菊地凛子さん（44）焦りの20代から一転「結婚して考え方が180度変わりました」

三谷幸喜さんの新作書き下ろしとなる舞台『いのこりぐみ』は、小学校で繰り広げられるワンシチュエーションのディスカッション劇。今作で舞台初出演となる菊地凛子さんは、「今がいちばん若い」という気持ちで挑戦を恐れない姿勢を大切にしていると言います。「年齢を重ねるごとに楽になってきた」と感じていることや、結婚を経て生まれた変化についても語ってもらいました。

——親交の深い三谷幸喜さんの作品に挑戦です。三谷作品の魅力とは？

話の展開するスピードや会話のテンポ感が速いうえに、登場人物たちも誰が本当のことを言っているのかわからない面白さがあって。観ていると、知らないうちに観客が世界観にのめり込んでしまうんです。その没入感は、三谷さんの作品ならでは！　さらに、私たちが想像していた方向ではなく、思ってもみなかった方向に進んでいくところも魅力。もちろんセリフも印象的なので、今作の会話劇もプロットの段階から面白かったです。

——モンスターペアレント役を演じます。現時点でどのような役作りをしようと考えていますか？（※取材時は稽古前）

母親として守りたいものがあるからこそ、感情が極端な方向へ振り切れていく役どころなので、そうした部分をどう演じていこうかなと考えている最中です。でも、私自身も母親ですし、どこかで共感できるポイントはあるはずだし、彼女の考えは理解できると思っています。それよりも、作品が面白いぶん、三谷さんのセリフをどうやって生で届けたら面白くなるかな？ということのほうが難しそう（笑）。稽古場で三谷さんをはじめ、（小栗）旬くんたちと一緒に考えていけたらいいなと思っています。

——菊地さんが、CLASSY.読者世代のころのご自身に声を掛けるなら、なんと言ってあげたいですか？

「歳をとるのは怖くない」！　私自身もそうでしたが、20代のころは30代の自分のことばかりを見ていたし、30代になれば40代の自分を見ていた気がするんです。でも、そんな先のことを考えるのではなく、今がいちばん若いんだから、今を楽しんでほしい！　女性は結婚や子育てといったように人生のターニングポイントがいくつもあるし、考えてしまう気持ちもわかります。でも、いくつになっても不安はつきものなので、それなら“みんな一緒じゃん”っていう結論にたどり着きました（笑）。

——20代の頃は年齢にとらわれていましたか？

30代にどんな自分でいるかに照準を当ててしまっていた気がします。20代の頃、25歳までに代表作を生み出せなければ、この業界に向いていないのではないかと思っていたふしがあって。今となれば幼稚な考えですが、当時は若いうちに芽が出なければダメだと感じていたんです。

——菊地さんが海外で注目を集めた映画『バベル』に出演された際は、ちょうど25歳のころですよね。

ありがたいことにチャンスは広がったものの、また別の不安は抱えていたし、綺麗事を言えるほど前向きな気持ちでもなかったんです。ただ、その事実よりも、１つずつ年を重ねるごとに楽になっていく自分がいて。それは、やっぱり「経験」が大きかったんだと思います。自分が痛い思いをしたり恥をかいたりした出来事のおかげで、楽になれてきたというか。誰かから見たり聞いたりしたことではなく、自分が経験したことでしか自分を成長させることってできないんだ、と。それを痛感したのが、20代から30代のころでした。

——では、20代の頃と比べて、30代は考え方や仕事の向き合い方にも変化が？

すべてが変わった気がします。30代、とにかく楽しかった！　それは、結婚したことも大きかったと思います。子どもや家族といった守るべきものができたことで、優先順位が入れ替わったので、180度変わった気がします。

——時間の使い方も変わりそうです。

そうですね。時間の使い方がハッキリした気がします。１人でいるときは、自分のペースと価値観で進められたものも今はそんなゆっくりしている余裕はないですしね（笑）。台本を覚える時間を作るために、まず何を終わらせればいいかを軸に、1日のスケジュールを組んでいます。仕事が大好きなので、自分の時間がなくなっても、どうすれば仕事を続けていけるかを考えるようになりました。

——お話を聞いていると、年を重ねることが楽しみになります！

30代も40代もとっても楽しいですよ！　そして、50代になればもっと生きるのが楽になるはず。年を重ねれば重ねるほど、楽しいことばかりなんじゃないかなって勝手に思っています（笑）。