日常生活ではあまり目にしないものの、ビジネスや慶弔行事など特定の場面で用いられる漢字は少なくありません。その中でも、特に仕事で用いる可能性のある漢字は、最低限覚えておきたいものです。
そこで今回は、“会社で使うかも!? 意味とともに覚えたい漢字”をご紹介。ぜひここで、正しい読み方を覚えておきましょう。
1.「厚誼」
「厚誼」は目上の人に使う敬語の一種で、「親しいおつきあい」「厚いよしみ」といった意味があります。
ビジネスシーンにおいては「御(ご)」をつけて「御厚誼」「ご厚誼」として、主にお世話になっている相手への感謝を表すときに用いられています。
実際に、手紙やスピーチなどでこの言葉を見聞きしたことがある人もいるのではないでしょうか。
そんな「厚誼」の正しい読み方は……
「こうぎ」です。ちなみに、「厚誼」と同じ意味で「交誼(こうぎ)」という言葉もあります。
「厚誼」は目上の相手に対して用いますが、「交誼」は友人や対等な関係の相手に対して用いる言葉です。そのため、目上の人に「交誼」を用いるのは失礼にあたります。読み方はもちろんのこと、これらの使い分けにも十分注意しましょう。
2.「就中」
思わず「しゅうちゅう」と読んでしまいそうな「就中」。「就中」とは「とりわけ」「特に」「その中で」など、たくさんあるものの中で特に強調したいものがある場合に使われる言葉です。
もしかすると、普段の会話で耳にすることはほとんどないかもしれません。また、文章などで用いられる場合でも、主に平仮名で表記されることが多いでしょう。「就中」を読めたら、かなりすごいかも!?
そんな「就中」の正しい読み方は……
「なかんずく」です。珍しい読み方ですが、元々「なかんずく」とは「就中」の訓読み「なかにつく」が音変化した読み方だそうですよ。
3.「亀鑑」
「亀」という漢字が使われていることから、つい「生き物に関する言葉かな?」と勘違いしてしまう人もいるかもしれませんね。「亀鑑」とは「手本」や「規範」、「基準となる出来事」を意味する言葉です。
「亀鑑」の由来について、「亀」は「亀の甲羅を焼いて占ったもの」、「鑑」は「鏡(自分の姿を映して反省するもの)」を意味することからきているとされています。
そんな「亀鑑」の正しい読み方は……
「きかん」です。たとえば「亀鑑として優れた業績を挙げた」などといったように用いられます。
4.「顚末書」
「顚末」は「物事の始めから終わりまでのいきさつ」を意味する言葉です。つまり「顚末書」とは、「事のいきさつを記した書類」のことを言います。
ビジネスにおいては、ミスやトラブルが発生した際に「なぜそれが起きたのか」、事の経緯を報告するために用いられています。
実際に顚末書を書いたり、人が書いた顚末書をチェックしたりといった経験のある人もいるかもしれませんね。そんな「顚末書」の正しい読み方は……
「てんまつしょ」です。「さまつしょ」などと読んでしまわないよう注意しましょう。
いかがでしたか? 上記の漢字は会社で用いられることもあるため、いざという時に読めないと思わぬ恥をかいたり、仕事を進めるうえで困ることがあるかもしれません。
ぜひ言葉の意味とともに、正しい読み方を覚えておきましょうね。
参考文献/ことばの森編集室〔編〕「読めない漢字が読める本 分野別読み方便利帖」、『新明解国語辞典 第七版』(三省堂)
文/大内千明 画像/Shutterstock(vchal、tomertu、ChameleonsEye、Africa Studio)