30代の「忙しい仕事」と「妊娠」を見据えたカラダづくりって?専門家に聞いてみた!

堀田茜が「30代になってなんだか気になる…」と感じるタイムリーな話題を、今会いたい識者に直接聞きに行く連載28回目。今回は、産婦人科専門医・たかおみほさんに「妊娠を見据えたカラダづくり」についてお話を伺いました!

SNSを見ていると「これをやらないと妊娠できない」など不安を煽られてしまい…

【今月の茜のモヤモヤ案件】
去年結婚して、自分の子供がいる未来を考えはじめました。生活が不規則だったり、忙しさにもムラがあったりする中で、自分のカラダが妊娠・出産に向けて準備ができているのか気になります。そんな生活スタイルの中で、どんな準備ができますか?

〈今月話し合いたいこと〉
忙しい仕事と妊娠を見据えたカラダづくりって両立できる?

堀田:高尾先生には2024年2月号にも登場していただき、妊娠に向けた心構えや、不妊治療や卵子凍結は魔法のような医療ではないなどのお話を伺いました。あれから私も結婚して、遠くない未来に子供ができたら…と考えるようになって、今回は妊娠のためのカラダ作りをするなら具体的にどんなことができるかを教えていただきたいと思います。
高尾:今回は3つに絞ってお話ししますね。1つ目は基本的なことですが食生活の見直し。主に食事による体調管理です。バランスの良い食事が前提として、BMI22くらいを目指し、保てる食生活がベスト。太りすぎも痩せすぎも、妊娠までに時間がかかることがわかっています。茜さんのようなお仕事をされている方はBMI18〜19くらいかな。体型維持も仕事に含まれているかもしれないので、仕事と妊娠しやすいカラダ作りと、何を大事に生活していくか考えてみるといいですね。
堀田:お母さんになるために、という選択ですね。SNSの誤情報が拡散されて極端な食事制限をする人も増えていますよね。私も健康管理のために食事を意識しているので、SNSでも情報を集めているのですが、グルテンをまったく摂らない方や炭水化物と脂質を全カットしている方も見かけます。
高尾:私の考えだと、極端に走るのが一番良くない。何事もバランスが大事だし、色々なものを食べるということは色々な栄養素が取れてヘルシー。それに、結局好きなものを食べるほうが幸せじゃない?だからゆるグルテンフリー、ゆる糖質制限とか、添加物カットしてみるとか、腹八分目にしておくとか、そのくらいでいいと私は思います。少しの意識で変わってくると思いますよ。
堀田:妊娠もしたいけど痩せていたい…と考えている人もいるように思うのですが…。
高尾:そう願うのは本人の自由でもあるんだけど、痩せすぎの女性からは小さい赤ちゃんが産まれやすく、そうして産まれた子は糖尿病や神経疾患になりやすいというデータもあります。母親の自己満足が次の世代に影響してしまう可能性があることを理解すべきだと思います。

「できることを少しずつ」と考えられれば、今からでもはじめられそう(茜)

高尾:2つ目は運動と睡眠。運動している人のほうが、代謝が良いなどの理由で、妊娠までの時間が早いです。
堀田:週2でパーソナルジムに通っているんですけど、できないことができるようになる達成感があるし、前向きな気持ちになれてネガティブなことを考えにくくなるので、身体的な健康だけじゃなく精神的メリットも多いと感じます。それに睡眠の質も良くなりました。
高尾:とてもいいですね。茜さん世代で意識的に運動習慣を保っている女性って20%弱しかいないんですよ。ジムに通うなら週2〜3が理想ではありますが、仕事が忙しい人も多いので、365日の中でできる日を増やしていけることが大切です。家で腹筋する習慣を作る程度でも十分。
堀田:さっきの食事の話もですけど、完璧を目指さなきゃと思いがちですよね。でも「できる日を増やしていければいい」と言っていただけると、気持ちがラクになれます。
高尾:それと同じように、睡眠時間も規則正しく…が理想的ですが、仕事上それが難しい人も多いと思うので、できる範囲で意識して、「いつかは朝起きて夜寝る生活にしたい」と思っておくこと。願わない限りそうはならないので、すぐは無理でも、健康的な生活が実現できるようになれると良いですよね。最後の3つ目は、妊活だけを目標にしない日常を送ること。それ以外の楽しみを持っておくのが大切です。仕事でも趣味でもいい。妊活期に入ると生理が来るたびにものすごくがっかりする人が少なくないんですけど、それだと一緒にいる人も辛くなってしまう。「まぁそんなこともあるよね」と思える余裕があるといいですね。

