菊地凛子さん(44)40代で舞台初挑戦「失敗したら“やっちゃいました!”って言える自分でいたい」【舞台『いのこりぐみ』インタビュー】

自身のスタイルを貫き、凛とした佇まいが魅力の菊地凛子さん。三谷幸喜さん書き下ろしの新作舞台『いのこりぐみ』で、息子を愛するモンスターペアレントを演じます。かねてより舞台に挑戦したかったという菊地さんが、満を持して挑む今作に込めた思いを聞きました。

Profile

1981年1月6日生まれ、神奈川県出身。映画「⽣きたい」でスクリーンデビュー。映画『バベル』で海外からも注目を集め、『ブラザーズ・ルーム』『ナイト・トーキョー・デイ』『パシフィック・リム』など海外作品に多く出演。近年の主な出演作に、連続テレビ小説『ブギウギ』『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』など。SPドラマ『嘘が嘘で嘘は嘘だ』が12月24日よりFODにて全話一挙先行配信、地上波では1月11日より放送スタート。

三谷さんの演出にどっぷりハマりたい

——初舞台に挑戦です。菊地さんの「舞台をやりたい」という気持ちがきっかけで、今作が実現したと伺いました。

俳優として舞台にはいずれ挑戦しないといけないなと感じていたので、いつかチャンスをいただけるときがきたら挑みたいと思っていました。その中で、⼤河ドラマでご⼀緒していた(⼩栗)旬くんの舞台を観劇して。1年半の⼤河主演の後すぐに、パワフルに舞台で別の役を演じる姿に刺激を受けて「いつか⼀緒に舞台をやりたい」と感じたんです。そして、もしご一緒できるのであれば、私のことをよく知ってくださっている三谷幸喜さんの作品だといいな、なんて考えていたらスムーズに話が流れていって…。これは、挑戦するしかないな、と。

——一気にお話が進んだのですね。さらに、今作で演じられるモンスターペアレント役は三谷さんによる当て書きだとか。

私はしっかりとしているように見られがちなのですが、実は抜けているところも多いんです(笑)。プロットを読んで、三谷さんにはそうした一面もお見通しだったのだなと感じました。それに、三谷さんは「この俳優にこの役を演じてもらったら面白そう」という目線でも俳優のことをご覧になっている方だと思います。だからなのか、私が知る限りでも、三谷さんの作品で新しい顔を見せている俳優さんは多い気がしているんです。そうした、「こんなことができるんだ」と思わされるような、新しい一面を引き出されるのがお上手。俳優をひとつの型にハメない方だと感じています。

——今作で、新しい菊地さんの顔が見られそうですね。

私自身も、それはすごく楽しみにしています! 三谷さんの演出に身を委ねて、安心してどっぷりとハマっていきたいです。

——そして、40代で舞台という新境地へ挑まれる姿も素晴らしいなと感じました。

年を重ねると恥をかくのが怖くもなるけど、私はいくつになっても失敗したら「やっちゃいました!」と⾔えて、学んでいける⾃分でありたいなと。苦しい思いをしながらもがくことで、自分の中に蓄積していくものがあるような気がしているので、新しいことにはどんどん挑戦していきたいなと思っています。

——それが、菊地さんが常に輝かれている秘訣なのかもしれませんね。

ありがとうございます。まずは経験してみてから、自分なりの答えを出していきたいな、って。その答えが出ない可能性もあるけど、やる前から無理だと決めつけたくはないんです。それに、私は誰かに何かを教えられる側の人間だとは思っていなくて、まだまだたくさん学びたい。それは相手が年上だけに関わらず、年下の方からも教えていただきながら、自分の世界を広げていきたいです。

頭で考えるより「楽しそう」と感じるほうへ

——ちなみに、この挑戦は即決できたのでしょうか?

私はもともと熟考型で、考えすぎるくらい考えてからでないと飛べないタイプ。でも、「楽しそう!」というポイントが1つでも見つかると、何も考えずに飛んでいけるんです。今回の作品も、三谷幸喜さんの作品で、共演者に小栗旬くんがいるということへの好奇心だけで飛ぶことができたという感じ。考える時間を与えないくらい、ワクワクする感情が生まれたとき、私は一気に飛び出せるんだと思います。でも、お客さんの前でお芝居をするというのは初めてだから、心配ですけど…(笑)。

——生のお芝居をすることは、少し怖いものですか?

まだ何も想像ができていないので、不安と楽しみが表裏一体。早くお稽古を始めたいけど、「お稽古自体もどうやって進んでいくんだろう?」という感覚なんです。こうしてインタビューしていただいていると、どんどん心配がふくらんできているので、旬くんにアドバイスをいただこうと思っています! 地方公演もあるので、その間子どもと離れ離れになるというのは、母親としてもひとつ新しい挑戦です。

——菊地さんの姿に憧れるアラサー世代も多いと思いますが、今後、どんな女性になっていきたいですか?

とにもかくにも健康第一! 心身ともに、健やかで軽やかな人間でいられるといいなと。それに、私は現場がすごく好きなので、今回の現場でも夢中になれるものを探したい。そうして新しい自分を見つけていきたいです。プライベートでいうと、旅行にたくさん行って、見たことのないものをなるべく多く見に行けたらいいな。仕事はしたいけど休みたい、みたいな悩みをずっと抱えています(笑)。

Information

舞台『いのこりぐみ』
人気脚本家・三谷幸喜の書き下ろし作品。小学校の教室を舞台に、若手教師とモンスターペアレントたちによる、笑いとスリリングに満ちたワンシチュエーションでのディスカッション劇が繰り広げられる。若手教師(小栗旬)のもとに、モンスターペアレント(菊地凛子)が現れ、息子が担任教師(平岩紙)に嫌われているから担任を変えてほしいと主張してきて…。
出演:小栗旬 菊地凛子 平岩紙 相島一之 1月30日(金)より東京・IMM THEATER公演が開幕。その後、3月に新潟・兵庫・愛知・大阪にて公演予定。

撮影/HAL KUZUYA 取材/小林揚 編集/越知恭子

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表紙モデル:山本 美月