切るために、この時間が必要なんです。

Q1.「ひとり時間にしていることは?」

“丁寧な暮らしごっこ”です(笑)。ちょっと凝った料理をしたり、部屋を隅々まで掃除したり、そういうちょっと手間のかかることも「ごっこ」と思えると楽しめる派です。

Q2.「ひとり時間のこだわりは?」

出かけるなら、絶対におしゃれすること。ひとりだからこそ、だる着じゃなくてちゃんとおしゃれしたい。“ひとりで行動してる私、かっこいい!”って思える自分でいたいんです。

Q3.「推しっていますか?ハマっていることは?」

宝塚が大好き。高校生の頃は、陸上の道に進むか宝塚を受験するか迷ったくらいです。ひとりで観劇に行くのも全然できちゃいます。

田中佑美さん(陸上選手・27歳)

1998年生まれ。富士通所属。100mハードルを専門とし、2023年には日本女子で4人目となる12秒台をマーク。2024年に開催されたパリオリンピックでは日本代表に選出された、日本陸上界で今最も注目を集める選手のひとり。

撮影/杉本大希 取材/下田真里衣 編集/宮島彰子 再構成/Bravoworks,Inc.
※CLASSY.2026年1月号「人生に失敗なんかないPart3・おひとりさまタイム」より。
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。

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