極端なやり方で自分を追いつめないで。今できることを少しずつ心に余裕を持ってほしいなと思います

堀田:漫画やドラマでも、妊活に必死になってパートナーとの関係が変わってしまう描写がよくありますね。
高尾:それでいて妊活のタイミングの認識も間違っている方もいらっしゃるので、正しい情報は蓄えておいてください。性交渉の回数自体が少ない方が多いし、排卵日に性交渉しなきゃ!と焦る方も多いですが、時期としては、生理が終わってから排卵日までの1週間くらいが大事。その時期に2〜3回はトライして欲しいです。
堀田:ピルの服用は妊娠に向けてのカラダ作りに何か影響はありますか?今服用している人も多いし、私も服用してからPMSや生理痛に悩まされなくなって人生変わったと言えるほど感動しているんです。
高尾:妊活をはじめる具体的な時期があるなら、その2〜3カ月前から服用をやめてみて、自分の生理周期の状態を確認することが必要です。ピルを飲んでいると、安定した周期で出血があるので、やめても生理が順調に来るだろうと思いがちなのですが、もしかしたら今の自分は生理不順で、整える必要があるかもしれない。だから妊活をするならバッファの期間を持ちましょう。ピルを服用する選択肢は、女性が妊娠のタイミングを自分で選べて、自分の人生を自分で決めていけるという面ですごくいいんですよね。プレコンセプションケアと言って、妊娠を見据えながらパートナーと人生設計を考えていくこともできる。
堀田:そうですね。昔は自然とできたときが妊娠時期で、仕事は諦めるという方が多かったように思います。自分の人生優先でもいい、と考え方をアップデートしていかないといけないなと思います。
高尾:ただ、妊娠に関することって不確実なんですよね。「何をどれだけがんばったら絶対できる。お金をいくら使えばできる」という事柄ではないので、ある程度能天気に構えるのが大事です。
堀田:何歳までに1人、次は何歳までに1人って考えて実行しようとしたりもしますよね。
高尾:それを自然と叶えられちゃう人もいるので、自分が願った通りにならないときに余計に悩むんですよね。でも人生設計は何回考えて何回変えてもいいわけだから、それを頭に置いておいてもらえると、最終的に後悔しないで済むかなと思います。
堀田:いろいろな情報があるからすぐ世の中の声に流されてしまうし、SNSを見ていると「これをやらないと妊娠できない」みたいに不安を煽られることも。はじまってもいない未来に不安を感じるし、できなかった人生がダメだと思い込まされてる気がしてました。でも、それならそれで、また違ういい人生があるんだと考えられる心構えも、カラダ作りのひとつですね。そして、食事・睡眠・運動と、健康な体質でいることが何よりの準備だと気付かされたので、日々コツコツと、健康を目指していきます。

対談したのは…

たかおみほさん
産婦人科専門医・医学博士。女性のための総合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長。スポーツドクター、産業医、ヨガ指導者など幅広く活動。stand.fm、YouTube『高尾美穂からのリアルボイス』定期配信。ほか各種SNS、オンラインコミュニティでも女性の健康に関する専門的な知識をわかりやすく発信。メディア出演、著書多数。

ほったあかねさん
モデル、俳優。1992年10月26日生まれ、東京都出身。CLASSY.をはじめ多くの女性ファッション誌、ドラマに出演。「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ)レギュラー。『ENEOS FOR OUR EARTH -ONE BY ONE-』(J-WAVE)ナビゲーター。映画『見える子ちゃん』(公開中)、『この夏の星を見る』(7/4公開)に出演。2024年4月に結婚。東海テレビ・フジテレビ系ドラマ「浅草ラスボスおばあちゃん」(7/5スタート)

[茜]トップス¥17,600(ランバン オン ブルー)ピアス¥42,900リング¥55,000ブレスレット¥33,000(すべてマリハ)

撮影/杉本大希 スタイリング/近藤和貴子[堀田さん分] ヘアメイク/YUMBOU(ilumini.)[堀田さん分] TONOE[高尾さん分] 取材/野田春香 編集/小林麻衣子
再構成/Bravoworks,Inc.
※CLASSY.2025年8月号「堀田茜のほったらかしにしたらアカン!」より。
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。

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表紙モデル:山本 美月